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医療法人の貸借対照表を見るときポイントは?業種によって異なる決算書の特徴を捉える

決算書といえば貸借対照表と損益計算書のことですが、業種によって内容が変わります。そこで今回は、貸借対照表の医療法人の特徴的な点について解説します。(『お金持ちになりたいけどお金のことよく知らない人へ』)

貸借対照表から判断する、医療法人の経営状況

売掛金に変わる医業未収入金や固定資産が多額である理由など

決算書といえば、貸借対照表(バランスシート)と損益計算書のことを指す。この2つに上場企業に作成が義務づけられているキャッシュフロー計算書を加えた3つを「財務3表」という。

貸借対照表とは、ある一定時点での法人などの財務状況を示す表のこと。右側が資金の調達先(貸方)左側が資金の使い道(借方)それぞれ示している。銀行はこの表を基に、「資金をどのように調達し、どのように運用しているか」「運用効率はどうか」の財務バランスを分析している。

今期高い純利益を達成していたとしても、必ずしも健全な会社とは言えない。高い当期純利益を達成した翌年に倒産する企業もあるくらいだ。

そこで今回は、見過ごされがちな貸借対照表の医療法人の特徴的な点について解説します。

1.流動資産<一年メドに現金化しやすいもの、劣化しやすい資産あり>

一般事業法人では「売掛金」にあたる「医業未収入金」が上げられる。病院では国民健康保険・社会保険などの診療報酬がこの医業未収入金の大半を占める。自己負担金分以外の約7割が、診療月の翌々月、2ヵ月後に振り込まれるため医療未収入金は月間の医業収入の2ヵ月分の7割が目安となる。これより多ければ未回収の窓口入金分が多いなどの問題があることになる。

2.固定資産<長期にわたり売上げサポートする資産・土地建物・PC等>

医療法人は装置産業であり、他業種に比べ固定資産が多額に上る傾向にある。大半の医療法人は病院や介護老人保健施設などの土地・建物を自己所有しているからである。また病院で使用する医療機器は高額な製品が多いため、固定資産の61.5%を占めている。

3.その他固定資産

医療法人の大きな特徴の一つは、「その他固定資産(投資等)」勘定の金額がゼロに近いことが一般的であること。厚労省が示している医療法人の定款によれば、資金のうち現金は「確実な銀行または信託会社に預け入れもしくは信託し、または国債・公社債もしくは確実な有価証券に換え保管するものとする」とされている。非営利性を前提とする医療法人の性格面からみても、投機的な株式投資などには問題があるとの判断。

4.流動負債

借入にあたる「短期借入金」のこと。この年間返済額がキャッシュフローを上回る場合は、毎年追加融資が必要となる。借入金額を見直さなければならない。

5.固定負債

土地・建物などの固定資産を調達するために行なう借入が「長期借入金」となる。固定資産に見合った借入額、借入期間になっているかが重要である。

6.純資産(資本)

医療法人は剰余金(利益)の配当が禁止されている。毎年の決算で利益が計上された場合は法人内に蓄積されるため純資産が増えていく。一般病院の自己資本比率の平均は26.9%に達している。

Next: 銀行が医療法人の融資を判断するときにみるポイントとは?

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