■SBIリーシングサービス<5834>の今後の見通し
3. 中長期的な事業の成長性
(1) 商品組成関連(航空機・船舶の需要動向)
オペレーティング・リースファンド事業の成長性を判断するうえで、組成金額に影響を及ぼす航空機及び船舶の中長期的な需要見通しは重要な要素となる。世界的に見た場合、新興国の経済成長に伴う輸送・移動需要の増加や国際的なカーボンニュートラルに向けた対応を背景として、航空機及び船舶の需要とも中長期的な成長が期待できる。航空機に関しては、経済産業省の「我が国航空機産業の今後の方向性について」(2024年3月27日)が引用する資料によれば、航空旅客需要が今後20年程度にわたり年率3~4%の成長が予想されている。
船舶関連事業は、航空機関連事業と比べ同社が優位性を持つ分野である。同業界は、航空機関連事業と比較して競合が少ないこと、相対での条件交渉が多いこと等から、柔軟かつ経済性の高いリース契約を締結することが可能な模様である。これに加え、パートナーであるBNPパリバ等のネットワークを戦略的に掛け合わせることで、優良案件の組成能力と差別化を実現している。
(2) 投資家動向
投資家需要について、同社は引き続き順調な推移を想定している。投資家の典型的な投資ニーズとしては、インフレや円安による資産価値上昇を実現、M&Aなどのイベントドリブン、想定外の特需といったケースが考えられるが、こうした需要は当面継続するものと想定している。また、営業基盤の拡大・強化により、こうしたニーズをきめ細かく取り込むことが可能と考えている模様である。
(3) JOL・JOLCO市場の成長性
国際航空運送協会(IATA)などのデータによれば、世界の商用航空機の約50~60%はリース機となっており、世界的な航空機需要増加や格安航空会社(LCC)の成長などを背景に、航空機リース市場は中長期的な拡大が予想される。また、過去の大量建造船のリプレース需要を含めた世界の船舶需要増加により、船舶リース市場も中長期的な拡大が予想される。こうした状況の下、JOL・JOLCO市場も中長期的に拡大を続けることが想定される。
同社の有価証券報告書等で引用しているアンクパートナーズ(同)のレポートによれば、コロナ禍を経てJOL・JOLCO合計の市場規模が2022年度の5,309億円から2025年度の1兆1,529億円へと拡大するなか、JOL・JOLCO合計の同社販売金額は2022年度の783億円から2025年度の1,269億円へと拡大してきた。同社はJOL・JOLCOを専門に手掛ける同業他社と比べて後発であり、JOL・JOLCOも手掛ける総合リース大手と比べれば事業規模及び顧客基盤で見劣りすることは否めない。一方、同社は世界の大手航空会社・海運会社を借り手とする信用力が高い優良案件のファンド組成を多く手掛けており、案件獲得に際してはBNPパリバやABL Aviationといったアレンジャーとの強力なパートナーシップを武器に優良案件を獲得している。また、SBI新生銀行やSBIマネープラザなどSBIグループとの連携強化や、地域金融機関や証券会社、税理士、会計士等のパートナーとのリレーション強化もあり、JOL・JOLCOの販売金額を順調に拡大してきた。この結果、同社のJOL・JOLCO合計の市場シェアは2023年度12.0%、2024年度12.1%、2025年度11.0%となった。
短期的には事業環境にやや不透明さが残り、リスク要因としては為替相場が急激に円高に振れた場合、とりわけJOLCO商品販売に悪影響が及ぶ可能性があるほか、総合リース大手が「持たざる経営」を志向して航空機や船舶などを対象とするJOL・JOLCOの組成・販売事業を強化する動きが出てきており、その動向には注意を要する。もっとも、中長期的にはJOL・JOLCO市場の拡大に伴い同社販売金額のさらなる拡大が期待できる状況にあると見られる。加えて、SBIグループとの連携強化や金融機関・税理士・会計士など販売パートナーの拡充を通じた営業基盤の強化が、市場シェア拡大に向けた重要な要素になると考えられ、今後の進捗とその成果に注目したい。
(4) 成長の制約要因について
一方、同社においても、商品組成にあたり外部資金を要するため、事業拡大に伴い外部資金調達の拡大を図る必要がある。このため、事業拡大に伴い財務リスクも高まる方向にあるが、同社はSBIグループの一員としての信用力も背景に、銀行借入や社債発行など多様な資金調達手段を確保しており、当面の事業拡大に伴う財務リスクの高まりは、ほぼ許容範囲内に収まると見られる。もっとも、社債投資家にとって財務レバレッジをどこまで拡大するかは大きな関心事の1つと考えられる。同社ではD/Eレシオ5倍以内を1つの目安としており、これは総合リース大手の平均的な水準に近く、おおむね妥当な水準と考えられる。この方針からすれば、今後の負債調達の拡大余地は十分残されている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 古川 聖治)
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