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ウィルグループ、中期経営計画「WILL-being 2026」で正社員派遣・外国人雇用支援モデルへ転換し再成長を加速

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2026年2月14日にログミーFinance主催で行われた、第124回 個人投資家向けIRセミナーの第1部・株式会社ウィルグループの講演の内容を書き起こしでお伝えします。

目次

角裕一氏(以下、角):代表取締役社長の角です。では、ウィルグループとはどのような会社なのかについて、スライドに沿ってご紹介します。

1. ウィルグループとは -会社概要-

:まずは、ウィルグループの概要です。冒頭でもご紹介いただきましたが、当社は人材サービスを日本、シンガポール、オーストラリアを中心に展開しています。人材サービスといってもさまざまな種類がありますが、主に展開しているのは人材派遣と人材紹介です。

1. ウィルグループとは -特徴-

:当社の特徴は、「持続的な成長性と安定性」を持った会社である点です。今日はこれだけでも覚えていただきたいです。

1. ウィルグループとは -沿革と成長の軌跡-

:「本当に持続的な成長性と安定性を持っているのか?」という点についてです。こちらのスライドでは当社の創業から現在に至るまでの売上と利益の推移を示しています。

1997年の創業から約30年、リーマン・ショック、東日本大震災、新型コロナウイルス感染症(コロナ禍)など、経済全体に大きなダメージを与える出来事が多数ありました。

そのような状況下でも、当社は時代の変化に適応しながら力強く成長を続けてきました。この業績推移をご覧いただければ、その点をご理解いただけると思います。

増井麻里子氏(以下、増井):それでは、ご質問を挟みながら進めていきます。

まず、先ほどの成長の軌跡では、コロナ禍とポストコロナにおいて営業利益率が非常に高く見えます。どのような要因があったのでしょうか?

:主な要因は海外です。当社が展開しているシンガポールとオーストラリアでは、新型コロナウイルス対策が非常に厳格でした。

例えばシンガポールでは、社員が出社するとその会社の経営陣が書類送検されるほど厳しく、オフィスにまったく出社できない状況でした。時には買い物も制限される場合があり、転職市場がほぼ停止してしまったのです。

2020年から2021年は特にそのような傾向が強かったのですが、2022年以降は制限がかなり緩和され、転職市場が再開し始めました。

当社は、この海外の状況を「リバウンドバブル」と呼んでいます。求人を出す企業側と転職を目指す求職者側が一気に動き出したことで、需要を大きく獲得することができました。

他社の多くは2020年、2021年中にキャリアコンサルタントを大幅に削減しましたが、当社は1人も削減せずに維持しました。この経営判断によって他社以上に需要を獲得することができ、2022年、2023年には収益を大きく向上させることができました。

増井:現在はその後の状況となりますが、当時のような営業利益率4パーセントといった水準に再び到達することは可能なのでしょうか?

:はい。後ほど当社の現在の戦略についても触れますが、収益性を高めることを最重要ポイントとしています。

将来的には4パーセント台、さらにはそれを超える水準を目指し、単に販管費を削減して一時的に利益を捻出するのではなく、粗利をしっかりと高め、利益を持続的に創出できる状態を構築していきます。「当然、4パーセントは超える」と考えています。

1. ウィルグループと業界を知る -当社の人材業界におけるポジション-

:当社の持続的な成長性や安定性について、あらためてお話しします。

日本の人材派遣市場は、世界で最も派遣事業者数が多く、世界で最も競争が激しい市場といわれています。

そのように競争が非常に苛烈な業界の中、当社は売上高(2024年度基準)で現在第8位、さらに売上高成長率(2013年度から2024年度)では第6位に位置しています。これからもこの順位を徐々に上げていけるよう、努力していきます。

いわゆる比較的後発で参入したプレーヤーでありながらも、しっかりとこのポジションを形成していることから、当社は持続的な成長性と安定性を兼ね備えていることがおわかりいただけるかと思います。

1. ウィルグループとは -なぜ持続的な成長性と安定性があるのか-

:では、なぜ当社がこのような安定性と成長性を持っているのか、その理由は3つあります。

専門性の高い人材サービスを展開していること、バランスの取れた事業ポートフォリオを形成していること、そしてオーガニック成長とM&Aによる成長を実現していること、この3点が挙げられます。

1. ウィルグループとは -カテゴリーにおけるマーケットシェア-

:まず、1つ目の「専門性の高い人材サービスを展開している」という点に触れたいと思います。

当社はさまざまな職種に対応する人材サービスを展開していますが、介護に特化した事業、建設に特化した事業、販売に特化した事業といったように、職種ごとに事業を切り分けて展開しています。

