なぜ歯医者さんは初診でレントゲンを撮りたがるのでしょうか?当メルマガのテーマ「心理学」と一見関係のなさそうな話題に思えるかもしれませんが、お読みいただければ、この不可解なテーマが私たちの歯科医院に行くときの「心構え」に大きく影響してくることがおわかりいただけると思います。(『神岡真司の人生逆転の心理術』)
※本記事は有料メルマガ『神岡真司の人生逆転の心理術』2022年3月14日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
ビジネス心理研究家。日本心理パワー研究所主宰。法人対象のモチベーショントレーニング、組織活性コンサルティング、心のパワーアップセミナーなどで活躍。著書に『思い通りに人をあやつる 101の心理テクニック』(フォレスト出版)、『苦手な相手に勝つ実践切り返し術』、『必ず黙らせる「クレーム」切り返し術』(日本文芸社)、『効きすぎて中毒になる 最強の心理学』(すばる舎)など多数。
増えすぎた歯科医。かつては「脱税御三家」に数えられるほど儲かった
1960年代から80年代にかけての歯科医院は、儲かりまくっていました。「歯科医・産婦人科医・パチンコ屋」は脱税御三家といわれたほどだったのです。
当時は、健保適用外の新しい診療技法が次々と加わり、自由診療を望む人も多かったため、歯科診療所には虫歯に悩む子どもから老人まで多くの患者があふれ、レジには万札がうなった時代があったのです。
自由診療は歯科医の「言い値」で、料金が決まるからです。
しかし、90年代に入ると、保険診療の幅が広げられ、健保適用外の高額な自由診療が望めなくなっていきます。
そのうえ、厚労省は歯科医不足と見立て、歯科大の新設や定員増を図ったので歯科医は激増していきました。
2018年末の時点で、一般の医師の数が32万7,000人に対し、歯科医は約10万5,000人です。
医師には数多くの診療科目がありますが、歯科診療はほぼ単独科目でこの数字なのです(歯科、小児歯科、矯正歯科、口腔外科の4科だけ)。
しかも、多くの一般病院では「歯科」が併設されていないため、ほとんどの歯科医師が独立開業を目指します。
その結果、歯科診療所は全国に6万9,000近くもあり、コンビニの5万8,000店舗より多くなりました。これでは過当競争で儲からなくなります。
今では歯磨き習慣の浸透で虫歯の人も減っています。現在では厚労省も歯科大の定員を絞り込むようになりましたが、もはや後の祭りだったのです。
歯科医院開業にはお金がかかる
歯学部の国立大学の6年間の学費は、入学金も含めてほぼ一律で350万円です。しかし、私立大学だと、2,000万円台がザラで、3,000万円を超えるところも見られます。
そのうえ、歯科診療所を開設するとなると、内科の開業医よりも費用がかかります。テナント代に300~500万円、床上げ配管や内外装に1,000~1,500万円、医療機器に1,300~1,500万円、広告費や開業時の材料費、事務機器や運転資金に1,000万円は必要になるからです。
都内で開業すれば、軽く4,000~5,000万円はかかり、家賃も高額です。
こんな状況でも新規に開業する歯科医師はいるのですが、増加をたどっていた新規開業者数も17年には1,720件となり、廃業数が1,739件と初めて上回りました。