朝日ラバー<5162>は5月14日、2026年3月期連結決算を発表した。売上高が前期比2.8%増の78.52億円、営業利益が1.97億円(前期は0.02億円)、経常利益が同507.7%増の1.89億円、親会社株主に帰属する当期純利益が1.58億円(前期は2.36億円の損失)となり、大幅な増益を達成するとともに黒字転換を果たした。前年度に実施した設備除却や減損損失といった一過性費用の反動に加え、工場間での設備移管や販売管理費の増加影響が一巡し、営業利益が通常水準へと回復したことが大きく寄与している。自動車向けスイッチ製品や卓球ラバーの好調、医療関係の安定成長が全体の業績を力強く牽引した。
セグメント別では、工業用ゴム事業の売上高が前期比1.2%増の59.47億円、セグメント利益が同165.8%増の3.05億円となった。操作系精密ゴム製品において、自動車向けだけでなく民生用スイッチ向けも大幅に増加した。民生向けは市場全体のパイが拡大している。また、主力製品の卓球ラバーはパリオリンピック後の需要増が追い風となり、取引メーカーからの強い需要継続の見通しを得て極めて好調に推移している。社内では新ライン増設を含む増産体制の検討を具体的に進めており、次期の後期から収益寄与が本格化する見込みである。
医療・衛生用ゴム事業の売上高は同7.9%増の19.05億円となった。輸液などの回路系製品が大きく伸長したほか、ガスケット製品も顕著に推移し、ライフサイエンス・医療教育向けの医療シミュレーター関連の販売台数も急増した。医療製品は一度採用されると長期にわたり継続使用されるため、同社の安定した収益基盤を強固にしている。利益面は低利益率製品の数量増加による製品ミックス悪化でセグメント利益が同24.4%減の1.31億円となったが、今後は順次立ち上がる新製品の寄与によって早期に回復へ向かう見通しだ。
光学事業においては、中国市場で減少傾向が続く自動車内装用LEDに代わり、独自の光学設計技術を応用した自動車外装用照明向けなどの新製品展開を中期戦略の柱として位置づけている。
2027年3月期の通期連結業績予想については、売上高が前期比4.1%増の81.72億円、営業利益が同25.2%減の1.48億円を見込む。要員増などの費用増加を織り込んだ慎重な計画だが、未来の成長に向けた投資は積極的に継続する。今期は総額約7.5億円の設備投資を計画しており、光学事業におけるシリコーンゴムレンズの量産設備や、工業用ゴム事業における卓球ラバーの増産ラインへ重点投入し、それぞれ早期の収益貢献を目指す。
株主還元方針では、確実な成長を市場に示すため、2027年3月期より年間24円(中間12円・期末12円)へ増配する計画を打ち出した。現状の配当性向は高い水準にあるが、特定の数値目標を設けず、金額ベースでの安定配当を軸とすることを基本方針としている。個人投資家への最重要メッセージとして安定配当の継続を掲げ、持続的な企業価値向上と成長投資への最適な資源配分を両輪で推進していく方針だ。
いま読まれてます
記事提供: 
元記事を読む