各職種の顧客や求職者と向き合い、専門性を蓄積することを重視した結果、どの職種においても業界シェアトップテンに入っていることがわかるかと思います。

1. ウィルグループとは -後発参入でもシェアを獲得できる「強み」-

:なぜ後発参入ながらシェアを獲得することができるのか、その理由は、当社が3つの強みを有しているからです。1つ目は成果追求、2つ目は人材育成、3つ目は定着率向上です。

「派遣で成果追求なんてできるのか?」と思われるでしょうし、人材育成についても「派遣でそんなことが可能なのか?」と捉えられるかと思います。

スライド下段に記載のとおり、管理者が常駐するという点がポイントです。

当社社員が派遣先に常駐し、スタッフを初日から安心して働けるように迎え入れ、トレーニングを行い、働きやすい職場を整備し、チームを形成しながら全員で成果を追求する目標を設定しています。これにより、現場でパフォーマンスを向上させる取り組みを展開しています。

当社では十数年にわたり、退職時のアンケートを実施しています。その結果、派遣スタッフの退職理由として挙げられるのは常に2つです。主な理由は人間関係と、もう1つは仕事が合わなかったことです。

まず人間関係ですが、初日のお昼休みなどの休憩時間は孤独で非常に辛い時間を過ごす場合もあります。その状況で、「明日も職場に行きたい」とは思えないでしょう。このような日常が最初の3日間ほど続けば、「もうこの職場は合わないのかな」のような状況になりかねません。

そこで当社では、初日から派遣スタッフ同士や社員との関係性を築き、人間関係を形成できる環境を提供しています。

また、派遣スタッフが仕事に初めて取り組む際、なにもわからない状態でしっかりと指導を受けられないのでは困ります。そのため、当社の社員が初日から丁寧にトレーニングを実施し、わかりやすく教える体制を整えることで仕事にも慣れ、チームビルディングを行っています。

そこから「ウィルグループとして、より良い評価をみんなで獲得しにいこう」という目標をチームで設定し、全員で成果を上げることで、お客さまから「こんな会社があったのか」という評価を獲得できます。これが、当社の強みです。

1. ウィルグループとは -ハイブリッド派遣-

:当社では、顧客先に社員および管理者が常駐する仕組みを「ハイブリッド派遣」と呼んでいます。この仕組みにより、実は営業所も非常に有利になります。

具体的なお話をすると、通常お客さまが派遣契約を結ぶ際、複数社を同時に利用することが一般的です。

例えば、50名、100名、300名、500名といった派遣スタッフが常に勤務している状況では、5社から10社の派遣会社が関わります。100名以上の規模になると、当然ながら欠勤、遅刻、早退など、勤怠上のトラブルが必ず発生します。

また、例えば製造業の場合は「急遽ラインの増設が決まりました」という販売エリアを拡張したり、2週間後にキャンペーンを実施したりと、現場でさまざまな需給変動が発生します。

このような状況は、お客さまの管理者にとって非常に重要な問題となります。その際、相談できる頼れる人がゼロ距離にいることが大切です。

当社は、欠勤が出た場合の「今日、何とかならないか?」や、「2週間後にキャンペーンが始まるのですが、どうしたらいい?」などの対応が可能です。

このような相談できる仕組みによって、他社の営業マンよりも当社の現場に常駐する管理者がお客さまの良き相談相手となり、最初にオーダーを獲得できるポジションを築いています。

このように常に評価を高め、お客さまとの関係性をしっかり構築することで一番早くオーダーを獲得することが可能となり、市場シェアを伸ばしてきました。その結果、どのカテゴリでもトップテンに入ることができているのが、当社の強みです。

増井:「ハイブリッド派遣」について、一般派遣と比べてどのような点が最大のメリットだと感じられますか?

:先ほど述べた部分が、最大のメリットだと思います。まずは、スタッフの定着率につながる点です。

さらに、チームビルディングを通じて成果を向上させることができます。その結果、業務請負という、派遣からさらに高いレベルのサービスへ移行することも可能になります。

また、営業的観点から見ると、どこよりも早くオーダーを獲得することでシェアを拡大していける点もあります。

このように、良いサービスを構築するという意味と、営業において他社よりも迅速にオーダーを獲得するという、2つの面で非常に大きなメリットがあると考えています。

増井:他社から真似されることはないのですか?

