※この記事はアフィリエイト広告を利用しています
外資系金融機関で為替の最前線に身を置き、その後は個人投資家としても長年マーケットと向き合ってきた山中康司さんに、「相場観」とは何かをあらためてうかがいました。
山中さんの答えは極めて明快です。それは「相場で食べていける状態に到達しているかどうか」。一見シンプルなこの言葉の裏側には、経験の積み重ね、向き不向きの見極め、そして長く生き残るための現実的な視点が込められていました。
聞き手:鹿内武蔵
FX雑誌『外国為替』vol.6より再構成/インタビュー日:2023年7月19日
|
\最新号/雑誌『外国為替』vol.17 絶賛発売中です(2025年12月22日発売)。最新号の見どころ、目次は外国為替公式サイトでご覧いただけます! |
山中康司氏プロフィール

やまなか やすじ。1959年生まれ。慶応義塾大学法学部卒業。1982年バンク・オブ・アメリカ入行、1989年バイスプレジデント、1993年プロプライエタリー・マネージャー。1997年日興証券入社、1999年日興シティ信託銀行為替資金部次長。2002年アセンダント社設立・取締役。【著書】テクニカル指標の読み方・使い方(日本実業出版社)
相場観を身につけるまで2年かかった
─率直にお聞きします。山中さんが考える「相場観」とは何でしょうか。
一言でいえば、経験値だと思います。どのくらいの時間で必要な経験を積めるかは人それぞれですが、私の場合はおよそ2年かかりました。
─その2年というのは、銀行に入ってからですか?
そうですね。入行して、実際に自分でポジションを持つようになってからの期間です。2年ほど経った頃に、「これならこの仕事でやっていける」と思えた。その感覚がひとつの区切りでした。銀行にはさまざまな職種がありますが、私はディーラーとして配属され、この仕事で生計を立てられるという実感を持てた、ということです。
これを個人投資家に置き換えるなら、兼業・専業を問わず「トレードで食べていける」と思える状態に到達しているかどうか。それが、十分な経験値を積んだ証ではないでしょうか。相場観は当たらなければ意味がありませんから、結果を伴う正しい相場観を持つことが重要です。
─やはり、続けることが何より大切なのでしょうか。
数年取り組んで結果が出なければ、もう一度学び直して仕切り直すという選択肢もあります。ただ、人には得意・不得意があります。向いていないものを無理に続けるのもどうかと思います。
一般的に見て、相場で勝っていける人は10人に1人くらいで、残りの9人は仕事にしない方が良いかもしれません。半分は勝って半分は負けると思いますが、その中で食べていけるのは10人に1人くらいではないでしょうか。
─厳しい世界ですね。
経験値が相場観を作ると言いましたが、世の中には1万人に1人くらい、いわゆる天才がいます。そういう人は、もしかすると1日で全体像を掴んでしまうかもしれません。一方で、そうでない人は5年、10年取り組んでも身につかない可能性もある。テクニカルやファンダメンタルズを含め、天才はチャートを一目見ただけで売買の判断ができてしまうこともあります。
スポーツでも、ボールを持った瞬間にレベルの違いが分かる選手がいますよね。努力の結果そうなった人もいれば、最初から突出している人もいる。トレードも似た面があると思います。普通の人の場合は、多くの経験を積み、知識を吸収し、トレード技術やチャートの見方を磨いていく中で、徐々に自分なりの相場観が形作られていきます。
私がディーリングルームにいた頃も、残る人より去っていく人の方が圧倒的に多かった。どこかの段階で、自分に向いているかどうかが分かるんです。1〜2年で「自分はいける」と感じる人もいれば、そうでない人もいます。
当時の部下の中で、今もメガバンクや金融機関でディーラーを続けている人もいます。彼らは経験を積み、自分なりの相場観を確立し、これで一生食べていけると確信できた人たちでしょう。
結果として、現在もディーリングに携わっているのは3人だけで、他の人たちは別の道に進みました。
相場観を構成する三つの要素
─次に、相場観において重要なテクニカル分析とファンダメンタルズ分析について、山中さんの考えを教えてください。
テクニカルとファンダメンタルズは明確に定義できます。テクニカル分析は、基本的に値動きそのものを見る手法です。過去の値動きをもとに、将来を推測する。たとえば、ドル円が昨年秋に150円台をつけた後に大きく下落しましたが、現在の位置づけを大局的に判断する、といったイメージですね。(編注:インタビュー日は2023年7月19日)
