2026年6月5日に発表された、株式会社栗本鐵工所2025年度通期決算説明の内容を書き起こしでお伝えします。
目次
菊本一高氏(以下、菊本):おはようございます。栗本鐵工所、代表取締役社長の菊本です。本日は大変お忙しい中、クリモトグループの決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。それでは、ただいまより2025年度通期決算説明会を開催します。
本日は、スライドに記載の流れに沿ってご説明します。それでは、まずは2025年度の通期実績について、財務担当役員の織田よりご説明します。
2025年度 決算概要

織田晃敏氏:取締役常務執行役員、財務担当の織田です。よろしくお願いします。それでは、まずは2025年度通期実績についてご説明します。
現中期3ヵ年計画は、「2030年にありたい姿」の実現に向けた変革成長準備期間と位置づけており、2025年度はその2年目となります。
安定収益事業の収益力強化と、成長けん引事業への積極投資で成長を推進するとともに、資本構成や株価を意識した経営の実現に向けた積極的な対応、また、サステナビリティ経営を継続して進めることとしています。
2025年度は不安定な国際情勢の中、原材料やエネルギー価格の高騰、物価の上昇、為替や株価の変動などがある一方、雇用・所得環境の改善により、景気は緩やかに回復基調で推移しています。
このような状況の中、当社グループは引き続き営業活動やコストダウン活動の強化に努め、企業価値のさらなる向上と経営基盤強化に向けた事業展開を進めてきました。
結果として、2025年度の通期実績は、前年同期比で売上高が14億5,700万円増の1,281億2,600万円、営業利益が1億2,900万円増の80億5,900万円、経常利益が1億5,800万円減の83億1,900万円、当期純利益が2億400万円減の67億100万円となりました。
中期経営計画対比では、売上高が31億2,600万円の増収、営業利益が5億5,900万円の増益となっています。
セグメント別業績

各セグメントの売上高と営業利益については、スライドのとおりです。
グループ売上高の構成比は、ライフラインセグメントが約半分を占めています。機械システムセグメント、産業建設資材セグメントは、それぞれ4分の1ずつです。各セグメントの概況については、次のスライドでご説明します。
事業セグメント別概況

まず、ライフラインセグメントについてです。
売上高は、パイプ部門でダクタイル鉄管の出荷が順調に推移したことなどから、前年比37億5,400万円増の659億6,000万円となりました。
営業利益は、増収の影響やパイプ部門で利益率の高い中大口径管の出荷が順調に推移したことなどにより、前年比7億300万円増の47億3,200万円となっています。
中期経営計画と比較すると、売上高は29億6,000万円の増収、営業利益は2億3,200万円の増益となりました。
事業セグメント別概況

機械システムセグメントについてです。
売上高は、素形材部門における破砕機の受注が好調であり、その一部を計上することができました。しかし、機械部門ではEV市場の停滞など、2024年度の受注が大きく減少したため、前年比35億1,000万円減の274億4,800万円となりました。
営業利益は、粗利益率の改善や販売費の削減があったものの、減収の影響が大きく、前年比4億8,700万円減の12億5,900万円となっています。
中期経営計画比では、売上高は20億5,200万円の減収、営業利益は4億4,100万円の減益となりました。
事業セグメント別概況

産業建設資材システムセグメントについてです。
売上高は、建材部門の橋梁補修を行うグループ会社における受注の減少が見られたものの、化成品部門では電力関係や小水力発電向け導水管の出荷が好調に推移し、前年比12億1,300万円増の347億1,700万円となりました。
営業利益は、建材部門のグループ会社で前年同期に計上された大型案件の反動減の影響などにより、前年比1億8,000万円減の24億400万円となっています。
中期経営計画比では、売上高は22億1,700万円増収、営業利益は4億400万円の増益となりました。
BS/キャッシュフロー 概況

財務状態の概要についてご説明します。2025年度末の資産、負債および純資産は40億4,800万円増加し、1,555億8,600万円となりました。
主な要因は、資産は中期経営計画に沿った投資の着実な実施による固定資産の増加、負債は中小受託取引適正化法(取適法)対応による支払サイト短縮を補うための借入金の増加、純資産はその他有価証券評価差額金等の増加が挙げられます。
キャッシュフローについてです。営業キャッシュフローは、2024年度に取適法対応があった影響でマイナスとなりましたが、2025年度はプラス71億1,200万円となりました。
投資キャッシュフローについては、2025年度は有価証券の売却が進みましたが、積極的な投資により固定資産の取得・支出が増加し、マイナス25億9,200万円となりました。
財務キャッシュフローは、借入金は増加しましたが、中期経営計画で目標としている配当性向50パーセント以上を計画どおり実施し、マイナス18億400万円となりました。
以上で、2025年度の通期実績のご説明を終わります。続きまして、代表取締役社長の菊本より、2026年度の業績予想と新たな成長領域についてご説明します。
2026年度 通期業績予想

