■成長戦略・トピック
1. 中期経営計画「SMK Next100」が進行中
SMK<6798>は、2024年5月に、次の100年のスタートを機に長期ビジョン及び中期経営計画「SMK Next100」を策定し、現在はその達成に向けて取り組みを推進している。長期ビジョンは10期後となる2036年3月期を想定し、ありたい姿として「あらゆるニーズを実現する“ものづくり力”で、次の100年に貢献する。」を掲げた。同社の原点である、“ものづくり力”でエレクトロニクスを活用する顧客や社会の課題を解決する自信と責任を明確にしたものである。これまでのものづくりの蓄積を継承するとともに、今後は高周波技術やアルゴリズム技術を活用して付加価値の高い製品サービスを開発・提供する。業績目標としては、2036年3月期に売上高で1,500億円、営業利益率で10.0%、ROEで10.0%を目指す。また10年ビジョンの達成のために、3ヶ年の中期経営計画「SMK Next100」を策定し、持続的な成長に向けた構造改革を加速させる期間と位置付けた。最終年度の2027年3月期の業績目標は、売上高が600億円、営業利益率が3.5%、ROEが5.0%であるが、外部環境の変化(需要の減少、企画スライド)を主因に現実の予想は下方修正されている(売上高490億円、営業利益率1.6%)。
2. 構造改革プログラム:コスト構造の見直しの進捗
同社では2025年4月に、売上・利益を伴った成長を実現する人員・人件費構造の構築、日本国内の従業員数の適正化、社員配置の最適化を実施するため、希望退職を募集した。実施結果としては、118名(管理部門40名、SCI部門38名、CS部門23名、イノベーションセンター17名)が希望退職した。固定費の削減効果としては、2026年3月期に490百万円(確定値)、2027年3月期以降は700百万円が見込まれる。国内人員の削減に伴い、営業所の閉鎖、管理部門の組織再編と規模適正化に取り組み、既に茨城営業所を閉鎖、広報室を財務企画部に統合、人事部と総務部を統合し人事総務部へ集約といった変更がなされた。また、欧米での販売体制の合理化も進捗が著しく、拠点閉鎖(デトロイトオフィス、UKサウスオフィス)、人員削減、経費削減などによる固定費の削減が実施され、2026年3月期に180百万円、2027年3月期以降は200百万円が見込まれる。国内外の合計では、2027年3月期以降に900百万円の経費削減が見込まれる。
3. 各事業セグメントでの最新トピック
【CS事業部】
CS事業部では、より成長性の高いCS事業を重点注力領域として位置付け、資源投下を強化する戦略である。なかでも車載市場は最重点分野であり、四輪向けのほか、E-Bikeや二輪などのモビリティ領域での拡販を強化する。重点施策としては、BMS・インバーター向け製品開発強化、ADAS、インフォテイメント領域の拡充などである。2026年2月に、デリーの南西約30kmのグルガオンにインド駐在員事務所を開設し、インド市場のさらなる開拓を目指す体制が整った。成長性の高いインド自動車市場において、現地モビリティメーカーへのコネクタのマーケティング活動を推進する。近年、AIサーバー・データセンター市場は急成長しているが、このセクター向けに自動車市場向けの技術・製品の水平展開を目指した営業活動を進めている。
【SCI事業部】
SCI事業部では、センサー・センシングビジネスを新たな柱として注力する。この分野における成長ドライバーとして期待される商品として、SyncBolt(ボルト軸力監視システム)、Milweb(R)/Milweb(R) Sleep(ミリ波センサー)、HarvestLoop(R)(自立給電型コイン電池モジュール)などがあり、いずれも同事業部の技術力を示す画期的なもので、拡販が期待される。新たにラインナップに加わったのが、LoRaWAN(R)対応在庫管理センサー及びLoRaWAN(R)対応 GPS Tracker -Liteである。LoRaWAN(R)は、IoTデバイス向けに特化した無線通信ネットワーク規格であり、長距離通信と極めて低い消費電力を両立しており、電池駆動のセンサーデータを数キロ~十数キロメートル先まで安価に送信できるのが最大の特徴である。在庫管理センサーでは、赤外線センサーによる高精度、省電力、長寿命を実現した。また、GPS Tracker -Liteは、屋外・広域での位置情報トラッキングを、高精度、低消費電力、安全管理を効率的に行える仕様となっている。
【イノベーションセンター】
選択と集中を行う方針のなか、ヘルスケア領域、特に「音声によるあたまの健康度分析技術」「筋電センサー」を重点ビジネスとし、リソースを注力することで早期の事業化を目指す。「音声によるあたまの健康度分析技術」に関しては、同社は、短い音声入力であたまの健康度を推定する技術を追究してきており、ストレスモデル開発、鬱モデル開発が完了し、事業化を見通せる段階となっている。2025年10月には、同社と行政・医療・民間企業・研究機関が連携し、認知症予防推進に関する包括連携協定を締結した。具体的なメンバーは、奈良県宇陀市、(国研)国立循環器病研究センター、太陽生命保険(株)などである。本プロジェクトでは関係団体が垣根を越えて連携し、科学と地域社会の力を融合した「検知から介入・モニタリングまで」一気通貫の認知症予防モデルの構築に向けた取り組みを行う。同社は、太陽生命少子高齢社会研究所のもとで、国立循環器病研究センターとともに、音声データを活用したMCI(軽度認知障害)スクリーニングツールの開発及び社会実装に取り組む。既に1年間のPoCを開始しており、翌期以降は成功モデルを他の自治体に水平展開することも視野に入れている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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