一方、ファンダメンタルズは非常に範囲が広く、テクニカル以外の全てかもしれません。金利動向、コモディティ、市場全体の動き、金融論や経済学などを踏まえ、今の立ち位置がどうなのか考えて、分析していくことなどが含まれます。最近でいえば、各国の金利を見て、その金利差から為替を考えるような形でしょう。
相場観は最終的には経験値ですが、テクニカルやファンダメンタルズで得た知識が、経験として蓄積され、相場観に反映されていきます。そこには、実際のトレードを通じて学ぶリスク管理の感覚も含まれます。
私自身、最初は平気でナンピンをしていましたが、最終的にはやらなくなりました。利益が出ていても損失が出ていても、必ず損切りや利確の基準がある。銀行でも個人でも、有り金すべてを失うまで続けるのは現実的ではありません。
こうした判断は、実体験を通じて身についていくものです。テクニカル、ファンダメンタルズ、リスク管理。この三つが一体となって、その人なりの相場観が形作られるのだと思います。
─相場観にも多様性がある、ということですね。
その通りです。結局相場観というのは相場に勝つための見方という意味ですから、勝つためにどうすれば良いのかが自分なりに見えているかどうか。スイングとスキャルピングではマーケットの見方は全然違いますし、スキャルピングの場合はファンダメンタルズはあまり重要ではないですよね。それぞれが取引のスタイルに応じて経験値を積み上げて、勝つことができるようになれば「相場観がある」といえます。
ドル円だったら負ける気がしない
─以前のインタビューで、「インジケーターなしでも分析はできるけど、人に教える際に分かりやすいからインジケーターを使っている」とおっしゃっていました。それは、すでに相場観が身についているからでしょうか。
正直なところ、ドル円だったら負ける気がしないんです。トレンドが出たときに買いなんじゃないか、そろそろ買うのはまずいんじゃないかというのが、チャートやさまざまな人の発言から「気配」のように感じられます。ただチャートだけの分析とは全く別世界の話で、半分は自分の経験値からくるものなので、言葉では説明しにくいです。
分かりやすくいえば、過去の高値・安値を抜ける動きには注意します。ただそれだけでは足りなくて、何か自分の経験値をうまく表してくれるようなテクニカル指標はないだろうかと思ったのが、テクニカルの研究を始めたきっかけでした。私が現役のときは移動平均線とRSIくらいしか使っていなかったので。
結局答えはないんですが、いろいろなテクニカルを使って、このテクニカルのこの部分は面白いなとか、この部分は他で使えるかもしれない、ということを意識しながら、メジャーなテクニカルの見方を覚えれば、その人にとっての将来的な相場観を組み立てていく中で役に立つ可能性が高いと思います。テクニカルは当たるにしても外れるにしても、今すぐ答えが分かります。初心者にも理解しやすいですし、とっつきやすいです。
一方、ファンダメンタルズは難しく、教えるのも簡単ではありません。金利差のように分かりやすいテーマもありますが、その時々でテーマが違ってくるのが難点です。ファンダメンタルズには大きな枠組みはありますが、その大きな枠組みで相場が動くのはあくまでも長い目で見たときの話であって、実際の取引スパンでいうとファンダメンタルズは非常に難しいです。
私はテクニカルしか興味がないように思われがちですが、ファンダメンタルズも見るには見ます。ただ、あまり重視はしていません。1時間足で高値や安値を抜けたかとか、チャートの形がどうなのかという職人芸的な部分をより重視しています。
─山中さんが銀行をやめて個人投資家になったときに、勝てるまで時間がかかったと聞きました。
銀行のような金融機関で取引するのと、個人で取引するのでは動かせる金額が違います。また、銀行にいるときは大口の投資家やヘッジファンドがどう動いているのかが見えますが、個人投資家になってからは何も見えません。そこは大きな違いです。
瞬間的な動きでいえば金融機関にかなうわけはないので、多少情報量が少なくても影響を受けにくい取引スタイルに変えざるを得ません。最終的には取引スパンは長めになりました。常に値動きを監視する必要はなくて、瞬間ごとの数十銭のブレを気にしないスタイルです。実際、それにフィットさせるのに1年かかりました。15年やってた人が1年かかったのかと思われるかもしれませんが、私は経験値を積むのにそのくらいの時間が必要でした。個人投資家に転向した最初の1年は負けましたね。