菊本:それでは、2026年度の通期業績予想についてご説明します。定量数値で申し上げると、売上高は1,300億円、営業利益は80億円、当期純利益は72億円を見込んでいます。
2026年度は、ライフライン事業が引き続き堅調に推移することを想定し、増収を見込んでいますが、営業利益は原材料価格やエネルギー価格の高騰の影響もあり、前年並みとしています。
また、経常利益は、支払利息の増加や受取配当金の減少などにより減益の見込みです。当期純利益は、政策保有株式の売却に伴う特別利益の計上により、増益を見込んでいます。
各セグメントについては、次のスライドを用いてご説明します。
セグメント別業績

まず、ライフライン事業および産業建設資材事業についてです。
道路や橋梁周辺分野などの国内公共工事関連の官需分野では、資機材や労務費等の物価上昇の影響が継続することが想定されますが、インフラの更新や耐震化需要を背景に底堅く推移すると見込んでいます。
一方、民需分野の機械システム事業においては、脱炭素や資源循環といった社会的要請を背景とした中長期的な市場成長が見込まれるものの、受注環境の停滞や原価上昇の影響を受け、売上高は鈍化しています。また、収益面での回復には一定の時間を要すると予想されます。
なお、セグメントごとの増減はあるものの、グループ全体の中期経営計画目標値に変更はありません。
株主還元

株主還元についてです。
当社は、株主のみなさまへの利益還元を最重要政策の1つと位置づけています。中期3ヵ年経営計画の株主還元目標に基づき、配当性向50パーセント以上を目指しています。
2025年度は、前年から0.6円増配し、1株あたり57.6円、配当性向52.2パーセントとしました。2026年度は2.4円増配の1株あたり60円、配当性向は50.9パーセントとし、中期経営計画の目標値を達成すると同時に、5期連続の増配を予定しています。
新たな成長領域の全体像

それでは、今後新たな成長領域として期待している分野についてご紹介します。
まずは、当社の成長領域の全体像についてです。当社のメイン事業である水インフラ事業を、安定収益領域かつ成長領域へと進化させていきます。詳細は後ほどご説明しますが、従来の商材販売にとどまらず、DB(デザインビルド)や調査・診断、更新・更生までを含めたソリューション型への展開を進めていきます。
さらに、当社は社会インフラと産業インフラ双方の事業を持つ点が特徴であり、この掛け合わせにより成長市場での関与領域を拡大できると考えています。
具体的には、AI・半導体やデータセンター分野において、工業用水、排水、電力などのインフラ領域に加え、それらの設備周辺にも関与が可能です。また、防衛分野では、基地のライフライン整備において、事業部門を横断した提案を進めています。
水インフラの高度化と成長戦略 水インフラ事業の進化

当社は、水インフラ事業を将来の成長を牽引する中核領域として再定義し、まず第一歩として、これまでの製品供給に依存したビジネスモデルから脱却し、より付加価値の高いサービス型モデルへの進化を図っています。
水インフラは、社会インフラと産業インフラをつなぐ重要な基盤であり、後ほどご紹介するAI・半導体、防衛といった他の成長領域とも密接に関係しています。この特性を活かし、水インフラを起点として事業領域を拡大することが重要だと考えています。
当社はこの領域において、長年蓄積してきた技術力とお客さまの基盤を最大限活用することで、水インフラを単なる成熟事業ではなく、新たな価値創出の源泉へと進化させていきます。このような変革を通じて、安定性と成長性を兼ね備えた事業ポートフォリオの実現を目指します。
また、水インフラの高度化、すなわちトータルソリューション化を実現するためには、事業内容だけでなく、体制そのものの見直しが必要であると考えています。当社では、事業の枠を超えた連携や工事機能の見直しを進め、よりお客さま志向の体制を構築していきます。
不足している機能については、アライアンスやM&Aを活用し、補完しながら、トータルソリューション化を加速させていきます。あわせて生産面でも合理化を進め、収益強化につなげていきます。
水インフラの高度化と成長戦略 バリューチェーンの拡張

