■要約
1. 会社概要
ラクト・ジャパン<3139>は独立系の食品専門商社であり、乳原料・チーズ(以下、乳製品原料)を中心に、機能性食品原料、食肉及び食肉加工品の輸入・販売を手掛けている。グループは国内連結子会社1社、海外連結子会社9社、海外持分法適用関連会社1社で構成され、グローバルに事業を展開している。社名が示すとおり乳製品原料を祖業とし、日本の輸入乳製品市場では3割を超える取り扱いシェアを有する国内トップクラスの地位を確立している。乳原料は品質管理や衛生管理の難度が高い商材であるが、同社は長年の実績を通じて食品メーカーから高い信頼を獲得してきた。販売先は乳業メーカーにとどまらず、菓子・パン・加工食品・飲料メーカーなど多岐にわたり、顧客基盤は特定分野に偏っていない。近年は、食肉分野や機能性食品原料への展開を進めるとともに、アジア市場では乳原料販売に加えチーズ製造販売事業を展開し、商社機能と製造機能を併せ持つ複合型食品原料企業として事業モデルを深化させている。グローバルな調達力と専門性を基盤に、付加価値創出型の成長を志向する企業である。
2. 2025年11月期の業績概要
2025年11月期の連結業績は、売上高・各利益ともに前期を大きく上回り、過去最高業績を更新した。売上高は182,816百万円(前期比7.0%増)と着実に拡大し、原料相場高を背景に販売単価が上昇したことに加え、ライフサイエンス、アジアのチーズ製造販売といった成長分野で販売数量が伸長した。売上総利益は12,288百万円(同22.0%増)となり、売上総利益率は6.7%へ改善した。営業利益5,947百万円(同33.5%増)、経常利益5,796百万円(同34.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益4,317百万円(同37.2%増)と、利益成長は売上成長を大きく上回った。人件費や物流費の上昇といったコスト増加要因はあったものの、高付加価値商品の拡販と利益率改善により吸収し、収益基盤の強化が一段と進んだことがうかがえる。なお、第2四半期に、一部商品の品質不良に関わる受取補償金として営業外収益650百万円を計上しているが、その一過性要因を除いても過去最高益を更新した。
3. 2026年11月期の業績見通し
2026年11月期の連結業績は、売上高193,000百万円(前期比5.6%増)と増収を見込む一方、経常利益4,800百万円(同17.2%減)と表面上は減益予想となっている。しかし、一過性要因と成長投資の影響を除いた調整後経常利益で見ると、実質的には増益基調が維持されている。2025年11月期の受取補償金を控除した調整後経常利益は5,146百万円であるのに対し、2026年11月期は成長投資に係る減価償却費や本社移転に伴う一時費用を考慮しない調整後経常利益は5,350百万円となり、前期比4.0%の増益を見込む。食品値上げによる消費環境の厳しさや先行投資負担を織り込みつつも、さらなる成長が期待される分野への注力とアジアにおけるチーズ需要の取り込みにより、基礎的な収益力は着実に強化される見通しである。
4. 中長期の成長戦略
中期経営計画「NEXT-LJ 2028」は、同社が長期ビジョンの実現に向けて次の成長段階へ進むための基盤構築期間と位置付けられている。本中期経営計画では、基本方針として「成長領域への集中と価値創出力の向上」「資本収益性の向上」「グローバル人材の強化」を掲げている。2028年11月期の目標として、売上高2,100億円、経常利益60億円、ROE10〜12%、連結自己資本比率35〜40%を設定し、収益性と財務健全性の両立を図る。成長ドライバーはアジアのチーズ製造販売事業とライフサイエンス事業であり、特に、シンガポール新工場への投資により、2028年11月期には、既存工場と合わせて年1万トン規模の製造販売数量となる見通しであり、アジア市場における需要拡大を取り込む体制を構築する。新工場稼働に伴う費用先行局面を経るものの、着実な利益の積み上げにより、持続的な企業価値向上を図る。
■Key Points
・2025年11月期は大幅な増収増益で、売上高・各利益ともに過去最高を更新
・2026年11月期は前期の一過性要因の反動と成長投資により増収減益予想
・2028年11月期の目標として、売上高2,100億円、経常利益60億円、ROE10〜12%などを掲げる
(執筆:フィスコ客員アナリスト 中西 哲)
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