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トーヨーカネツ、2030年度の売上高900億円、株価5,000円超を目指す 事業構造の最適化により高成長・高収益化を推進

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2025年11月27日に発表された、トーヨーカネツ株式会社2026年3月期第2四半期決算説明の内容を書き起こしでお伝えします。

ご説明内容

大和田能史氏:トーヨーカネツ株式会社代表取締役社長の大和田です。本日はお忙しい中、当社の中間決算説明会にご出席いただき、誠にありがとうございます。それでは決算説明会を始めます。

本日ご説明する内容は、2026年3月期上半期の決算概要と、資本コストと株価を意識した経営についてです。

連結業績サマリー

本日ご説明する内容の1つ目は、2026年3月期上半期の決算概要です。

上半期の連結業績は前年同期比で減収増益となり、売上高は274億8,000万円、営業利益は23億700万円でした。減収増益の要因は、主に物流ソリューション事業の減収増益によるものです。

経常利益は前年同期比4億2,300万円増の24億6,100万円となりました。親会社株主に帰属する中間純利益は前年同期比3,600万円増の16億5,300万円となっています。なお、1株あたりの年間配当金200円のうち、中間配当として100円を実施します。

次のページより、各事業の概況をご説明します。

物流ソリューション事業の概況

物流ソリューション事業の概況です。売上高は159億9,900万円、営業利益は22億5,600万円で、減収増益となりました。今年度の物流ソリューション事業は、大型案件がいったん落ち着いたことにより、売上高は踊り場にあります。営業利益については、製造の前倒しやコストコントロールが功を奏し、増益となりました。

受注高は167億3,900万円、受注残高は342億8,300万円で、いずれも前年同期に比べ増加しています。年間計画に対して、受注高はおおむね50パーセントで折り返しました。受注残高も引き続き豊富な状況です。

プラント事業の概況

プラント事業の概況です。売上高は57億5,700万円、営業利益は4億2,600万円となり、増収増益となりました。採算を重視した事業運営を進める中で、現場を1つ減らしましたが、その他の現場がカバーすることで営業利益率を向上させ、上半期を折り返しています。

受注高は74億1,200万円、受注残高は133億5,700万円という状況で、順調に推移しています。

みらい創生事業の概況

みらい創生事業の概況です。売上高は55億8,400万円、営業利益は2億6,500万円となり、増収減益となりました。増収の要因は、前年同期にはなかったグループ会社2社を連結化したことです。減益の主な要因は、第1四半期に計上したM&A費用によるものです。

当事業はM&Aに関連する業務を行っており、そちらも進捗がありましたので、後ほどご報告します。

連結貸借対照表

連結貸借対照表です。売上債権の回収により現金及び預金が増加し、製造工程の前倒しにより仕掛品が増えました。また、坂田電機の連結や環境計測の本社拡張などにより、有形固定資産や有利子負債が増加しています。その他の主な増減の内訳については、スライドに記載のとおりです。

連結キャッシュフロー

連結キャッシュ・フローの状況です。売上債権の回収や仕入債務の減少、契約負債などにより営業キャッシュ・フローが改善し、それらを投資および財務キャッシュ・フローに充てました。

現金および現金同等物の状況と主な要因については、スライドに記載のとおりです。

通期予想に対する各事業の進捗

5月に開示した通期業績予想の達成に向けた、各セグメントの進捗についてご説明します。

物流ソリューション事業の新設では、大型案件が一服しているものの、中小型案件でカバーしていきます。売上高はそれらの積み上げにより達成を見込んでいますが、営業利益に関しては、新システム納入に挑戦している案件や、踊り場の時期を前向きに捉え、研究開発を加速・前倒ししていることから、通期予想を据え置いています。

プラント事業は順調に進んでおり、海外のタンク補修案件も9月から本格的に始動しました。また、大型液化水素タンクの研究も計画どおり順調に進捗しています。

みらい創生事業については、グループ会社の連結により売上高には上乗せ効果があるものの、利益面での貢献はまだこれからといった状況です。なお、営業利益は当初から下期偏重の計画となっているため、計画数値の達成を目指して取り組んでいきます。

まとめ

以上、ここまでご説明した内容を一覧にまとめました。ご確認ください。

グループ中期経営計画の骨子

本日ご説明する内容の2つ目は、資本コストと株価を意識した経営についてです。

まず、現中期経営計画の骨子についてご説明します。経営戦略の基本方針は「未来に向けた成長基盤の確立」です。計画数値目標はスライドに記載のとおりです。この3年間も成長トレンドを維持していく計画です。

