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J-オイルミルズ、収益力の早期回復へ、26年度は増収増益・増配を計画 販売価格適正化と高付加価値領域の拡大で攻勢

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2026年5月14日に発表された、株式会社J-オイルミルズ2026年3月期決算説明の内容を書き起こしでお伝えします。


2025年度実績および2026年度業績予想サマリー

春山裕一郎氏:株式会社J-オイルミルズ社長の春山です。本日はご多忙のところ、当社の決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。また、平素より格別のご高配を賜り、心より御礼を申し上げます。

本日は、2025年度の通期業績、2026年度の業績予想、ならびに中長期的な成長に向けた取り組みについてご説明します。

まず、2025年度の通期実績は、連結売上高2,266億円、連結営業利益44億円となり、減収減益となりました。

コスト上昇が常態化する事業環境の中で、収益改善に向けた取り組みを進めてきました。しかし、期中に公表した修正業績予想である営業利益50億円に対しても未達となりました。この結果を真摯に受け止めています。

油脂コストの上昇が想定を上回る中で、厳しいコスト環境を前提とした価格改定を十分なスピード感を持って進めることができなかった点が、大きな課題であると認識しています。

一方で、事業構造の変革においては、着実な進展も見られました。

スペシャリティフード事業では、構造改革の効果が表れ、収益性を改善し、増益を達成しました。また、全社的なコスト削減、生産性の改善、資本効率の向上に向けた取り組みも前進しています。これらの取り組みは、今後の収益力回復に向けた基盤となると認識しています。

2026年度は、連結売上高2,430億円、連結営業利益55億円を見込んでいます。引き続き厳しいコスト環境を前提としながら、価格改定の完遂とdX推進による業務変革、高付加価値領域の拡大を通じて、基礎収益力の改善を図っていきます。

こうした取り組みのもと、2026年度の配当は年間80円とし、前年から10円の増配を予定しています。

2025年度 連結業績概要

2025年度通期決算の概況です。2025年度の連結業績は、売上高2,265億7,000万円、営業利益44億円となりました。また、経常利益は57億8,000万円、親会社株主に帰属する当期純利益は47億5,000万円です。なお、期中に示した修正業績予想に対し、営業利益は未達となりましたが、当期純利益は予想を達成しています。

2025年度 セグメント別業績

セグメント別の業績です。油脂事業の売上高は、ミール価格の下落の影響により、減収となりました。一方、ミールを除く油脂については、価格改定の効果と注力商品の拡販により、売上が伸長しています。営業利益は減益となり、業績予想も未達という結果になりました。

一方、スペシャリティフード事業は、構造改革の効果を背景に、減収ながらも増益を確保しました。また、業績予想に対しては、概ね計画どおりの進捗となっています。

2025年度 営業利益増減分析

セグメント別の営業利益の増減要因です。まず、家庭用油脂は、オリーブオイルの原料価格が軟化したことにより、販売価格が下落し、全体の販売価格は前年を下回りました。

市場は物価高騰による買い控えの影響を受けていますが、環境負荷の低減と利便性を両立する「スマートグリーンパック」シリーズの展開や、おいしさや品質で選ばれるオリーブオイル、さらに健康機能を訴求するサプリメントオイルといった高付加価値商品の拡大を軸に、需要の創出に取り組みました。

業務用油脂については、インバウンド需要の拡大や国内における人流の活性化を背景に、外食市場が回復基調にあります。このような市場環境を踏まえ、高付加価値品を軸に、メニュー品質の向上やコスト・作業負荷の軽減といった、お客さまの課題に対応する提案活動を強化しました。その結果、販売重量は堅調に推移しました。

一方で、価格改定についてはコスト上昇を十分に吸収するには至らず、油脂事業全体で前年同期比48億7,000万円の減益となっています。

スペシャリティフード事業について、乳系PBFでは、構造改革や原材料価格の変動を踏まえた価格改定の効果により、4億6,000万円の増益となりました。また、食品素材では、テクスチャーデザイン事業における高付加価値スターチの拡販が奏功し、2億4,000万円の増益となっています。その結果、スペシャリティフード事業全体では、前年同期比6億9,000万円の増益となりました。