:実際に真似されることもあります。なぜなら、人を配置すればそれで済むためです。

しかし、他社はなかなかうまくいかないことが多いです。その理由は、派遣先に常駐すること自体が非常にタフな業務であるためです。

例えば、当社に50人のスタッフがいるとします。すると、彼らから多くの相談が寄せられます。また、お客さま側でトラブルが発生すると「こんなことがあったのですが」といった具合に、管理者が板挟みになる状況も生じます。そのため、精神的にもフィジカル的にも非常に大変です。

では、なぜ当社がこれをうまくできているのかというと、まずはスタッフの中からこの業務に適性がありそうな人材を常に探しているという点があります。

また、当社の支店長やエリアマネージャー、部長、さらには役員に至るまで、全員が現場での管理業務を経験しているのです。

増井:ノウハウがすべて蓄積されているのですね。

:そのとおりです。支店長も常駐する管理者の気持ちを理解しているため、支店側の支援体制として、管理者の声を最優先で聞くことを大切にしています。それが守りと攻めの両面で重要なポイントとなります。

このように支店側のバックアップと連携が取れていることや、人選を確実に行えるノウハウがあること、さらに経営層から現場まで全員が管理業務を経験していることなどが、他社には容易に真似できない体制を作り上げています。

増井:なるほど、よくわかりました。ありがとうございます。

1. ウィルグループとは -事業セグメントと売上構成-

:2つ目のポイントである「バランスの取れた事業ポートフォリオ」について説明します。

こちらのスライドが、当社のポートフォリオです。外側の円の赤が日本国内の売上比率、青が海外の売上比率を示しています。国内が約6割、海外が約4割となっており、当社は海外比率が非常に高い人材会社であるといえます。

内側の円は、職種ごとの比率を示しています。例えば「建設がほとんどです」「販売がほとんどです」「製造がほとんどです」といったように特定の職種に大きく偏るプレーヤーも多い中、当社はひとつに大きく偏ることなく、各職種が比較的分散している構成となっています。

「なぜこれが安定性と成長性につながるか?」というと、例えば、リーマン・ショック時に最も影響を受けたのはファクトリーアウトソーシング領域でした。現在ファクトリーアウトソーシング領域の売上比率は13.3パーセントですが、当時は20パーセント以上あり、大きなダメージを受けました。

一方で同じ時期に非常に強い需要を獲得できたのが、セールスアウトソーシング領域におけるスマートフォン販売です。2009年頃に「Twitter」や「Facebook」が日本に上陸し、iPhoneが日本市場で力強くキャンペーンを展開しました。

その際、当社は大手通信会社と連携し、日本全国でスマートフォン販売需要を積極的に獲得することに成功しました。これにより、ファクトリー部門のダメージをカバーし、業績全体を支えることができました。

このように、一部の事業が厳しい状況に陥っても、他の分野でカバーできるという安定性が当社の特徴です。

また、全体的に常に一定の需要がある中、それをしっかりと獲得することにより、事業全体として10パーセント程度の売上を安定的に形成するポテンシャルを持ち続けています。この安定性と成長性は、当社のポートフォリオからも明らかです。

1. ウィルグループとは -売上構成の変化-

:このポートフォリオは、突然生み出されたものではなく、以前から徐々に意思を持って変化させてきたものです。

海外市場は、すでに展開開始から10年以上が経過しています。当時は日本の労働人口が減少しつつあり、派遣という人材サービスだけでは無限に展開できるとは考えられませんでした。

そのため、国内だけでなく、人口増加率やGDP成長率が日本よりも高い国々での展開を進めることにしました。

円グラフをご覧ください。左側は、2013年当時の当社のポートフォリオを示しています。2013年以降、海外市場を大きく切り開いてきたことに加え、日本国内では建設や介護分野の新たな市場を開拓してきました。

このように、2013年と現在を対比すると、当時は存在しなかった青色の事業で約60パーセント以上を構成し、現在の当社のポートフォリオを築いています。

これからもポートフォリオを常に進化させ続けることで、持続的な安定性と成長性を追求していきたいと考えています。

1. ウィルグループとは -マーガニック成長戦略-

:3つ目のポイントは、オーガニック成長とM&A成長です。当社はオーガニック成長だけにこだわらず、これまでにM&Aで25社を買収してきた歴史があります。

1. ウィルグループとは -海外Working事業の業績推移-

:主に海外にフォーカスしていますが、海外展開はすべてM&Aによって形作ってきました。

そのため、国内だけでなく海外でも、すべてをオーガニックで行うと時間がかかるところを、オーガニックとM&Aの活用との組み合わせにより、力強い成長を実現している点がウィルグループの特徴です。

