2026年8月10日に開催された、サスメド株式会社2026年6月期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。
ビジョン
上野太郎氏(以下、上野):サスメド株式会社代表取締役社長の上野です。本日はお忙しいところ、お時間をいただきありがとうございます。2026年6月期の決算説明資料に沿ってご説明します。
まず、弊社のビジョンです。創業以来、「ICTの活用で『持続可能な医療』を目指す」という理念を掲げています。この「SUStainable MEDicine」を略してサスメド株式会社と称しています。
事業領域概要

事業領域の概要です。大きく分けて「治療用アプリ開発」と「臨床試験支援」があります。治療用アプリの開発については、弊社単独で行っているものと、製薬企業などと共同で開発しているものがあります。
もう1つの事業の柱である臨床試験の支援では、治療用アプリに限らず、医薬品やハードウェアの医療機器も含めて、臨床試験の効率化に弊社のブロックチェーン技術を活用したシステムで貢献しています。
それ以外にも現在、RWD(リアルワールドデータ)の活用として、レジストリなどの事業領域にも取り組み始めています。
サスメド 不眠障害用アプリ Medcle

大きなトピックスとして、創業以来、開発を進めてきた「サスメド 不眠障害用アプリ Medcle」が、6月1日付で公的保険の償還対象となりました。
価格については、1処方につき2万4,100円と評価され、当初見込んでいた1万9,200円に比べ、2割程度上回る価格で保険算定されました。
こちらは、1処方で9週間の治療を受ける仕組みとなっています。認知行動療法をベースにした治療コンテンツをプログラム医療機器として提供し、医療機関の先生方が処方するかたちです。
治療用アプリの提供の流れ

治療用アプリについては、これまでも提供の流れをご紹介してきましたが、医療機器に該当するため、医療機関の医師が患者に処方して初めて使用できる仕組みになっています。
QRコードが印刷されている冊子を患者に処方することで、そのアカウント情報を利用して、患者自身のスマートフォンでログインし、自宅にいながらガイドラインで推奨されている認知行動療法をベースにした治療を受けることができます。
また、日々のデータはアプリ管理システム上のサーバーに蓄積され、医療機関の先生方はPC等で確認できます。このデータは、次回以降の診療の効率化にも活用できる仕組みになっています。
SUSMED SourceDataSync:臨床試験システム

臨床試験システムについてご説明します。臨床試験効率化の取り組みとして、ブロックチェーン技術を活用することで、規制対応を労働集約的ではなく、技術やシステムで担保できるかたちとしています。
現在、このシステムは複数のデータソースを一元的に提供できるプラットフォームにアップデートされ、すでにさまざまな医薬品メーカーに提供されています。
開発パイプライン① (2026年8月7日現在)

治療用アプリの開発パイプラインの進捗状況です。不眠障害用アプリについては、すでに保険収載され販売を開始しているため、パイプラインから外して記載しています。
主なアップデートとして、杏林製薬と共同開発している耳鳴治療用アプリで検証的試験を開始したことが挙げられます。
開発パイプライン② (2026年8月7日現在)

その他パイプラインについては、治療用および診断用のもの、それぞれで取り組みを進めています。
あすか製薬と取り組んでいる月経前症候群・月経前不快気分障害(PMS・PMDD)に対するアプリで、次の試験に向けて準備を進めています。
持続性知覚性姿勢誘発めまいに関しては臨床研究が終了し、その研究結果を学会で発表しました。
2026年6月期 重点施策

2026年6月期の重点施策についてです。不眠障害治療用アプリの販売開始、パイプラインの開発の進捗、臨床試験システムの稼働実績積み上げを期初に目標として掲げていましたので、それぞれの進捗をご説明します。
重点施策①不眠障害治療用アプリの販売開始

まず重点施策1点目、不眠障害治療用アプリの販売開始についてです。2026年5月に厚生労働省の中央社会保険医療協議会において保険収載が了承され、同年6月1日から保険収載され販売を開始しました。
このように、重点施策として掲げていた事項については、2026年6月期の最終月ではありますが、販売を開始することができました。塩野義製薬との販売提携契約のもと、営業活動を開始しています。
マイルストンの達成に関してはプレスリリースを行いましたが、詳細は現在、先方と協議を進めている最中です。
重点施策②パイプラインの開発進捗

