■中期経営計画と進捗状況
2. 実施済みの重点施策と最終年度の重点施策
(1) 実施済みの重点施策
クロスキャット<2307>は中期経営計画「Growing Value 2026」において、「両利きの経営」の推進を基本方針に掲げ、既存事業の強化と新たな成長領域の拡大を同時に進めてきた。SI分野では、金融・公共分野を中心としたミッションクリティカル領域において開発力の強化と顧客基盤の拡大に取り組み、金融機関向け大型案件や公営競技・スポーツ振興くじ向け案件の獲得につなげた。一方、DX分野では、データ活用需要の拡大を背景にBIビジネスやクラウド関連案件の拡大を進め、データ活用基盤構築領域における競争力を強化してきた。
また、収益性向上に向けて、PMO及びシステムマネジメント部による全社横断的な品質管理体制を構築した。受注後も進捗状況や採算性などの先行指標を継続的にモニタリングし、問題案件の早期発見と是正を行うことで、大規模な不採算案件の発生を抑制している。さらに、人材を重要な経営資源と位置付け、年率4%以上の賃上げや新卒採用・育成を継続してきた。離職率は約6%と業界平均を下回る水準で推移しており、人材とノウハウの蓄積が競争力向上につながっている。
(2)最終年度の重点施策
2027年3月期は次期中期経営計画につながる重要な1年と位置付けられている。SI分野では、金融・官公庁分野を中心とした大型案件の受注拡大に加え、大口顧客の育成を重点施策としている。長年培ってきた業務ノウハウや顧客との信頼関係を活用し、既存顧客との取引深耕を進める。
DX分野では、クラウド案件及びデータ活用基盤構築案件の積み増しを進める。企業のデータ活用ニーズは引き続き拡大しており、金融・公共分野で培った業務知識を生かした高付加価値なデータ活用支援を強化して事業規模を拡大する。また、収益性向上に向けては、生成AIを活用した高生産性の開発体制を構築し、AI技術を活用しながら開発効率の向上を図る。一方、同社の強みである業務理解力やミッションクリティカル領域における高品質なシステム構築能力をさらに強化し、持続的な利益成長につなげていく。
(3)長期成長ドライバー
同社が長期的な成長機会として注目しているのは、データ活用基盤構築市場である。企業や官公庁におけるデータ活用ニーズは今後も拡大が見込まれており、クラウドやAIの普及も追い風になると考えられる。同社は単なるデータ基盤構築ではなく、金融・公共分野で培った業務ノウハウを基に、データを生み出す業務プロセスまで理解したうえでシステムを構築できる点を強みとしている。
また、金融・官公庁分野はシステム停止が許されないミッションクリティカル領域であり、新技術導入には時間を要するものの、一度採用されると長期的な取引につながりやすい特徴を有する。同社はこうした強固な顧客基盤を活用しながら、SI分野とDX分野の双方でデータ活用基盤構築案件を拡大させることで、中長期的な成長を実現していく考えである。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 中西 哲)
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