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セブン&アイ、カナダ同業から買収提案も成立しない可能性が高い理由。今後も「身売り」機会は増える?=澤田聖陽

8月19日、セブン&アイ・ホールディングスはカナダのコンビニ大手アリマンタシォン・クシュタールから法的拘束力のない初期的な買収提案を受けたと発表した。クシュタールの狙いと、買収が成立する可能性について解説したい。(『 元証券会社社長・澤田聖陽が教える「投資に勝つニュースの読み方」 元証券会社社長・澤田聖陽が教える「投資に勝つニュースの読み方」 』澤田聖陽)

※本記事は有料メルマガ『元証券会社社長・澤田聖陽が教える「投資に勝つニュースの読み方」』2024年8月20日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:澤田聖陽(さわだ きよはる)
政治経済アナリスト。国際証券(現:三菱UFJモルガン・スタンレー証券)、松井証券を経て、ジャフコ、極東証券にて投資業務、投資銀行業務に従事。2013年にSAMURAI証券(旧AIP証券)の代表に就任。投資型クラウドファンディング事業を立ち上げ拡大させる。現在は、澤田コンサルティング事務所の代表として、コンサルティング事業を展開中。YouTubeチャンネルにて時事ニュース解説と株価見通しを発信している。

セブン&アイHDが買われる?

8月19日、セブン&アイ・ホールディングス(セブン&アイHD)はカナダのコンビニ大手アリマンタシォン・クシュタール(クシュタール)から法的拘束力のない初期的な買収提案を受けたと発表した。

同日のセブン&アイHDの株価は終値2,161円で400円高のストップ高となった。

セブン&アイHDは社外取締役で構成する特別委員会を設立しており、買収提案の受け入れの可否などを判断する。

製剤産業省が2023年に策定した「企業買収における行動指針」では、経営支配権を取得する買収提案を受けた際は取締役会に付議または報告することを原則としており、買収提案が具体的で正当性のある内容だった場合、企業は「真摯(しんし)な検討」をするべきとしている。

8月19日終値時点での同社の時価総額は約5兆6,000億円であり、買収が成立すれば海外企業の日本企業の買収では過去最大となる。

セブン&アイ・ホールディングス<3382> 日足(SBI証券提供)

セブン&アイ・ホールディングス<3382> 日足(SBI証券提供)

クシュタールとは?その狙いは?

クシュタールは「サークルK」ブランドなど北米で約9,000店舗を展開しているコンビニ大手である(かつて日本でもユニーがライセンス契約でサークルKブランドのコンビニを展開していた)。

クシュタールは買収に積極的で2021年に仏小売り大手カルフールに買収提案をしたが、同国政府の反対で頓挫している。また直近では仏石油大手のトタルエナジーズから欧州でのガソリンスタンド網を買収している。

一方セブン&アイHDは、2021年に北米のコンビニ事業である米スピードウェイを買収している。

クシュタールが北米で展開しているサークルKなどのブランドはガスリンスタンド併設型のコンビニが主力で、セブン&アイHDのスピードウェイも同様の業態が主力だ。

クシュタールが最も興味を持っているのもこの分野だろう。

なおクシュタールの北米の店舗数は約9,000店舗に対し、セブン&アイHDは約1.3万店舗であり、それぞれ北米で1位と2位のシェアだ(しかしながら2社合わせても北米でのシェアは2割程度である)。

クシュタールの時価総額は約9.1兆円とセブン&アイHDの5.6兆円の約1.6倍となっている。

Next: 買収成立の可能性は極めて低い?今後の展開は……

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