1. ウィルグループとは -これまでの海外M&A戦略-

:人材業界は、海外においてM&Aの失敗事例が多い業界ではありますが、当社では成功率が非常に高いです。その理由として、スライドの中央にある「買収スキーム」についてご説明します。

当社では、アーンアウトのスキームを採用しています。具体的には、株式を段階的に取得する方法です。初回に50パーセント超を取得した後、1年から3年かけて段階的に関連子会社化するというものです。

アーンアウト期間を設けることで、買収された側の経営陣が当社のスタイルを理解できるとともに、当社側もその会社を深く理解することができます。連携を強固なものにするためにどのような協力体制が必要なのか、またウィルグループの経営スタンスや価値観とは何かを相手に理解してもらうことができます。

次に、ターゲットの選定についてです。当社は人材サービスグループとして、人材派遣や人材紹介事業を中心に買収を進めています。先ほどもお伝えしたように、日本以上に人口増加率やGDP成長率が高い国々や、創業オーナー経営者からの事業承継が計画的に進められる企業を対象としています。

主に、仕事のスタイルや価値観が大きく異なりすぎると、たとえアーンアウト方式を採用しても連携が困難になる可能性があります。そのため、経営スタンスや価値観がしっかりと共有できる企業を選定しています。

経営陣がその立場にとどまるだけでなく、しっかりと現場に降りて一緒に事業を展開しようとする意志があるかどうか、また、成長姿勢を持つ経営者かどうかをしっかりと見極めながら買収を行っています。これらの点が、当社の成功率の高いM&Aの理由だと考えています。

増井:M&Aについておうかがいします。国内外で25件ほどの成功例があるとのことでした。海外についてはご説明いただきましたが、国内ではどのように成功を収めてきたのでしょうか?

競合他社ではうまくいっていないケースも多いかと思いますが、その点でどのような違いがあるのでしょうか?

増井:国内におけるこの10年間のM&A事例では、建設事業が最も代表的です。最初の2年間程度は、お互いに理解を深める期間として、いわゆるPMIの重要なプロセスをウィルグループが主導し、買収企業がなじむための期間となっています。

経営陣は買収した企業に積極的に関与し、その企業の強みや課題を理解したうえで、戦略を大胆に変更していきます。

例えば、建設事業では経験者に特化して事業を展開していた企業を、未経験者を積極的に受け入れ、派遣するという新たなスタイルへと転換する戦略を取りました。

経営陣を入れて終わりではなく、「これが勝ち筋だ」ということがわかった段階で、ウィルグループから惜しみない投資と支援を行います。投資とは、いわゆる資金的な投資だけではなく、人的投資も含みます。

経験を持つ人材の採用が近年非常に難しくなっている一方、グループ内で優秀な人材を一気に建設事業へと移行させることができた点が最大のポイントかと思います。

増井:御社が豊富な人材を抱えていることが強みとなったということですか?

:そのとおりです。加えて、必要に応じて人材の移動も進めています。

増井:移動を思い切って実施したことが成功の要因ですね。

:そのとおりです。

2. 事業説明 -人材サービスを取り巻く環境①-

:当社の事業説明に入る前に、当社を取り巻く環境についてお伝えします。こちらのスライドは、日本国内の生産年齢人口のグラフです。労働人口が1,300万人減少すると記載がありますが、労働人口が減少していくことはみなさまもご存知かと思います。

2. 事業説明 -人材サービスを取り巻く環境②-

:スライド左側は、労働需給シミュレーションのグラフです。このグラフによると、2040年頃には1,100万人以上の人手不足が予測されています。

現在は200万人弱の不足ですが、需給ギャップがさらに広がっていく見込みです。

スライド右側の2040年の職種別労働需給ギャップをご覧いただいても、どの職種も労働需要が労働供給を上回っていることが示されています。需要は非常に旺盛である一方、供給側に大きな課題がある環境であると言えます。

また、スライドの赤枠で示している部分は、現在当社が力を入れて展開している事業領域です。この領域においても、大きな需給ギャップが存在しています。

2. 事業説明 -当社の課題と中期経営計画(WILL-being2026)による転換-

:当社は2024年から中期経営計画「WILL-being 2026」を展開しており、その中で戦略を大きく転換しました。

スライド左側のBeforeにあるように、当社はこれまで有期雇用を主体とした派遣事業で成長してきたグループです。

しかし、右側のAfterをご覧いただければわかるとおり、正社員派遣や外国人雇用支援という、従来の有期雇用とはまったく異なるビジネスモデルを掲げ、この中期経営計画で再成長を目指して展開しています。

