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なぜ歯医者さんは初診でレントゲンを撮りたがるのか?不必要な治療を迫る開業医の悲しき事情=神岡真司

憧れの結婚相手から転落。自由診療で儲けるしかなくなった

かつて「結婚するならお医者さん」だったのに、「歯科医」だけが脱落してしまいました。

儲かっている一部の歯科医を除き、多くの歯科医は莫大な借金を背負うリスキーな職業になったのです。

そのため、歯科医は初診のレントゲンで「親知らず」を発見したら、歯周病や虫歯でなくとも速攻で抜歯の提案をします。

30分程度で抜けば1万500円の収入になるからです。普通の抜歯だと1本1,300~4,700円の報酬ですが、埋伏歯は点数が高いからです。

また、インプラントをやりたがる歯科医も激増しました。インプラントは自由診療なので、歯科医が手術費を自由に決められます。

1本で35~50万円で手術を行う歯科医が一般的ですが、原価が1本1万円~5万円程度なので、非常に儲かるからなのです。

ただし、1本9~12万円などと激安料金を掲げ、患者を集める歯科医もいます。何だかんだと追加料金で価格を吊り上げる悪徳リフォーム業者のような歯科医なのです。

ちなみに、2017年厚労省の「医療経済実態調査」によれば、一般の病院の勤務医の平均年収は1,488万円で、開業医は2,748万円です。ただし、開業医はそれなりに設備投資にお金がかかります。医療機器のローンの支払いも楽ではありません。

一方で、病院勤務の歯科医は621万円で、開業した歯科医は1,188万円です。同じ医者でも、両者の間にはかなりの差があるわけです。

厚労省の杜撰な政策のツケで歯医者「過剰」に

かつて、2004年には、政治家へのヤミ献金や、迂回政治献金で逮捕者まで出し、政界を賑わせた「日歯連事件」というのがありました。歯科の診療報酬をアップしてもらうのが目的だった日本歯科医師連盟の幹部たちの悪あがきだったのでした。

2014年には、東京都北区の歯科開業医(56歳)が1億円の借金を歯科衛生士の妻(51歳)に知られ「自殺して保険金で返せ」と迫られて自殺する事件もありました。妻は自殺教唆で一時逮捕されましたが、書類送検ですみ、1億7,000万円の保険金を得ています。

「夜逃げ」や「自殺も珍しくなくなったのが、歯科医師の世界なのです。

厚労省の杜撰な政策による、歯科医師乱造の罪は大きいのです。

Next: 廃業する歯医者さんも増加中。過当競争の被害者にならないために

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