山本太郎叩きで露呈した日本の弱点とは?「能登地震と羽田事故は人災」政府が隠す不都合な事実

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新年から立て続けに発生した、能登半島地震と羽田空港事故。懸命の救援活動が続く中で、「パニックを起こさない日本人の冷静さ」や「乗客を全員脱出させたCAの素晴らしい仕事ぶり」が称賛されています。しかし実際には、これらの大災害や大事故は「本当ならもっと被害を抑えられたかもしれない」人災としての側面が大きいようです。メルマガ『グーグル日本法人元社長 辻野晃一郎のアタマの中』~時代の本質を知る力を身につけよう~ より、『グーグルで必要なことは、みんなソニーが教えてくれた』等の著作で知られる辻野さんが解説します。

羽田空港事故は安倍政権にさかのぼる「人災」である

(1/12号「1.気になったニュースから」のコーナーより)
1月2日に起きた羽田空港C滑走路での大事故に関し、犠牲になられた5名の海保の職員の皆様のご冥福と重傷を負われた機長の一刻も早い回復を心よりお祈り申し上げると共に、事故に遭遇された乗客の皆様にお見舞い申し上げます。

この事故の報に接して、正直、「遂に起きてしまったか…」と思いました。というのも、羽田空港の運用が2020年から見直されて、A滑走路、C滑走路に着陸する2本のルートが新設され、東京上空を低空で飛行機が頻繁に飛ぶようになってから、その危険性にずっと警鐘を鳴らし続けてきたからです。

このメルマガでも、7月14日に配信した第13号でこの問題を取り上げました。以下はそれが公開されたものです。

東京では、インバウンドの増加や東京五輪での来日外国人の増加に備える、という名目で、羽田空港のA滑走路、C滑走路に着陸する2本の新航空路が開設され、2020年3月から、東京の都心上空を低空で飛行機が頻繁に飛び始めました。建前としては、南風好天時の到着便で、15時から19時の間の3時間程度とされていますが、実際は風向きや天候に関係なく、ほぼ連日この時間帯になると狭い間隔で新たに開設された2本の新航空路を間断なく飛行機が飛ぶようになりました。この時間帯は、上空での大きな騒音が途切れることがありませんし、落下物などのリスクもあります。なにより、これまでとても閑静だった東京都心の住宅街含めた地域の上空を、低空で頻繁に飛行機が飛び交う光景は威圧感もあり、かなり異様なものです

国民生活より「インバウンドが優先」の亡国政策 – まぐまぐニュース!

この中で、「この2本の羽田新航空路は、十分な国会審議や住民説明がないまま、安倍政権時代に官邸主導で強行されたものです。専門家からは、進入降下角の問題など、運行上の危険性もさまざま指摘されています」と書きましたが、今回の原因究明においては、直接的な原因究明だけに留まらず、羽田空港の運営上の潜在リスクについても徹底的に究明して欲しいと思います。

今のところ、週刊文春が取り上げています。

羽田空港「JAL機炎上」全真相 現役管制官が緊急告発!「離陸も着陸も」C滑走路の異常 – 週刊文春電子版

運航スケジュールの過密度、管制官の人員不足によるオーバーワーク、離陸と着陸の両方で併用していたというC滑走路の運用上の問題、官邸と国土交通省の思惑、国土交通省とその外局である海上保安庁の人事問題や確執など、危険な過密運用が常態化するようになってしまった背景に至るまで全容を調べ上げねばなりません。

その上で、日本の航空行政については、羽田と成田の役割分担や、一時期全国に乱立させた地方空港との連携や役割分担について、全体最適を目指した全面見直しが必要であると思います。

国土交通省は、早々とC滑走路の運用を再開しましたが、遠からずまた都心上空を低空で飛行機が飛び始めます。利便性から羽田だけを超過密化させた状況をこのまま放置していると、さらに深刻な次の大事故にも繋がりかねません。

今回の事故をきっかけに、インバウンドよりも乗客の安全や住民の生活を優先した航空行政への転換を強く望みます。

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