2. 事業説明 -事業ポートフォリオの転換-

:正社員派遣と外国人雇用支援についてです。スライドは、当社が展開している「Before」と「After」の対比を示しています。

左側のグレーの部分は人材派遣(有期派遣)と業務請負です。これまで、当社はここで成長してきました。売上総利益率は、14パーセントから17パーセントとなっています。

一方、中期経営計画で当社が力強く推進することを決めた、右側の赤い部分で示した正社員派遣と外国人雇用支援は、売上総利益率がはるかに高いことがわかります。

また、定着率については、有期派遣の場合、基本的には3ヶ月の有期雇用契約を継続的に更新する形式のため、定着率は低い、もしくは中程度となります。

一方で正社員派遣は雇用形態が正社員となるため、定着率が高くなります。外国人雇用支援は特定技能を中心とした制度であり、基本的に5年間働くことが決まっているため、定着率も高い水準にあります。

市場成長性も、有期派遣は採用コストの増加により成長が難しい一方、正社員派遣や外国人雇用支援は特にエンジニア分野や人手不足の解消を目的とした外国人雇用の需要が非常に高まっており、市場成長性が高いといえます。

とはいえ、「そんなに正社員派遣や外国人雇用支援へ転換して、本当に上手に展開できるのか?」という疑問があるかと思います。

スライド下段の既存財産との相性について言えば、有期派遣のオペレーションをそのまま展開することが可能です。オペレーションが同じであればスキルも同じであるため、互換性が非常に高く、派遣で培ったスキルを活かして展開できます。

さらに、同一クライアントから正社員派遣のオーダーを獲得できるため、同じクライアントのアセットを活用し、当社が正社員派遣や外国人雇用支援を行うことが可能です。この結果、3年間で急速にこの領域を拡大することに成功しました。

増井:正社員派遣において、労働者にとっては3年ルールの適用外となり、安定を得られるというメリットがあります。また、派遣先企業にとっても固定費ではなく変動費として扱えるという利点があります。このような市場は、これから成長すると予想されるのでしょうか?

:成長し続けると思います。

増井:やはり、正社員として企業で働きたいという方ばかりではないということなのでしょうか?

:そうですね。正社員として派遣会社で働くという働き方は、1社で働く一般的な正社員としての働き方とは大きく異なっており、私はとても良い働き方だと思っています。

さまざまなライフイベントがあある中、例えば女性の場合は配偶者の都合で転居しなければならなくなったとしても、派遣会社の正社員であればどこでも働くことが可能です。

我々がこれまで展開してきた典型的な有期派遣はカジュアルな仕事が多く、なかなかキャリアアップが難しい側面がありました。

一方、正社員派遣の場合は習熟性を求められる業務が多く、例えばエンジニア系などの仕事が中心となります。そのため、手に職をつけることができ、収入も増やしていくことができます。

自由であることとキャリアアップが可能であるという2つのメリットを持つ働き方は、おそらく正社員派遣にしかないと考えています。

増井:確かに、そのとおりですね。

:求められる働き方という点で求職者には大きなメリットがあり、今後も需要は増加するでしょう。また、クライアント側から見ると、エンジニア業界では深刻な人手不足が続いています。そのため、供給が需要を上回ることはほとんどないと思います。

増井:エンジニアを正社員として雇用するには、ハードルが高いと感じる企業が多いのでしょうか?

:そうですね。特にITや建設業界においては、プロジェクト型の仕事が非常に多いです。

例えば、建設業では建築現場が1つのプロジェクトとして扱われます。そのため、ゼネコンはできる限り変動に対応できる形態を求めています。また、製造業にも半導体分野において需給ギャップがあるため、同じような状況となっています。

需給変動に合わせたいという理由で、当社に依頼される仕組みは今後も変わらないと思います。

増井:現在の会社でプロジェクトが終わった後も別の会社で始まり、また移動ができるということですね。

:そのとおりです。

2. 事業説明 -正社員派遣人数と外国人雇用支援人数の推移-

:正社員派遣と外国人雇用支援の取り組みについてご説明します。スライド左側に示しているのは正社員派遣の稼働人数ですが、この2年半で約2,600人増加させることができました。

外国人雇用支援も、同様に約2,600人を増やすことができており、非常に高い成長率を誇っていることがわかります。

2. 事業説明 -正社員派遣スタッフの採用(建設技術者領域)-

:建設技術者領域における正社員派遣スタッフの採用については、スライド左側に示しているように、外国人の入社にも取り組んでいます。

スライド右上は、ベトナムのハノイ国立土木大学との業務提携の風景です。スライド右下は、BIM/CIMエンジニアのトレーニングをハノイ国立土木大学と連携して行い、我々が授業を支援しながら成長した方々にエンジニアとして日本で働いていただく取り組みです。

