「セルインメイ」は本当か?5月の月別騰落率
「セルインメイ(Sell in May)」という相場格言があります。欧米発の言葉で、「株は5月に売れ」という意味です。何故そう言われるのか、その背景と、日本株でもこの傾向が存在するのか実際のデータを確認しておきましょう。
<海外投資家は4月に買い、5月に利益を確定する?>
海外市場で「セルインメイ」と言われるようになった背景には、夏枯れ相場に向けて、早く利益を確定しておくべきとの考えがあるのでしょう。海外投資家は夏にまとまった休みを取るため、8月の相場は薄商いとなりやすく、リスクイベントがあれば売買が低調ななかで荒れやすい傾向があります。また、9月の相場は歴史的にパフォーマンスが低調な傾向があります。
<日本株市場ならではの5月の懸念材料>
日本株市場独自の要因として、5月に入ると利益を確定する売りが出る可能性も意識されます。海外投資家は新年度入りの4月に日本株を買い越す傾向があり、5月に利益確定へ動くケースが多いとされています。さらに5月は3月期決算企業の本決算発表シーズンです。期初計画を控えめに出す企業も多く、材料出尽くしの売りが出たり、持ち高を調整して様子を見ようといった投資家心理が働きやすくなったりすると考えられます。
<日経平均の5月の上昇確率は?>
▼実際に5月に株は下落する傾向が存在するのか、1970〜2025年の月別平均騰落率で確認してみましょう。

月別平均騰落率(1970〜2025年)。5月(オレンジ)は上昇確率51.8%と年間で弱い月のひとつ
| ランク | 月 | 平均騰落率 | 上昇回数(確率) |
|---|---|---|---|
| 1位 | 12月 | +1.42% | 37/56 (66.1%) |
| 2位 | 3月 | +1.42% | 33/56 (58.9%) |
| 3位 | 11月 | +1.36% | 34/56 (60.7%) |
| 4位 | 1月 | +1.27% | 36/57 (63.2%) |
| 5位 | 4月 | +1.09% | 36/56 (64.3%) |
| 6位 | 6月 | +0.65% | 35/56 (62.5%) |
| 7位 | 2月 | +0.65% | 31/56 (55.4%) |
| 8位 | 5月 | +0.42% | 29/56 (51.8%) |
| 9位 | 10月 | +0.32% | 29/56 (51.8%) |
| 10位 | 7月 | +0.05% | 27/56 (48.2%) |
| 11位 | 9月 | -0.57% | 26/56 (46.4%) |
| 12位 | 8月 | -0.66% | 27/56 (48.2%) |
56年間で月別平均を見ると、5月は平均+0.42%・上昇確率51.8%(上昇29回)で、12か月中8位に位置します。必ずしも最弱月ではありませんが、強いとは言いにくいです。
こうしたデータから「セルインメイ」の格言は日本株でも一定程度有効といえます。ただし年によってブレが大きく、5月に大幅上昇した年も多くあります。格言を鵜呑みにせず、連休中の海外動向をしっかり確認したうえの判断が重要です。
ゴールデンウィーク前後の日本株投資戦略
ここまでの結果から、ゴールデンウィーク前後で日本株のポジションをどうすべきか投資戦略を考えていきましょう。
<GW明けの相場が大きく下落するとは限らない>
まず1つ言えるのが、ゴールデンウィークを挟むからといって、連休後に相場が大きく下落するとは限りません。
▼実際、1970年から2025年の56年間で、ゴールデンウィーク明けの日経平均株価が2%超下落したのは6回。発生確率は10.7%にとどまっています。
| 変動幅 | 上昇 | 下落 |
|---|---|---|
| ±1%以上 | 23回(41.1%) | 11回(19.6%) |
| ±2%以上 | 13回(23.2%) | 6回(10.7%) |
| ±3%以上 | 5回(8.9%) | 3回(5.4%) |
日経平均が2%以上下落したのは、1970年、1981年、1996年、2012年、2015年、2016年です。詳しく各年の状況を整理すると、1970年にはニクソン米大統領がカンボジアへの軍事介入を電撃発表。1981年は、ボルカーFRB議長がインフレ退治のための政策金利引き上げを進めていた時期です。1996年は、バブル崩壊後の不良債権処理が山場を迎えていた時期で、2012年や2015年には欧州の債務危機が警戒されていました。2016年は、チャイナショックの余波が残るなかで、4月28日の日銀金融政策決定会合で市場が期待していた追加金融緩和が見送られています。
多くの年で、連休前から株式市場に懸念要因があったと分かります。連休前の株式市場が強く、懸念材料が見当たらないのに、連休中に売り材料が降って湧いてくるケースは稀です。単にゴールデンウィークだからと警戒するよりも、その時々のマクロ環境を踏まえて、連休を持ち越すポジションサイズを考えるのが賢明でしょう。