■会社概要
1. 会社概要
SOLIZE Holdings<5871>の社名は、人の情熱やエネルギー(ラテン語の太陽)を意味する「SOL」に、実現することを意味する「Realize」を加えた造語である。「進化を感動に」という理念のもと、「システムとしての企業体へ」というビジョンを掲げている。
持株会社の傘下では、分社化した中核事業会社3社を中心に、エンジニアリング・マニュファクチャリング事業、コンサルティング・エンジニアリング事業、ビジネスインキュベーション事業の3つの事業を推進している。取引先は、大手製造業、特に自動車関連が7割弱を占めることから、同社の国内拠点及び海外グループ会社は、自動車関連メーカーが存在する場所に進出している。
東京都千代田区三番町に本社を構え、宮藤康聡(くどうやすとし)氏が代表取締役社長CEOを務めている。従業員数は、2025年12月末時点で2,526名であるが、うちエンジニア数が約8割を占める技術者集団である。
2. 沿革
同社の歴史は、1990年に自動車部品メーカー出身の創業者が、米国で進むものづくりの3D化に衝撃を受け、日本のものづくりに危機感を持ち(株)インクスを創業したことに始まる。1990年から2000年にかけては、ものづくりのデジタル化の黎明期であった。そのなかで、ものづくりベンチャーとして一定の認知を獲得し、成長を遂げた。しかし、工場への過剰投資、本社ビルの賃借料負担が増大するなか、リーマン・ショックを発端とした世界金融危機を契機に売上高が減少し、2009年には民事再生手続きを申し立てた。その際、100%減資、全経営陣の退任が再生計画承認の前提となった。
2012年末に民事再生手続きが終結し、完済したことを経て、2013年にSOLIZE(株)へ社名変更した。海外では、自動車関連メーカーの進出先に合わせて、2012年に中国上海に、2014年にインドに、2015年に米国に現地法人を設立した。
2020年に宮藤氏が代表取締役社長CEOに就任し、コロナ禍において再度成長を加速するため、2021年には国内3法人を統合し、同社がSOLIZE Engineering(株)及びSOLIZE Products(株)の2社を吸収合併した。2024年には、東証スタンダード市場に上場、CAE受託解析専業会社の(株)SiM24を買収・子会社化した。2025年にはカナダとタイにも現地法人を設立し、独立系システム開発会社の(株)フューレックスを買収・子会社化した。さらに、グループの将来の成長加速を見据えて持株会社体制へ移行し、商号をSOLIZE Holdings(株)に変更するとともに、中核事業会社としてSOLIZE PARTNERS(株)、SOLIZE Ureka Technology(株)、+81(株)を設立して、中長期の成長目標実現に向けて体制を整えた。
■事業概要
持株会社の下で中核事業会社を中心とした3つの事業を展開
1. 事業の構成
同社が展開する事業は、「エンジニアリング・マニュファクチャリング事業」「コンサルティング・エンジニアリング事業」「ビジネスインキュベーション事業」の3セグメントである。2025年12月期のセグメント別の売上高構成は、主力事業のエンジニアリング・マニュファクチャリング事業が73.0%を占め、コンサルティング・エンジニアリング事業が17.9%、ビジネスインキュベーション事業が9.1%を占める。セグメント利益は、エンジニアリング・マニュファクチャリング事業とコンサルティング・エンジニアリング事業が、将来の成長を見据えた営業及び管理機体制の強化などの費用が増加したことから減益となり、ビジネスインキュベーション事業が、営業及び管理機体制の強化に加えて、のれん償却の開始等により損失を計上した。
2. 事業内容
(1)エンジニアリング・マニュファクチャリング事業
デジタルエンジニアリング開発支援、3Dプリンターパーツ製造、3Dプリンター販売・保守を担う。すなわち、製品開発受託、エンジニア派遣、コンサルティング事業、3Dプリント試作・最終製品製作事業、3Dプリンター装置導入事業及びエンジニアリングに関するシステムの販売・構築などを事業内容とする。同事業を推進する中核事業会社はSOLIZE PARTNERSで、独自のデジタルものづくりソリューションを提供し、意匠モデリングから少量生産まで、ものづくりにおける幅広い技術領域をサポートする。傘下にSiM24、SOLIZE PARTNERS India Private Limited、SOLIZE USA Corporation、SOLIZE Shanghai Corporation、SOLIZE Canada Corporation、SOLIZE Corporation (Thailand) Ltd.を擁する。
(2)コンサルティング・エンジニアリング事業
変革コンサルティング、AI、SDV、デジタルリスクを担う。すなわち、ものづくり変革で培ったコア技術により、企業課題・社会課題の解決を行うコンサルティング及びエンジニアリングサービスの提供を事業内容とする。同事業を推進する中核事業会社はSOLIZE Ureka Technologyである。顧客のひらめきを実現するための専門家集団であり、革新的な技術と深い業界知識を活用し、未来を変えるサポートを提供する。
(3)ビジネスインキュベーション事業
ソフトウェア開発、新規事業を担う。すなわち、社会・産業課題の解決に向けた新規事業の開発及び運営を事業内容とする。同事業を推進する中核事業会社は+81で、事業家のアントレプレナーシップを核に、社会・産業課題の解決を目指して複数の新規事業を同時多発的に創出している。社名の+81(はちいち)は、国際電話における日本の「国番号」であり、新規事業を創業して海外への拡大を目指す意味を込めている。傘下に(株)STELAQ、フューレックス、ALQ(株)を擁し、2026年1月にはシニア層向け家賃保証サービスを行う(株)結を設立した。
3. 事業の特長及び強み
同社グループの一番の特長及び強みは、多様なものづくりの現場で培った経験に基づく実践力と、顧客の競争優位性を確保する変革力である。
この「実践力」と「変革力」を掛け合わせたビジネスは、まさに同社独自のケイパビリティであり、顧客から高い支持を得ているが、近年は特に自動車産業等からの引き合いが多い。これまで同社は、エンジニアを各開発現場に送り込むビジネスが中心だったが、自動車会社でもソフトウェアの開発力を高めるニーズが増えているためだ。ハードウェア領域の開発についても、点ではなく面でサービスを提供してほしいというニーズが高まっている。その結果、これまでの実績とケイパビリティから、内外装の領域での受託が増えている。同社では、それを丸々引き受けるだけではなく、変革力を発揮してプロセスの整流化を行い、生産性を向上させている。
各サービスに共通して、大手製造業を中心とした強固な顧客基盤を有することも、大きな特長であり強みだ。主要顧客として、自動車完成車メーカーでは、トヨタ自動車<7203>、本田技研工業<7267>、日産自動車<7201>、SUBARU<7270>、マツダ<7261>、ダイハツ工業(株)、スズキ<7269>、日野自動車<7205>、いすゞ自動車<7202>を、自動車部品メーカー、自動車系商社では、アイシン<7259>、(株)豊通テック、ブリヂストン<5108>、日産トレーデイング(株)、(株)ネクスティエレクトロニクス、萩原エレクトロニクス(株)を、製造業(自動車以外)、建設業、その他では、ヤマハ発動機<7272>、クボタ<6326>、(株)竹中工務店、西松建設<1820>、マブチモーター<6592>など、日本を代表する企業を多く抱えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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