重点施策2点目の各パイプラインの開発進捗についてです。杏林製薬との耳鳴治療用アプリ開発に関しては、検証的試験、いわゆる治験を開始し、マイルストンを達成しました。
これに伴い、マイルストン収益として2億4,000万円を受領し、第4四半期に収益を計上しました。
重点施策③臨床試験システムの稼働実績積み上げ

重点施策3点目、臨床試験システムの稼働実績積み上げについてです。このシステムは、Heartseed社によるiPS細胞を用いた心筋再生医療で採用されています。その治験において、最初の患者への投与に成功したとのリリースが出ています。
弊社のブロックチェーン技術を活用したシステムにより、効率的な治験業務の実施が可能となり、治験データの信頼性向上に貢献しています。引き続き、治験をサポートするかたちとなります。
重点施策③臨床試験システムの稼働実績積み上げ

ブロックチェーンシステムについては、治療用アプリの開発でも活用が進んでいます。先ほどお話しした杏林製薬との耳鳴治療用アプリの開発においても、弊社の臨床試験システムが稼働を開始しました。
このシステムは、以前の特定臨床研究といった探索的研究でも活用されていましたが、それに引き続き、次の企業治験においてもブロックチェーンシステムを活用し、効率的な治験を推進する取り組みが始まっています。
2026年6月期 重点施策の進捗状況

2026年6月期の期初に掲げていた重点施策については、それぞれ達成しています。
不眠障害治療用アプリは保険収載が完了し、販売を開始しました。パイプラインの開発においても、各パイプラインで進捗が見られています。
また、臨床試験システムもHeartseed社の再生医療用製品で順調に稼働しており、杏林製薬の治験でも新たに稼働を開始するなど、進捗が確認されています。
その他

重点施策に掲げていたもの以外についてです。不眠障害治療用アプリに関しては、疾患啓発サイト「眠りの道しるべ」という患者向けのホームページを開設しています。さらに、医療従事者向け製品のホームページも公開しました。
また、持続性知覚性姿勢誘発めまいに対する認知行動療法アプリは新潟大学と共同開発しており、臨床研究結果を「第127回日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会総会・学術講演会」で発表しています。
資本金については、臨時株主総会を開催して減資を完了しました。
業績ハイライト

業績ハイライトです。事業収益は4億9,700万円となりました。先ほどお話しした耳鳴治療用アプリのマイルストンを達成した部分を、第4四半期に計上しています。
営業利益はマイナス3億3,000万円です。この要因として、人件費の増加や上市した不眠障害用アプリ「Medcle」のプロモーション費用の発生が挙げられます。
セグメント業績

セグメントの業績についてです。DTxプロダクト事業では、マイルストン収益として、あすか製薬からの1億円と、耳鳴治療用アプリに伴う杏林製薬からの2億4,000万円をあわせて3億4,000万円の事業収益となっています。セグメント利益は1億円強です。
また、DTxプラットフォーム事業の事業収益は1億5,600万円となっています。こちらもセグメント利益として7,600万円の黒字です。
財務状況

財務状況についてです。期初の現預金残高は44億円ほどあり、営業キャッシュ・フローはマイナスとなったものの、引き続き強固な財務基盤を維持しています。
投資キャッシュ・フローでは、オフィス移転に伴う工事や敷金、ソフトウェア構築による一時的な支出が発生しています。
2027年6月期業績予想

2027年6月期の業績予想です。通期の予算として、8億3,800万円の事業収益を見込んでいます。営業利益は引き続き、後続パイプラインの研究開発を行うため、マイナス4億6,000万円を予定しています。
新たに不眠障害用アプリ「Medcle」に関連するKPIを設定しました。2027年6月期は、「Medcle」の採用医療機関数1,000軒、月間処方数2,000回とする計画を立てています。
先ほどお伝えしたとおり、研究開発費は引き続き注力する方針のため、2026年6月期から増額して4億3,500万円を計上する予定です。
「Medcle」の採用医療機関数は、想定の範囲内で進捗しているものの、処方数を伸ばすことが課題と考えています。そのため、営業活動や情報提供活動を推進していきます。
2027年6月期 重点施策

