ワクチン接種率の向上が人流拡大に直接影響するため、それを予知してか、株価の動きが底堅くなってきました。どんな銘柄に注目するべきでしょうか?(『資産運用のブティック街』若林利明)
※本記事は有料メルマガ『資産運用のブティック街』2021年6月3日号を一部抜粋したものです。興味を持たれた方は、ぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。
外資系機関投資家を中心に日本株のファンドマネージャーを歴任。現在は創価女子短期大学非常勤講師、NPO法人日本個人投資家協会協議会委員。世界の株式市場における東京市場の位置づけ、そこで大きな影響力を行使する外国人投資家の投資動向に精通する。著書:「資産運用のセンスのみがき方」(近代セールス社)など。
コロナ後の動きを想定〜個人消費関連銘柄が視野に
市場の関心がコロナ後の景気の動きに移ったことは確かでしょう。
コロナに積極的に立ち向かう唯一の手段として、ワクチンが改めて認識されております。世界的に見ても経済復活への道は、このワクチンの接種率に大きく依存する形になりつつあります。
米国では、7月4日の独立記念日に、バイデン大統領の「コロナ克服宣言」という前提で物事が進んでいるようです。多くの行政機関がワクチン接種率向上のインセンティブを工夫しておりますが、その背景には独立記念日が念頭にあることが、大きく影響しているようです。
先見性をもって進む証券市場も、コロナ克服後の経済を想定し、銘柄物色へと進む動きが出ております。経済が正常な状態に戻るということは、ロックアウト・緊急事態宣言・人流抑制などいくつかの言葉の中で押しつぶされてきた個人消費の復活につながる道でもあります。
コロナ暴落を2020年の2月~3月に経験しましたが、その後の株価の戻りに関して、一般の製造業と比べて、個人消費関連はギクシャクした形になるケースが多く見られるようです。
それは第1次、第2次、第3次と、緊急事態宣言がコロナ禍を抑えきれず収束・拡大を繰り返しながら、ここまで来てしまったことにも遠因があるようにも思えます。
しかし、ワクチンという強力な攻めの道具を手に入れたことにより、諸外国の接種状況をみるにつけ、コロナの抑え込みが着実に進展することが、明らかになってきました。
東京市場でも、遅ればせながらコロナ後の銘柄物色がより本格的にできる状況がもたらされることになりました。
注目の業種は?
コロナ後の個人消費関連といっても多くの分野にまたがっております。目先、比較的理解しやすい身近な銘柄群で見る代表的企業を挙げてみます。
<百貨店(三越伊勢丹、高島屋など)>
消費を取り込む総括的業態であり回復は一般的消費傾向の指針。
<テーマパーク(サンリオ、オリエンタルランドなど)>
休業、入場者制限の影響は、ストレートに業績に反映、株価形成には株主優待等の影響が大きいことを考慮。
<外食(すかいらーく、ロイヤルホスト、サイゼリアなど)>
ファミリーレストランの回復は生活密着型として認識。
これらはいわゆる、人流拡大を伴う回復パターンで浮上してくる銘柄群です。緊急事態宣言下において行政によって営業縮小を余儀なくされてきた銘柄群です。
ワクチン接種率の向上が、人流拡大に直接影響するため、それを予知してか、株価の動きが底堅くなってきました。株価は今後6カ月~9カ月後の正常営業を読み込み始めつつあると言えましょう。
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