─非常に示唆的なお話ですね。
個人投資家でも、FXから株、スイングからデイトレのように、取引のスタイルを変えると最初は損する可能性もあるでしょう。センスのいい人はすぐに勝つかもしれませんが、僕は自分のことを天才でもなければ全く向いていないわけでもないと思っているので、それなりに時間が必要かなと感じます。
重要なのは精神的な余裕です。私が独立してやっていこうと思ったときは、最悪10年間収入がゼロでもやっていけるだけの蓄えはあったので、精神的には余裕がありました。1年目はマイナス、翌年ゼロでも、3年目からプラスならいいじゃないかとのんびり構えていたので。自分に余裕がない状態でやっていくと精神的に負けちゃいますからね。精神的な余裕があれば、多くの人は経験値が蓄積されて、いずれ収益となって返ってくるのではないでしょうか。
相場観を養う方法
─相場観を養うための情報収集やトレーニング方法について教えてください。
相場を学んで経験することです。ファンダメンタルズを学ぶのにお勧めなのは、NHK出版の『投資家のための金融マーケット予測ハンドブック』です。教科書みたいな本でつまらないんですが、日本や米国の金融政策について全て書いてあります。そうした本から知識を得るのが一番です。
それとエコノミストのレポートを読むのも有効です。新聞を読んでも相場観やファンダメンタルズを身につけるのは難しいです。『経済レポート』というサイトでは主要通貨からマイナー通貨まで各社のいろいろなエコノミストの記事を読めます。例えば、SMBCの人の見方が自分に向いていると思えば、それを読み続けてこの人がどう考えているか確認すると良いですね。理論を実際の市場に当てはめてどう考えるのかを知るためにレポートを読みます。
─現在も参考にしているレポートはありますか?
今は一切読みません。自分なりに相場観が身についたし、ファンダメンタルズやテクニカルの見方もそれなりに身についているので、他人の意見に流されたくないんです。
見るのは数字と事実だけ、つまりニュースや要人発言です。例えば、植田総裁が「2%のインフレ率達成はまだ先」と発言し、それによってYCC(イールドカーブコントロール)の修正が遠のいて円売り、というのは非常に理にかなった判断です。しかし、それを自分で組み立てるのと、ニュースに書いてあるからそう思うのでは全然違うことです。
それを自ら組み立てるためにはファンダメンタルズの知識が必要ですが、YCCの修正があれば円売りから円買いになるとか、そうしたことが分かるなら事実だけで十分だと思います。人の意見を聞くと迷いが生じてしまうので。ただし、初心者は最初は人の真似をして意見を聞くべきです。これを身につけるには1年はかかりますが、それができるようになればしめたものです。
─テクニカルの学ぶのに最適な本があれば教えてください。
一番メジャーなものは『マーケットのテクニカル分析』で、これは世界で最も読まれた本ではないでしょうか。今はパンローリングから復刻版として出ています。最初に読む本としては最適です。
今はネットもあるし、翻訳ツールも優秀なので、なるべく海外の著名なサイトに目を向けるのも良いですね。日本語話者は1億3千万人くらいですが、英語を使っている人は25億人くらいいるので数が圧倒的に違うし、情報量も20倍。英語の情報に触れることは相場以外においても非常に重要です。
テクニカルにしてもファンダメンタルズにしても、人の意見に耳を傾けなくてもチャートを使って売買できれば十分です。こうした練習を1年くらいやるのも一つの手だと思います。いきなりトレードして損してしまうよりは、ある程度準備をして望めば五分五分よりは勝てるのではないでしょうか。
インタビュー日:2023年7月19日
外国為替編集部が推せる「チャート分析」がしやすいFX口座4選
裁量トレードのためにしっかりとチャート分析をしたい! まさにいまそう思っている方向けに、ここでは使い勝手がよく、分析がしやすいチャートツールを無料で使えるFX口座を外国為替編集スタッフの上岸(TradingView派)が厳選しました。チャートツールの利便性以外にも、1,000通貨から少額取引可能、取引手数料0円、安心のカスタマーサポートありと、FXを始めやすい条件を満たした会社を選んでいます。
|
FXTF(ゴールデンウェイ・ジャパン) |
プロが利用する2つのチャートツールを提供!