このような背景から、2027年6月期の重点施策を更新しました。まず、不眠障害治療用アプリは前期に販売を開始したため、この販売を推進し、先ほどお伝えしたKPIを確実に達成することを重点施策の1つ目に掲げています。
その他のパイプラインについても研究開発を推進するため、引き続き進捗させることを重点施策としています。
また、臨床試験システムは前期に稼働が増えた部分がありますが、引き続き、稼働実績を積み上げていく予定です。
質疑応答:「Medcle」の売上予想と初年度のKPIについて

質問者:まずは、保険収載おめでとうございます。2027年6月期の計画についてです。DTxプラットフォーム事業およびプロダクト事業が2026年6月期並みと仮定すると、「Medcle」の売上予想は数億円程度と推察できます。
目標として掲げている採用医療機関数1,000軒、月間処方数2,000回という数値は、非常に控えめな設定なのでしょうか? 2027年6月期の「Medcle」の売上予想値が開示可能であれば、教えてください。
上野:「Medcle」については6月1日に保険収載されたばかりで、現時点で約2ヶ月分のデータしか把握できていない状況です。情報が限られる中でKPIを設定していることをご理解いただければと思います。
市場規模も試算し直していますが、これまでお伝えしているものから大きな変更はないかたちとなっています。詳細は、今回スライドのAppendixに記載しているSAMの算出方法などをご参照ください。
「Medcle」の月間処方数が2,000回となることで、売上規模としては、中央社会保険医療協議会の資料で示されていた金額を上回っていきます。そのため、初年度はまずこの目標をしっかり達成することを目的に、KPIを設定しています。
冒頭で申し上げたとおり、まだ2ヶ月しか動向を確認できていないため、確度が限定的な状況で計画を立てている点にご留意いただければと思います。
質疑応答:「Medcle」の収益分配と実入りについて
質問者:「Medcle」の御社の取り分についてです。
今回は想定の単価よりも高い価格がつき、ドクターにはプログラム処方加算もありますが、2万4,100円のアプリが処方された場合、御社にどの程度の利益があるのかという目安を教えていただけませんか?
上野:この点については各契約等の関係があるため、開示は控えたいと思います。ただし、当初の想定からかなり変わっていることは、定性的にお伝えできればと思います。
具体的には、アプリの点数以外で医療機関に真水として入る技術料が算定可能です。例えば、プログラム医療機器等指導管理料が月1回90点で、不眠障害治療用アプリの治療期間は9週間ですので、少なくとも3ヶ月にわたってこちらが算定されます。
さらに、初回には導入期加算の50点が算定可能で、処方するだけでその部分が医療機関の収入となります。また、全体の金額が1万9,200円から2割程度引き上げられていますので、そうした点を考慮し、アプリ本体の価格に関して医療機関にお渡しする分は当初の想定から減少している状況です。
質問者:減少した分は御社の実入りが増えているという理解でよいですか?
上野:おっしゃるとおりです。
質疑応答:臨床現場における治療用アプリの処方状況と実態について
質問者:上野さんは臨床医として、週1回臨床に立たれていると思います。この2ヶ月において、1日に何人くらい「Medcle」の対象となる患者が来院し、どれくらいの患者に「Medcle」を処方しているのでしょうか?
また、「アプリではなく睡眠薬が欲しい」と言われるケースもあるかと思いますが、断られるケースは多いのでしょうか? それとも説明すれば、すんなりと受け入れられるのでしょうか? 実臨床の実態、感触などをご紹介いただけますか?
上野:まず、断られるケースは経験していません。事実として、処方もしています。一方で、「どのような人に対して」かと言いますと、他の医療機関で治療用アプリの情報を聞いたり、メディアで知ったりして、そのアプリを処方してくれる医療機関を探して受診されるケースがあります。
その場合、初診で来院され、「薬を使わずに不眠症を治療したい」と希望されるため、スムーズにアプリを処方する流れになっています。
既存の患者に処方するケースは、現状ではまだ切り替えの事例は多くありません。この点が、処方数の増加をどのように進めていくかに関わる部分だと考えています。
初診で不眠症と診断され、認知行動療法が推奨される患者にはスムーズにアプリを処方できる一方で、その理解がまだ浸透していない場合は説明が必要です。この点についても、我々がフォローしていく必要があると感じています。
例えば「医療機関で認知行動療法が推奨されており、それを保険で受けられる」という説明用の資材などを整備することが、我々として取り組むべき部分だと思います。