当社はこれまで、製品供給や施工を中心とした事業を展開してきました。今後は管路DBを起点に、調査・診断、そして更生までを含めた一連の流れを構築し、単発の供給から継続的な価値提供へとビジネスモデルを展開していきます。
これにより、お客さまには効率化や延命といった価値を提供するとともに、当社としても継続的な収益機会を拡大していきます。
水インフラの高度化と成長戦略 水を起点とした成長戦略

水インフラ事業は、他の成長領域と密接に連携することで、より大きな価値を創出できます。
例えば、AI・半導体分野では、大規模工場の建設に伴って大量の工業用水や排水処理が必要となり、水インフラの整備が不可欠です。
また、防衛分野でも、基地や駐屯地の運用には安定した水供給やインフラ整備が求められます。このように、水インフラは国家戦略として進められている複数の成長分野と直接的な接点を持っています。
さらに、これらの分野では高度な技術と信頼性が求められるため、当社のように長年の実績と技術を持つ企業にとっては、大きなビジネスチャンスだと考えています。
今後は水インフラを起点に事業領域を横断的に拡大し、社会インフラと産業インフラをつなぐ存在として、持続的な企業価値向上を実現していきます。
AI・半導体/データセンターでの当社ポジション

AI・半導体/データセンター領域における当社のポジションについてご説明します。
当社の強みは、半導体工場やデータセンターの建設において、インフラと設備の両方に関与できる点です。
社会インフラとしては、工業用水や排水、電力供給関連があります。また、産業インフラとしては、防音・消音などの設備でも需要が見込まれます。このように、1つの成長市場に対して複数の領域で関与できる点が当社の特徴です。
AI・半導体/データセンター関連の成長イメージ

こちらのスライドは、データセンター関連の成長イメージ図です。国内市場は、年率6パーセント程度の成長が見込まれています。関連商材として、下水・工業用水においてはパイプやバルブ、電力においては化成品の商材があります。
また、スラリー製造においては機械システムセグメントが混練機を保有しています。空調関係では建材を扱い、防音・消音ではサイレンサーなどの商材も持っているため、今後期待ができる分野であると考えています。
トピックス:インド市場向け鍛造プレス機の拡販

トピックスを2つご紹介します。1つ目は、インド市場向けの鍛造プレス機の拡販です。
鍛造プレス機は、自動車のエンジンや足回りに使用する部品を製造する大型機械です。インドでは、人口増加に伴い、自動車の生産や新車販売台数が年々増加しており、中国、アメリカに次いで世界第3位となっています。
今後も人口増加とインド経済の成長に伴い、生産および販売台数の伸びが継続すると予測されています。
また、近年インドでは乗用車の輸出も増加しており、輸出先の上位を中東・アフリカが占めています。中東・アフリカはインドに次いで人口増加が予測される地域であり、今後ますます生産・輸出拠点として、インドの重要性が高まると考えられます。
当社が過去にインドへ納入した鍛造プレス機については、メンテナンスが必要な時期となっています。今後はこのメンテナンスを契機として、インドにおける鍛造プレス機、いわゆる新型機の拡販を目指していきます。
トピックス:FSグリッド(道路床版の延命工法)進捗

もう1つのトピックスをご紹介します。現在開発中であるFRP製支持部材を設置し、床版を補強・延命する工法、「FSグリッド」の進捗状況です。
スライドの図にある緑の部分が「FSグリッド」です。当社では、橋梁や道路床版の老朽化対策として、FRPを活用した補強技術「FSグリッド」の開発をIHIインフラスクエア社と共同で進めています。
本技術は、交通規制を大幅に抑えながら短期間で施工できる点が特徴であり、今後進展するインフラ更新需要の中での活用が期待される技術です。
「FSグリッド」の開発は順調に進んでおり、2025年度に第三京浜道路・新田谷高架橋において試験施工を実施し、補強効果を確認するなど、実績を積み上げています。また、今年度中には事業化して初の受注も見込まれています。
現在は生産設備への投資を拡大しており、順調にいけば2027年度下期から新建屋で量産を開始する計画です。2030年度には、売上高20億円から30億円を目標としています。
次のスライドからは参考資料となるため、後ほどご覧ください。
最後になりますが、クリモトグループは今後も「チームクリモト」として一丸となり、さらなる企業価値向上を目指します。焦らず、力まず、諦めず、一歩ずつ着実に歩みを進めていきますので、ステークホルダーのみなさまには、今後ともご高配を賜りますようお願い申し上げます。
以上をもちまして、2025年度通期クリモトグループの決算説明を終了します。ご清聴ありがとうございました。