当社が中長期にわたる経営課題として考えていることは3つあります。1つ目は、事業成長のために事業構造を最適化し、資源を適切に投入することです。2つ目は、生産性の向上と利益獲得のために、業務の標準化や省人化に取り組むことです。3つ目は、将来の企業基盤をより強固にするため、多様性の確保や育成に資金を投下し、人材力の強化を図ることです。

これらは、私を含めた取締役が中心となり、全社一丸となって推進していきます。また、その経営の取り組みの上に、基本方針のもとで各事業体は事業拡大を図ります。事業については、各事業本部長が責任者となり、業務を執行していきます。

業績と株価等の現状評価

資本コストと株価を意識した経営の現状認識についてです。スライド左上にある株価とPBRの推移グラフをご覧ください。2021年3月期の株価は2,715円でした。それから株価は約1.7倍に向上しましたが、PBRは依然として1倍を下回る状況です。

スライド右上のグラフは株主資本コストとROEの推移を示しています。当社の株主資本コストはおおむね6パーセントから8パーセントの範囲にありますが、株主のみなさまのご期待を超えるリターンにはまだ達していないと認識しています。

過去2年間のROEは9パーセントを超えていますが、この中には土地の売却益や政策保有株式の売却益が含まれており、本業の稼ぐ力については、さらなる改善が必要と考えています。

スライド左下のグラフは売上高と営業利益の推移を表しています。当社は2017年に物流ソリューション事業が収益の中核となりましたが、従前よりご説明しているとおり、今年度は踊り場にあると承知しています。

PBR改善に向けた取組み

そのような認識のもと、資本コストや株価を意識した経営については、スライド下方に記載の取り組みを継続しています。本日は、特に赤枠で囲った「事業成長と収益性の向上」の取り組みについてご説明します。

事業成長と収益性の向上

当社の事業成長と収益性向上、さらに事業構造の最適化についての全体像です。当社グループは、3つの事業を展開しています。その中でもプラント事業と物流ソリューション事業のメンテナンスはキャッシュカウ事業です。

プラント事業は成熟市場であるタンクメンテナンスにおいて、お客さまからの高い信頼性を背景に安定収益を確保しています。

物流ソリューション事業のメンテナンスでは、当社が新設した物流センターのほぼすべてのメンテナンスを一手に請け負い、高い利益率を実現しています。

その利益を、物流ソリューション事業の新システム導入や開発、みらい創生事業の新たな成長に向けたM&Aなどに活用し、収益増加と企業価値の拡大につなげていきます。

利益の獲得 事業成長と収益性の向上

利益獲得の状況についてご説明します。物流ソリューション事業におけるメンテナンスは、過去に新設した施設の積み上げが影響し、売上高が順調に伸びています。昨年度の売上高は100億円となり、物流ソリューション事業全体に占める売上比率は3割を超えました。

メンテナンス事業はお客さまの現場と直接接点を持つため、リニューアル需要などにも迅速に対応できます。きめ細やかにお客さまとの接点を見出すために、カスタマーサポートセンターの拠点を適宜戦略的に増やしてきたことが功を奏しています。

一方で、プラント事業では、現場人材の確保、複数年契約の獲得、自動技術の導入などにより、この数年間で営業利益率を10パーセント前後まで大きく改善することに成功しました。

主に国内の石油プラントのメンテナンスを担当していますが、現場人材の減少によりタンクメンテナンス市場のプレイヤーが限定されてきたこと、そして世界第2位のタンクメーカーという当社の実績に裏付けられたお客さまからの信頼やパートナーシップを背景に、今後も安定した収益の獲得が見込めます。

未来に向けた投資 事業成長と収益性の向上

こうして獲得した利益は、得意とする領域と新たにチャレンジする領域に活用します。このページには市場環境に関するデータの一部が記載されていますが、物流ソリューション事業では特に得意としているEC市場の規模拡大およびEC化率の伸長の継続が予想されています。

今後はより全自動に近いレベルの自動化が進むと考えています。その過程において、最新技術を取り込み、新しい物流システムを構築し、それを提供することが重要です。

当社の特徴は、お客さまの課題を理解し、解決するためのソリューションを提供することにあります。例えば、スライドの写真にあるようなさまざまな機器を、高いエンジニアリング力によって最適化し、物流センターの運用をベストな環境に近づけることを今後も継続して行っていきます。

また、みらい創生事業は、現中期経営計画から環境・防災に軸足を置いて事業を形成していきます。この領域は、データに裏付けされた市場の成長が期待される分野です。

具体的には、アスベスト検査に強みを持つ環境リサーチ、河川水量の計測機器などのメンテナンスに強みを持つ環境計測、地すべり計測機器の製造や設置に強みを持つ坂田電機が、図示された持ち場でその機能を発揮していきます。

