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コマツ株に異変?10日で株価16%急落…利回り約4%は買いか。長期投資家が見るべきポイント=佐々木悠

配当金はどうか?

株価の下落によって、配当利回りが約0.5%ほど上昇しています。
ここに期待して投資するのはどうでしょうか?

コマツの配当金は中長期的に増加しています。

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出典:マネックス証券

有価証券報告書に記載されている配当政策(配当に対する考え方を示す箇所)を見ると、「配当性向は40%以上を基準とする」という方針です。ちなみに、昨年の実績も約40%です。
今期は最終利益は11%減益の予想ですが、今のところ会社が期初に公表した配当予想の減配はなく、配当性向は約45%となる見込みです。

一方で、コロナ禍など業績が悪化した局面では、減配が起きています。建設機械という景気動向の影響を受けやすい特性上、今期の業績が想定以上に悪化した場合や、来期以降においても減配がないとは言い切れません
ここは注意が必要だと考えます。

目先の動向ではなく中長期的な観点ではどうでしょうか?

成長戦略はどうか?

問題は、この下落を踏まえてコマツに中長期的に投資するかどうかだと思います。
目先の建築機械の需要は厳しいですが、コマツという企業が中期長期的にどう成長するのかを把握することも大切です。

今年度までの中期経営計画に示されている、「コマツの目指す、ありたい姿」を見てみましょう。背景には、「モノとコト、両方の成長」という指針があります。(参考:100年企業戦略オンライン

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出典:コマツ 中期経営計画

グラフの一番左下、従来施工から右上へと成長してくイメージです。
コマツの現在地はレベル3(コトがデータモニタリング、モノが高度化単独自動)のようです。このモノとコトのレベルを上げていくことで、カーボンニュートラル(省力化やIT化)と安全性(無人化)を達成することを目指しています。

実はコマツの売上のうち、約40%は部品の交換やサービスなどのアフターメンテナンスが占めています。新車需要は経済・景気動向の影響によって上下しますが、アフターメンテナンスのビジネスは、過去に販売した台数によって需要が決まるため、比較的安定しています。

コマツは全世界で約73万台の稼働台数を保持しており、その全ての建設機械にコムトラックスという独自の機械稼働管理システムが搭載されています。衛星通信を通じて一状況鏡や、稼働情報、燃費などをモニタリングしていることから、適切なタイミングでメンテナンスの提案ができるのです。

これは私の所感ですが、コマツは建設機械とIT技術を組み合わせるのが上手な企業です。背景には機械の部品などを自社開発・生産していることという強みがあるためだと考えます。建設機械の安全性の向上と、IT技術を使った効率化や自動化のニーズは高く、既存の技術活用も上手です。したがってモノとコトのレベルを上げて、カーボンニュートラルなどを達成することで成長を目指すことができると考えます。

いかがでしたでしょうか?

最後に、この記事のポイントをまとめます。

  • 24年7月中旬以降、株価が急落した要因は主に2つ
  • それは為替が円高に振れたことと、建設機械の販売動向が良くないこと。景気変動のリスクがある企業である
  • 配当金は中長期的に増えているが、業績悪化時には減配が起きる企業。ここは注意が必要
  • 中長期的には製品(モノ)とサービス(コト)のレベルを上げることでカーボンニュートラルや建設の安全性向上を目指す
  • 筆者の所感では、この目標を実現できるだけの技術力を持った企業に見える

 

ちなみに、過去10年の平均PERは約17倍ですが、24年7月現在のPERは約11.6倍です。過去の水準に比べると低水準ですが、今期やその先の景気後退による需要低迷を織り込んでいる可能性があります。これらの情報をもとに投資判断をされてください。


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image by:Alexandre Prevot / Shutterstock.com
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バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』(2024年7月31日号)より※記事タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。

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