2. 事業説明 -正社員派遣スタッフの育成(建設技術者領域)-

:スライド左側にある座学だけでなく、スライド中央や右側に示されている実地のトレーニングを組み合わせることで、スキル向上に努めています。

2. 事業説明 -正社員派遣スタッフの育成(建設技術者領域)②-

:また、AI学習アプリ「Monoxer」を活用したトレーニングを行っています。2級施工管理技士の技術検定に対応した学習アプリです。

このAI学習アプリを活用したグループが右側、活用しなかったグループが左側の結果です。合格率を比較してみると、明らかにAIを活用したグループのほうが高い結果となっています。

このように効率性を重視しながら、当社のエンジニアたちのキャリアアップに取り組んでいます。

2. 事業説明 -正社員派遣スタッフの定着(建設技術者領域)-

:正社員派遣スタッフは、ふだんは派遣先で仕事をしているため、自分がどこの所属なのかが不確かになることもよくあります。そのため、社内の交流会や表彰式を実施し、特にがんばっている社員を徹底的に称えることを会社全体で取り組んでいます。

2. 事業説明 -平均契約単価の上昇(建設技術者領域)-

:このような取り組みがお客さまに評価されている結果として、スライドに示すように各年次の請求単価が上昇し続けていることがおわかりいただけるかと思います。特に1年前の請求単価と比較すると、平均5パーセント上昇しています。

2. 事業説明 -外国人雇用支援(入社前研修)-

:外国人雇用支援に関しても、入社前に日本語トレーニングおよび実技トレーニングを実施しています。

2. 事業説明 -外国人雇用支援(入社後フォロー)-

:入社後のフォローとして社内表彰の実施や、介護福祉士免許の取得支援などを行っています。外国人の方々にもキャリアを追求していただくため、資格取得の支援を積極的に進めています。

2. 事業説明 -外国人雇用支援(送り出し機関との連携)-

:重要なのは、現地の送り出し機関をしっかりと確認し、不当な環境でないかどうかをチェックすることです。

これにより、日本に来て失踪するという事例を防ぎ、安心して日本でキャリアを築ける環境づくりを、現地の送り出し機関と連携して進めています。

2. 事業説明 -売上総利益のサービス別構成比の変化-

:正社員派遣と外国人雇用支援の売上総利益の比率です。当社の戦略的取り組みにより、正社員派遣と外国人雇用支援の売上総利益の割合が、2026年3月期第2四半期累計では約半分にまで増加しています。

ここでご注目いただきたいのは、粗利率です。この円グラフの粗利率を見ると、2023年3月期の18.5パーセントから2026年3月期第2四半期累計では20.8パーセントと、2年半で2.3ポイント上昇させることができました。

2. 事業説明 -株式会社HR CAREER の株式取得(連結子会社化)-

:昨年10月1日に、人材紹介会社のHR CAREER社を買収しました。同社は医療、福祉、保育といった職種を中心に人材紹介を展開しています。

当社は、介護や保育といった分野において国内3位という非常に高いポジションで事業を展開しており、多くの求職者と顧客を有しています。

このような顧客や求職者、およびHR CAREER社と効果的に連携することで人材紹介事業をさらに拡大できると見込み、同社を当社グループの一員として迎え入れました。

3 .株主還元 -2026年3月期配当予想-

最後に、株主還元です。2026年3月期の配当予想は、前期実績の1株あたり44円を据え置く予定です。総還元性向は、50.8パーセントの見通しです。

株主優待制度の変更

:株主優待制度を変更しました。旧制度はスライド左側、新制度は右側に記載されています。

変更点の1つ目は、優待の権利条件です。旧制度では最低投資株数100株以上としていましたが、新制度では300株と設定しています。

2つ目は、旧制度で継続保有期間を設定していましたが、新制度では撤廃しました。

3つ目は、優待内容です。これまでクオ・カードのみでしたが、新制度ではクオ・カードを含む金券や電子マネー・ポイントに加え、グルメやスイーツなど、さまざまな商品を「ウィルグループ・プレミアム優待倶楽部」を通じて、株主さまにお選びいただけるようにしました。

