KADOKAWAの2021年度通期の決算では、コロナ禍であるにもかかわらず大健闘の結果となりました。中でも出版事業の数字が大きく伸びています。今回は決算書から、売上高・営業利益ともに過去最高額を達成できた秘密を探ります。『決算が読めるようになるノート』シバタナオキ)
※本記事は有料メルマガ『決算が読めるようになるノート』2021年5月16日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
AppGrooves / SearchMan共同創業者。東京大学大学院工学系研究科技術経営戦略学専攻 博士課程修了(工学博士)。元・楽天株式会社執行役員(当時最年少)、元・東京大学工学系研究科助教、元・スタンフォード大学客員研究員。
「デジタルシフトへの強烈な移行が営業利益に大きく貢献」
私のYouTubeチャンネルでは、決算読み解き実況中継をしています。おかげさまでYouTubeの方も多くの方にご覧いただいているのですが、特に忙しいビジネスパーソンの方たちから「YouTube動画の内容を知りたいが、動画を見る時間が無い」というお声を多数いただいています。
この記事では、以下の動画の内容をスクリーンショット付きで文字起こししてあります。動画を見る時間はないけれど、内容を短時間でおさらいしたいという方に最適です。
――(Asako)皆さんこんにちは。今回は、KADOKAWAの2021年度通期の決算をシバタさんに解説して頂こうと思います。
――早速、業績を見ていきましょう。2021年度4クールの売上は571億6,900万円、営業利益が4億2,100万円と、前年同期比+4.9%で、営業利益も黒字転換しています。
――通期で見ても、前回予測には届かなかったものの、売上が2,099億4,700万円、営業利益が136億2,500万円と、それぞれ前年同期比+2.6%、+68.5%で、売上高、営業利益共に過去最高を達成したとのことです。
――シバタさんの今回の印象はいかがでしたか。
(シバタナオキ)一番大きいのは、売上はほぼ同じで営業利益がすごく増えている点です。
デジタルシフト(DX)を強烈に推し進めてコロナを乗り切ったのでしょう。出版社には難しいと思われるDXに成功し、利益を大きく伸ばしたのが印象的でした。
コロナに強いビジネスで営業利益増
――セグメント別の数字を見ていきましょう。
――出版事業が主力となっており、映像、ゲーム、Webサービス、その他、という形になっています。
――通期では、出版事業とゲーム事業で前年同期比+100%を超える増益。4クールでは、出版事業は好調であるものの、ゲーム事業は営業利益の部分が赤字になっていました。
――また、映像、Webサービスに関しては、トップラインが落ち込んでおり、コロナの影響を受けたのかなという印象でした。
――シバタさんは、このページで他に気になったポイントはありますか。
一番目を引くのは、出版事業の営業利益がすごく伸びている点です。売上も2桁成長なので、すごく強いと思いました。出版に関しては、先ほどから言っている通り、DXが順調に進んでいます。ゲームも、通期で見ると好調ですから、コロナに強いビジネスが成功したのではないでしょうか。
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