「惜しいポイント」と足元のリスク
ここまでポジティブな側面を中心に解説してきましたが、株式投資家として冷静に見るべき「足元の現実」もあります。
実は同社の業績は、2023年度をピークに一旦落ち込んでいました。

出典:マネックス証券
これがこれまでの株価停滞の主な要因でした。
原因は、コロナ禍における「過剰在庫」です。
コロナ禍での物流混乱を恐れた医療・バイオ業界の顧客が、同社のデバイスを必要以上に前倒しで調達したため、物流が回復した後に深刻な在庫調整が発生したのです。
つまり、これまでは「実需(実際に使われている量)」よりも「発注」が極端に減っていた時期でした。
また、電気自動車(EV)市場の減速も、同社の車載用センサー需要に影響を与えています。
同社は良くも悪くも外部環境に左右されやすい「部品メーカー」の側面を持っていることは忘れてはなりません。
バリュエーションと「夢の現実味」
しかし、今回の決算でついに「在庫調整の一巡」が宣言されました。
ネガティブな要因が底を打ち、そこにAI需要という強力なプラスアルファが乗ってきたことが、今回の株価反発の正体です。
現在のPERは約52倍、PBRは2.6倍に達しています。
同社の過去の通常水準が30〜35倍程度であったことを考えると、足元の数字はかなり「AIへの期待値」が先取りして盛り込まれた状態です。
これを「割高」と見るか、あるいは人類の最先端技術を影で支える「未来モンスター企業」への適切な対価と見るかは、投資家の視点が問われるところです。
浜松ホトニクスは、研究開発型企業のロマンを体現する存在です。
人類が未知の領域(AI、量子)へ進もうとする時、その足元を「光」で照らし続ける黒子のようなこの会社は、これからも世界の最先端を支え続けることでしょう。
この夢が現実味を帯びてきた今、調整局面や下落局面は、長期投資家にとって非常に興味深い「仕込み時」になるかもしれません。
YouTubeでも詳しく解説しておりますのでそちらもぜひご覧ください。
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『 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』(2026年6月6日号)より※記事タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。