9月29日、日経平均は16,930円と大幅続落で大引けを迎えました。そんな状況もあってか追加の金融緩和への期待がにわかに漂ってきているようです。投資アドバイザー・長谷川雅一さんは、追加緩和について、可能性は薄いという市場関係者の見方をふまえつつも、安保法案で支持率を落とした安倍政権ならば、ない話ではないとしています。市場も期待薄ということは、もし実現すればポジティブサプライズになるはず。その場合、時期や規模感はどれくらいになるのでしょうか。(『長谷川雅一のハッピーライフマガジン』)
プロフィール:長谷川雅一(はせがわまさかず)
1959年、岐阜県生まれ。株式会社プレコオンライン(金融商品取引業)代表取締役社長。2000年より株式投資の研究を始め、日本で初めて「株の自動売買」という言葉を使った著書を出版。株式投資の世界では、「株の自動売買」ブームの火付け役として知られている。現在は、自動売買ソフトの開発、投資教室、メルマガの執筆など、多忙な日々を送っている。
追加の金融緩和、あるとしたら時期は?市場への影響は?
黒田バズーカの再現はあるか?
もうすぐ10月です。10月と言えば、去年の「黒田バズーカ」を思い出します。意表を突く金融緩和の実施で、日経平均は16,000円付近から20,000円付近まで駈け上がり、米ドル/円も109円付近から125円付近まで上昇しました。
黒田バズーカ後の、日経平均の上昇幅は4,000円(約25%)。米ドル/円の上昇幅は16円(約15%)です。ほとんど「あり得ない」レベルの上昇でした。
しかし、その後はご存知の通り。日経平均も米ドル/円も頭打ちとなり、8月24日の大暴落へとつながります。そして、暴落のショックがいくらかやわらいだ今、ふたたび「追加の金融緩和があるのでは?」と市場に期待感が漂い始めています。
さて、黒田バズーカの再現はあるのでしょうか?
多くの市場関係者の見方は……
残念ながら、市場関係者の多くは「追加金融緩和はない」と見ているようです。
すでに「これ以上の金融緩和は困難」というレベルまで、金融緩和を行ってしまっており、しかも効果はほとんど出ていない。さらに、日本が追加の金融緩和を行えば、それはドル高要因となり、日本が「通貨安競争」をしかけているとも、とられかねない。
こうした理由から「追加の金融緩和を行うのは無理だ」と見ている市場関係者が多いようです。
「やる」とすれば10月初旬?
ただ、安倍総理は、後先考えぬ、なりふり構わぬ人であり、趣味は「株価操作」です。なにしろ、株が上がると自分の手柄のように自慢しますから……。
また、今の日本の上層部に、安倍総理に逆らったり異を唱えることができる人はいません。皆、安倍総理の言いなりです。ですから、安倍総理、もしかしたら「やる」かもしれません。
市場関係者は、10月末(10月30日)の日銀金融政策決定会合での追加金融緩和を想定していますが、僕は、追加の金融緩和があるとすれば、早々と、10月初旬(10月6日~7日)の日銀金融政策決定会合で「やる」のではないか、と予想しています。
つい先日(9月25日)、安倍総理と日銀の黒田総裁が会見しましたが、そこで、安倍総理から黒田総裁に、「できるだけ早く、追加の金融緩和をやってくれ」という指示が飛んだ可能性を否定できません。
「底打ち」はまだ
ただ、なかなか大規模な追加金融緩和は難しい状況ですので、もしも追加の金融緩和があったとしても、それは「申し訳程度」の規模になる可能性が高いと考えます。であれば市場への影響は限定的でしょう。
日経平均のチャートは、かなりハッキリと、上昇相場から下落相場へのトレンドチェンジを示唆する形になっており、帰着点(底)は16,500円付近ではないか、と予想しています。追加の金融緩和があったとしても、よほどの規模でなければ相場の流れが変わることはなく、日本株は、まだしばらく低迷を続ける可能性が高そうだ、と考えます。
日経平均20,000円超えの水準から見れば、今の17,500円付近は割安なのは事実ですが、日経平均のチャートは、まだ、しっかり底を打っていない形です。ここはしっかり相場の動きを見極めつつ、フライングしないよう慎重に投資判断を行うべき局面ではないか、と考えています。
こうした状況にともない、米ドル/円(為替)も、しばらく頭の重い状態が続くのではないか、と予想しています。
『長谷川雅一のハッピーライフマガジン』(2015年9月27日号)より一部抜粋 無料メルマガ好評配信中 [無料 ほぼ平日刊]
※太字、チャートはマネーボイス編集部による
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