2025年度 営業利益増減分析

油脂事業の営業利益の変動について、コストの観点からご説明します。

原材料コストは、大豆・購入油の価格改善などにより、前年同期比で27億8,000万円の良化となりました。一方、ミール販売については、米国環境保護庁(EPA)によるバイオ燃料混合比率引き上げ計画の発表を背景に、ミールバリューが低下した影響を強く受けました。この結果、ミール販売を含めた油脂コスト全体では、前年同期比で68億円の減益要因となっています。

その他のコストでは、継続的にコストダウンに取り組んでいるものの、資材コストや物流費を中心としたインフラ関連コストの上昇により、前年同期比で9億9,000万円のコスト増となりました。

油脂事業全体では、こうしたコスト増加に対して、価格改定を含む販売面での対応で吸収するまでには至らず、前年同期比48億7,000万円の減益となりました。

高付加価値品の状況

一方で、高付加価値品の拡販は着実に進捗しています。まず、家庭用オリーブオイルは、原料コストの軟化を背景に拡販に注力したことで、販売重量が伸び、粗利益の改善に貢献しました。また、業務用の長持ち油「SUSTEC(サステック)」は、昨年にリニューアル品を発売したこともあり、販売重量は順調に拡大を続けています。

これらの高付加価値品は、収益力強化に向けた重要な取り組みであり、今後も拡大に向けて注力していきます。

B/S・C/Fの状況

バランスシートとキャッシュフローの状況です。2025年度末の総資産は1,663億円、負債は552億円となりました。有利子負債を中心に圧縮が進み、自己資本比率は66.5パーセントと、引き続き高い財務健全性を維持しています。

キャッシュフローについては、価格改定の浸透が遅れている影響により、足元では営業キャッシュフローが減少しています。ただし、価格改定が段階的に浸透することでコスト上昇分の吸収が進み、収益性の改善とともに営業キャッシュフローも回復する見込みです。

2026年度 連結業績予想

2026年度通期の業績予想は、売上高2,430億円、営業利益55億円、経常利益62億円、当期純利益50億円を見込んでいます。原材料価格や各種コストについては、2025年度からさらなる上昇を見込んでおり、その影響を織り込んだ上で業績予想を策定しています。

厳しい外部環境が続く中で、利益水準は依然として十分とは言えない状況です。しかしながら、引き続き価格改定や高付加価値品の拡大などの取り組みを着実に進めることで、足元の収益構造を改善しつつ、2027年度以降のさらなる利益向上を目指していきます。

2026年度 セグメント別業績予想

セグメント別の業績予想です。油脂事業は、コスト上昇を織り込んだ前提のもと、売上高・営業利益ともに増収増益を見込んでいます。スペシャリティフード事業は、基礎収益力の強化を背景に、引き続き収益性を高めることに努めます。

2026年度 収益力強化の実現に向けて

2026年度の収益力強化についてご説明します。まず、事業環境についてですが、世界的な需要の拡大や円安、各種コスト高を背景に、原材料価格は引き続き上昇基調にあります。

また、原油価格の高止まりを受けてバイオ燃料向け需要が拡大する中、オイルバリューの上昇とミールバリューの低位推移という構造変化が継続している状況です。

さらに、国内においては、物流費・包装資材費の高騰、エネルギーコストの高止まりに加え、人件費の継続的な上昇などが重なり、コスト上昇が常態化しています。当社としては、こうした環境変化を前提とし、安定的に収益を確保しつつ、事業を成長させていくことが問われる局面にあると認識しています。

こうした事業環境を踏まえ、足元の収益力を強化するために、2つの重点施策に徹底的に取り組んでいきます。

まず、販売価格の適正化を早期に実現することに最優先で取り組みます。2025年度は価格改定に取り組んだものの、コスト上昇を十分に吸収する水準には至りませんでした。この反省を踏まえ、2026年度は、販売重量よりも価格を重視した戦略にシフトし、価格改定を確実に完遂します。

すでに2026年度においては、4月と6月の二度にわたる価格改定を公表しており、これらを着実に実行することを最優先事項と位置づけています。

なお、足元の中東紛争による原油価格の急騰に伴うオイルバリューの上昇など、現時点で顕在化している影響は本年度の業績予想に織り込んでいます。引き続きコスト影響の水準を見極めつつ、さらなる価格改定の可能性も念頭に、まずは安定供給に向けた対応を講じていきます。

次に、dX推進による業務革新です。この取り組みでは、従来の経験に依存していた業務プロセスを、客観的なデータに基づく意思決定や判断に転換することを大きなテーマとしています。