私からの説明は以上です。ご清聴ありがとうございました。

質疑応答:採用における強みと女性の活躍について

荒井沙織氏(以下、荒井):「人材不足が進むほど、自社の人材確保や育成がより一層難しくなるかと思います。採用・定着・育成の面で、どのような取り組みが競争力につながっているのか、あらためてうかがいたいです」というご質問です。

:まず、ご質問いただいたように、近年の採用環境は日々競争が激化している状況です。このため、PDCAサイクルを迅速に回し、環境の変化に即座に対応することが重要だと考えています。

その中で、当社が他社と比較して優位に立っている点は主に2つあります。

1つは、新卒採用、女性の採用です。例えば、ITエンジニアや建設の施工管理技士は男性が多い職業というイメージを持たれるかもしれませんが、当社の採用比率では半分が女性となっています。

荒井:かなり多いですね。

:多いですよね。また、採用しても女性は辞めてしまうのではないかと思われる場合もあるかもしれませんが、定着率を見ると、むしろ女性のほうがやや高い結果となっています。

荒井:女性のほうが高いのですね。

:女性が多い点について、当初はお客さまも「大丈夫?」といった懸念を抱かれていました。

しかし、ITエンジニアや施工管理技士は細かな点にいかに気づけるか、たくさんの情報を同時に覚える必要があるかといったマルチタスクが求められる職業であり、多くの女性が活躍しています。

また、当社はもともと総合職社員の新卒採用に非常に力を入れていました。現在はそのチームがエンジニアの新卒採用を行っているため、優秀な社員を多く採用できていることが、2つ目の強みであると考えています。

質疑応答:景気後退局面における職種展開と強みについて

荒井:「景気後退局面では企業の採用意欲が落ちるリスクもありますが、そのような局面においても業績を安定させる仕組みや考え方があれば教えてください」というご質問です。

:当社がもともと展開している職種は、景気後退局面に強い職種です。

例えば製造業といっても、自動車や半導体は景気後退局面では同様に後退してしまいます。一方、当社が特に広いシェアを持つのは食品分野であり、食品はみなさまが毎日必要とするものです。

つまり、社会的に止めることができない分野、エッセンシャルとされる領域の中でも特に必要不可欠なゾーンに当社は展開しています。具体的には介護や保育、生活面への影響が大きい製造業などが挙げられます。

最近では建設分野にも展開しており、例えば高市政権の国土強靱化の観点から、水道インフラや首都高速、水害対策における堤防補修などはなくてはならない、やらなければならない分野として、景気の影響を受けにくい領域に該当します。

当社はこれらの分野でシェアをどんどん広げており、非常に強固な基盤を持っていることが特徴だと考えています。

荒井:かえって強みが活かされる局面になってくるということでしょうか?

:そうですね。

質疑応答:現在の課題と解決策について

増井:「現在の課題トップスリーを教えてください。どのように克服するかもあわせてお願いします」というご質問です。急に言われると難しいかもしれませんが、トップスリーでなく1つや2つでもけっこうです。

:課題トップスリーで申し上げると、私が経営的立場で認識している課題の1つ目は、建設分野は現在大きく成長していますが、柱となる事業をもう1つ持ちたいと考えています。

特に、ITや機電エンジニアの分野においても、当社が取り組むことでさらに飛躍できると自信を持っています。このようにして力強い柱、すなわち成長のエンジンをもう1つ補強したいと考えています。

もう1つの課題は、海外展開です。海外市場において、さらに成長していける領域に積極的に参入していきたいと考えています。

買収するだけでは不十分であり、我々が買収することでその会社をどれだけ成長させられるかが重要です。そのためにはPMIを担える人材が必要であり、この点をさらに強化していきたいと考えています。

これができなければ成長を加速させることは難しく、どれだけ資金があっても意味がありません。この点が非常に重要だと考えています。

そのために何をすべきかというと、全社として新たな柱を立てることが求められます。そしてその柱を作る上では、M&Aが重要なポイントになると考えています。オーガニックでの参入ではなく、M&Aを通じた取り組みを進め、すばらしい出会いをつかみたいです。

増井:それは、次の中期経営計画に盛り込まれる予定でしょうか?

:非常に難しいところです。M&Aをスタートとする計画は、織り込みづらい部分があります。そのため、みなさまには、我々がその領域に参入した際には良い出会いがあったのだとご理解ください。

2つ目のポイントは、PMI人材の育成が重要であることです。我々としても胆力を持ちながら人材の成長機会をしっかりと確保し、タレントマネジメントを継続していくことが必要だと思っています。これら2点が課題だと認識しています。

質疑応答:事業売却や現状維持・縮小領域の可能性について

増井:私からも質問です。M&Aを通じて今後成長していくという方向性があると思いますが、逆に事業を売却する、または現状維持、あるいは縮小する可能性がある領域はありますか?