みらい創生事業の傘下にあるグループ会社がシナジーを創出することで、社会課題の解決に寄与し、持続可能な社会の実現につなげていきます。

未来に向けた投資 事業成長と収益性の向上

これまで説明した事業が成長していくために、未来に向けた投資を進めています。研究開発は成長基盤の中核と位置づけ、過去に比べて予算を増やして積極的に取り組んでいます。

具体的には、羽田空港の課題解決および未来の空港機能を目指した研究開発拠点「terminal.0 HANEDA」における新しい手荷物搬送システムの開発や、大型液化水素タンクの研究などが挙げられます。水素タンクについては、当初の計画どおり2027年度までに製造技術を確立する予定です。

M&Aについては、物流ソリューション事業とみらい創生事業の環境・防災領域で引き続き活動を進めています。物流ソリューション事業では、WMS(倉庫管理システム)をはじめとしたソフトウェア強化を目的に、ソフトウェアエンジニアを抱えるバーネット社のグループインを発表しました。

仕分けや出荷といった物流センターの後工程、荷動きの出口を熟知した当社が開発する新しいWMSは、プロトタイプまで完成しており、近い将来、サービス化できると考えています。

資本・財務戦略の強化およびIRトピックス

資本コストおよび株価を意識した経営の3つの施策について、残りの2つをお話しします。資本・財務戦略の強化に関しては、期初の中期経営計画発表の際にお伝えしたとおりでして、配当についても堅持していきます。

スライド右側のIRトピックスに関する内容です。当社は、多様な投資家がよりアプローチしやすく、株主になっていただけるように、12月31日を基準日、翌1月1日を効力発効日として、普通株式1対2の株式分割を実施します。これにより、出来高の増大や単価の引き下げを通じた市場取引の活性化および若年層を含めた株主層の拡大を促進します。

さらに、役付執行役員以上の業績連動型株式報酬に非財務指標の達成項目を新設し、経営陣として一層株価を意識した取り組みを加速させるとともに、社員への意識付けとして譲渡制限付株式の割当を決定しました。これにより、全社で株価を意識した経営を共有していきます。

また、IR専門部隊も新設し、海外ロードショーや株主招待イベントを実施するなど、投資家や株主のみなさまとの接点をさらに充実させ、理解の深化に努めています。

2030年のポートフォリオ変化

以上のご説明を踏まえ、現行の中期経営計画の先、2030年の事業ポートフォリオを想定した図が、こちらのスライドです。

物流ソリューション事業では、業務領域の拡大、新規顧客の開拓、メンテナンスの強化を通じて、主力事業として引き続き成長路線を維持します。

みらい創生事業では、環境系や防災系の企業を対象としたM&Aを推進し、グループ会社のシナジー効果を最大化していきます。

プラント事業では、タンクメンテナンスを中心に安定的な収益を維持するとともに、国内外のタンク新設需要を取り込み、水素に代表される次世代エネルギー貯蔵タンク技術の獲得を目指します。

2030年の売上と株価を見据えた経営

そして、これらの企業価値を高める活動を株価に結びつけていきます。2030年度には、当社グループ全体で売上高900億円を目指しています。これは、2024年度の2020年度対比で1.4倍の成長を維持すれば、達成可能な目標です。

具体的には、物流ソリューション事業は事業領域の拡大や市場拡大の自助努力により現在の370億円から450億円に、さらにM&Aにより仲間を増やし、600億円に引き上げます。プラント事業では150億円、みらい創生事業ではシナジー効果を発揮しながら150億円にそれぞれ拡大し、合計900億円の売上達成を目指します。

また、当社が積極的に推進しているESG経営が、世界的評価機関であるFTSE Russell社に認められ、「FTSE Blossom Japan Sector Relative Index」の構成銘柄に選定されました。この指数に連動したファンドなどを通じて、ESG投資も呼び込んでいきます。

IR活動についても積極的に展開しており、個人投資家のみなさまはもちろん、海外に赴いて機関投資家との対話を重ねています。このような直接対話を通じて、個人投資家および海外投資家の保有株数も増加しています。

スライドの左下のグラフにあるように、2020年からの株価上昇率の実績をもとに、2030年度にはPBR1倍と、さらなる株価上昇を見据えています。これを実現するために、売上高の増大、資本効率の向上、事業成長策の推進など、さまざまな手段を駆使して企業価値の向上を目指していきます。

本日は中間決算説明会ということで、上半期の実績、下半期の展望、そして成長戦略の進捗報告を中心にご説明しました。ご清聴ありがとうございました。

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