具体例としては、営業・マーケティング分野において、価格改定のシミュレーション機能の整備や、マーケティング施策のROI(投資採算性)を把握する仕組みを徹底的に活用し、目的や狙いに応じて最適な打ち手を選択できる環境を整えていきます。

さらに、サプライチェーンマネジメントの領域では、全社的な倉庫管理システムの導入などを通じて在庫の適正化や物流効率の向上を図るとともに、コストの変動に応じた価格改定や販売方針をサプライチェーン全体で整合させ、実行できる体制を構築していきます。

2026年度 収益力強化の実現に向けて

コスト上昇が常態化する事業環境において、より重要となる高付加価値品の強化と拡大についてご説明します。まず、家庭用製品では、おいしさや品質といった価値が評価されているオリーブオイルに加え、機能性表示食品であるアマニ油やえごま油などのサプリメントオイルも、健康志向の高まりを背景に引き続き拡販に注力します。

一方、業務用製品については、お客さまに品質の安定や作業効率の向上といった価値を提供できる商品を軸に、課題解決につながる提案活動を一層強化していきます。さらに、油脂単体の提案にとどまらず、スターチを含む他の素材との組み合わせによる「おいしさデザイン」の提案を通じて、お客さまの商品やメニュー全体の付加価値向上につながる取り組みを進めていきます。

第六期中期経営計画の進捗状況

第六期中期経営計画の進捗状況および、2027年度からの次期中期計画の基本的な考え方と方向性についてご説明します。

第六期中期経営計画では、バイオ燃料需要の拡大に伴うミールバリューの低下や物流費の上昇など、当初想定を超える外部環境の変化がありました。その中で、油脂事業の収益力向上や新規事業・海外事業の収益化の遅れにより、当初掲げていた財務目標は未達となる見込みです。この結果、株式市場からの評価は非常に厳しく、PBRが1倍を下回る状況となっています。

この現状を真摯に受け止め、2027年度から始まる次期中期経営計画では、利益率の改善と成長による期待収益率の向上という2点を最優先テーマとして取り組んでいきます。

2025年度の進捗と次期中計に向けたアクション

一方で、2025年度は、次の成長に向けた具体的な取り組みが動き出した年でもありました。

成長戦略として、「おいしさデザイン」提案に関連する商品の拡充に取り組み、海外では北米やASEANにおける事業基盤の強化に着手しました。さらに、スペシャリティフード事業の構造改革や政策保有株式の削減など、資本効率を意識した取り組みも進めています。

また、dXや人的資本経営への取り組みなど、経営基盤の強化にも着手した1年でした。その成果として、全社労働時間の削減や従業員エンゲージメントスコアの向上など、企業風土にも少しずつ質的な変化が起こりつつあります。

2026年度は、これらを助走にとどめず成果創出につなげる1年と位置づけ、次期中期経営計画へつなげていきます。

油脂業界を取り巻く外部環境変化と成長機会

油脂業界を取り巻く環境は、原材料価格の変動や物流費・人件費の上昇、国内需要の縮小などにより、引き続き厳しい状況が想定されます。一方で、こうした構造変化は、顧客ニーズの高度化・多様化という新たな成長機会にもつながると考えています。

例えば、お客さまの人手不足を背景とした省力化・効率化のニーズや、環境意識・健康意識の高まりに対応するには、製品を供給するだけでなく、複数製品の組み合わせや加工、提供方法まで含めたソリューションとしての提案・提供が不可欠です。当社はこのような顧客ニーズの変化を、事業機会を再定義する好機と捉えています。

顧客志向の深化を起点とした成長戦略

このスライドは、次期中期計画に向けた方向性を示したものです。今後、事業環境が大きく変化する中で、まずは既存事業の収益性を徹底的に高めます。それに加え、当社が本質的に差別化できる成長市場を明確に定め、そこに最適な製品やサービス、さらにはソリューションという価値を提供することで、「顧客志向の深化」を実現したいと考えています。

まず、油脂を中心とした既存のコア事業については、dXの活用を含めた事業変革を推進し、安定的な収益基盤をキャッシュカウとして実現するとともに、リソースを成長領域に投下したいと考えています。