:あります。ただ、それがどこであるかについては控えますが、「我々がベストオーナーなのか?」と考える領域はあります。

ここは出会いやタイミングの要素も大きいため、慎重に見極めていく必要があります。また、我々以上に良いオーナーと認められる相手でなければ、逆に売却すべきではないとも思います。ただし、そうした迷いのある領域が存在することも事実です。

方針転換が必要な部分もあります。昔と異なり、単に売却するよりも、人材というアセット自体にこそ価値があると考えられるケースもあります。現在の事業領域以外で人材が活躍することで、個としても事業としてもさらに成長できる場合には、方針転換していくことを進めていきたいと思います。

増井:事業売却というよりは、なるべく中で動かせるところは動かしていきたいということですね。

:そのとおりです。先ほど述べたように、売却の検討も行いますし、アセットとして価値があるのであれば方針転換も実施します。

角氏よりご挨拶

:まだまだ貪欲に成長していきたいと思っています。引き続き、ご関心を持ってウィルグループをウォッチしていただければと思います。よろしくお願いします。

当日に寄せられたその他の質問と回答

当日に寄せられた質問について、時間の関係で取り上げることができなかったものを、後日企業に回答いただきましたのでご紹介します。

<質問1>

質問:今後進出したい国はあるのでしょうか。

回答:人口増加率やGDP成長率が日本より高く、中長期的な市場拡大が見込まれる国・地域であることに加え、既存会社とのシナジーも考慮し、当面はASEAN地域を中心に展開していく方針です。一方で、将来的にはアメリカやヨーロッパ等の地域への展開についても可能性を検討していきます。

<質問2>

質問:海外事業でオーストラリアとシンガポールの比率が高い理由は何ですか。今後他の国での展開はありますか。

回答:人口増加率やGDP成長率が日本よりも高く、中長期的な市場拡大が見込まれる国・地域を選定してきました。

当社の海外事業は主としてM&Aを通じて展開しているため、成長性に加え、優良なM&Aターゲットが存在すること、また企業文化や事業運営の親和性が当社と高いことも重視しております。オーストラリアおよびシンガポールはこれらの条件を満たしていたことからメインで事業を展開してきました。将来的にはアメリカやヨーロッパ等の地域への展開についても可能性を検討していきます。

<質問3>

質問:国内Working事業が好調なのは昨今の建設業に対する追い風もあると思います。今後もこの状況は続きそうな業況でしょうか?

回答:ご指摘のとおり建設技術者領域が、国内Working事業の好調をけん引していると認識しています。各種統計データにおいても、建設投資額は増加傾向にあり、加えて建設技術者の高齢化、人手不足は構造的な課題となっていることから、当面は底堅い需要が継続すると見込んでいます。当社は、引き続き建設技術者領域に注力することで、人材供給力の強化やサービス品質の向上に取り組み、需要の取り込みを図っていきます。

<質問4>

質問:数ある人材派遣・業務請負などの人材サービス会社がある中で、他社とは異なる御社ならではの特長を知りたいです。

回答: 当社は「成果追求・人材育成・定着」の3点を強みとしています。単なる人材の供給にとどまらず、成果創出まで踏み込む点、ハイブリッド派遣をはじめとしたOJTや教育体制により未経験から戦力化できる点、そして高い定着率により安定したサービス提供が可能な点が、他社との差別化要因となると考えています。

<質問5>

質問:戦略1、戦略2が軌道に乗った場合はどのくらい利益に貢献するとみているのでしょうか。

回答:現時点で定量的な影響についてはお示ししていませんが、戦略1・2で推進している正社員派遣および外国人雇用支援については、いずれも当社の中で収益性の高いモデルと位置付けています。これらの構成比が高まることで、全体の利益率向上に寄与していくものと考えています。

<質問6>

質問:複数の事業を展開されていますが、足元および中長期で見たときに、成長の中心となる事業領域はどこでしょうか。また、今後さらに伸ばしたい分野があれば教えてください。

回答:現中期経営計画において最も注力している建設技術者領域が、引き続き成長をけん引すると見込んでいます。また、今後の成長分野としては、ITエンジニア領域など、引き続き正社員派遣での需要拡大が見込まれる分野の成長を見込んでいます。

引き続き、正社員派遣、外国人雇用支援、人材紹介といった収益性の高いビジネスモデルの拡大に注力し、収益基盤の強化、高収益体質への転換を図っていく方針です。

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