FXTFでは2つのFX取引口座があり、FXTF GX口座ではTradingViewを、FXTF MT4口座ではMT4を利用可能。どちらもFX業界では有名なチャートツールです! インジケーターや描画ツールの充実度、チャート画面の見やすさや操作のしやすさでFX口座を選ぶなら一度公式サイトで取引ルールも含めてチェックしておきましょう。 ■公式サイトで詳細をチェック → ゴールデンウェイ・ジャパン |
|
みんなのFX(トレイダーズ証券) |
TradingViewを使いながら好条件な取引を可能にしたFX会社!
★ポジションブック、オーダーブック利用可能(口座開設者限定) 総合力で選ぶなら最有力候補に挙げられるのが、このみんなのFX。そもそも低スプレッド&高スワップポイントなFX口座なのですが、12種類のLIGHT通貨ペアではさらに好条件に! TradingViewを利用できる上に、自社の独自コンテンツも盛りだくさん。取引ツールも配信情報も抜かりありません! ■公式サイトで詳細をチェック → みんなのFX |
|
LION FX(ヒロセ通商) |
取引&分析ツールの多さは業界屈指!好みのツールがきっと見つかる!
短期取引向きのFX口座。取引ツール、通貨ペア、注文方法など「種類の多さ」がヒロセの魅力! 毎月実施される豪華食品プレゼントキャンペーンは要チェックです! チャート&取引ツールはデバイスごとに用意されている充実ぶり。画面サイズの小ささからチャート分析には不向きだといわれるスマホアプリですが、ヒロセ通商のそれは一切の妥協なし。スキャルOKなFX会社らしくチャート画面から直接注文できる、チャートの横移動や拡大縮小が自由自在にできるなど、ストレスフリーな機能&操作性を実装しています。 ■公式サイトで詳細をチェック → ヒロセ通商 |
|
DMM FX(DMM.com証券) |
PC版もスマホ版も直感的な操作で分析&取引できる!
みんな知ってるDMMグループのFXサービスは高水準のサービスがウリ。かつては少額取引ができないことがデメリットとして挙げられていましたが、最小取引単位が1,000通貨の「ミニ通貨」が誕生してからは、2〜3万円の資金から始めてみたいFX初心者も利用できるサービスへと変貌。あらゆるタイプの方が高水準のサービスを利用できるようになりました。取引ツールはPC版スマホ版いずれも直感的な操作が可能なのでチャート分析に集中できます! ■公式サイトで詳細をチェック → 【PR】FXを始めるなら≪DMM FX≫! |
FX専門誌『外国為替』のご案内
・雑誌『外国為替』とは
世界で一番まじめなFXの教科書を目指して進化し続ける、FXの知識と技術を学べる専門誌です。体系的にFXを学んだ投資家それぞれの人生が、ほんの少し豊かになる。そんな未来を私たちは思い描いています。
全国書店・Amazon、ネット書店にて発売しています。定価:980円(本体891円)
・『外国為替』最新号のお知らせ
vol.17は「先達に学ぶ」がテーマ。秒スキャ覇者への特別インタビューの他、裁量トレードから自動売買、テクニカルからファンダメンタルズまで、業界の重鎮からの圧倒的手ほどきを特集。今月の表紙・白田まい/【特集】黒田雄士のFX三番勝負〜その1岐阜暴威編/その2YEN蔵編/第2特集 相場の羅刹に問う!NOBU塾× anan/松崎美子×ごはっちゅう/鹿内武蔵×ちょる子
・『外国為替』最新号の詳細をAmazonで見る
雑誌、電子書籍で販売。Kindle Unlimited会員は無料でご覧いただけます。