一方、今後の成長市場の中でも、当社は特に3つの注力領域に経営資源を集中したいと考えています。1つ目は、外食および中食のお客さまを対象に、課題の本質に踏み込み、提案を高度化する「ソリューションデザイナー」としての領域です。従来の製品提供にとどまらず、「おいしさ」を実現するプロセスそのものに踏み込むことで、これまでにない課題解決や価値の提供を目指します。

2つ目は、生活者を対象に、健康、時短、体験といった生活者ニーズの多様化に対応する付加価値型ビジネスの領域です。現在の素材の販売だけでなく、複数の商品・サービスを組み合わせ、提供価値を高めていきます。

3つ目は、競争軸としてサステナビリティを前面に据えた商品・サービスの展開です。環境や社会価値への貢献を、明確な差別化要因として位置づけていきます。

これら3つの注力領域において、当社の競争力の源泉である「おいしさデザイン力」を磨き上げることで、成長戦略を推進していきます。こうした変革を支える原動力は人財であり、成長分野をリードする人財の強化と、dXを通じた社会変革の推進を同時に進めていきます。

事業ポートフォリオの高度化

先ほどご説明した成長戦略のうち、海外展開の方針と、新たな市場・顧客への取り組み例をご紹介します。まず、海外事業では、成長市場であるASEANにおいて、「おいしさデザイン」を軸とした事業展開を進めていきます。

J-OIL MILLS (Thailand)Co., Ltd.(JOT)をASEAN戦略の起点とし、これまでの油脂・スターチ販売に加え、関連会社であるPremium Vegetable Oils Sdn Bhd(PVO)との連携を強化します。これにより、マーガリンやショートニングなどの加工油脂分野への展開を進めるため、体制を強化していきます。

北米については、Ajinomoto Health & Nutrition North America, Inc.(AHN)との連携のもと、現地のニーズを踏まえた販売戦略を構築し、当社製品の市場性の検証を着実に進めています。

また、2025年度に立ち上げた事業ポートフォリオ高度化プロジェクトの一環として、新たなシーズ探索を進めています。今年度は有望テーマの1つとして、「新たな油脂の喫食体験を提供する食品」を上市し、事業性検証を本格化させる計画です。

ただし、これはあくまでも一例です。次期中期計画では、新しい市場や顧客に価値を提供できる事業の芽を育てると同時に、それを担う人財の育成や企業風土の形成も重要だと考えています。

経営基盤強化の推進

成長戦略を支える経営基盤強化についてご説明します。まず、dXの推進はスライドの図のとおり、2025年度にステージ1およびステージ2の業務・連携変革が大きく進展しました。2026年度以降は、次のステージ3としてビジネス変革をテーマに挑戦し、その先の社会変革と当社のビジョン実現につなげていきます。

一方、人的資本経営については、成長戦略を実現するための人財育成を最重要テーマの1つとしています。2025年度に設置した人財委員会を通じ、次世代経営人財の育成基盤を整備してきました。今後は、次世代経営人財の育成に向けた投資を行いながら、次期中期経営計画の事業戦略と連動させた人財戦略を具体化していきます。

株主還元の強化

最後に株主還元についてご説明します。2025年度の1株当たり配当は70円で変更ありません。足元の外部環境は厳しい状況ですが、本日ご説明したとおり収益力の早期回復を図り、2026年度には10円増配し、年間80円の配当を予定しています。

次期中期経営計画を含む中期的な株主還元の考え方として、油脂を中心としたボラティリティの高い事業構造からの転換を進め、収益の質を高めていきます。その上で、これまでの配当性向に加え、DOE3パーセント水準を意識した配当方針への転換を目指します。

最後に

食用油脂事業を取り巻く外部環境は依然として不透明で、地政学的リスクを含め不確実性の高い状況が続いています。しかしながら、当社はこのような環境下だからこそ、従来の延長線上の取り組みにとどまらず、事業構造そのものを見直し、持続的な成長と収益性の向上を実現する企業構造への転換が必要だと考えています。

本日は、次期中期経営計画の考え方と方向性についてご説明しました。来年の決算説明会では、当社が目指す将来像を、具体的な戦略とアクションロードマップとしてご提示します。

今後も、株主・投資家のみなさまやメディアのみなさまを含め、すべてのステークホルダーとの対話を大切にしながら、透明性の高い経営を継続していきます。引き続き、変わらぬご支援とご指導を賜りますようお願い申し上げます。

以上で本日のご報告を終わります。ご清聴ありがとうございました。

Q&A

質疑応答に関してはこちらに掲載されています。

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