2026年8月6日に発表された、東亜建設工業株式会社2027年3月期第1四半期決算説明の内容を書き起こしでお伝えします。
2027年3月期第1四半期決算説明
中尾剛氏(以下、中尾):代表取締役専務経営管理本部長の中尾剛です。説明に先立ち、一言申し上げます。この度の熊本県における地震により被災されたみなさまに、心よりお見舞い申し上げます。当社としては、1日も早い復旧・復興に向けて、建設会社として果たすべき役割を全力で果たしていきます。
また、4月に当社工事現場で発生した重大災害に際し、お亡くなりになられた4名の方々に哀悼の意を表すとともに、ご遺族のみなさまに謹んでお悔やみ申し上げます。さらに、負傷された方々に心よりお見舞い申し上げます。
当社は本件を極めて重く受け止め、先日、再発防止策を公表しました。今後、この実行を徹底し、安全をすべてに優先させる原点に立ち返り、全社を挙げて信頼回復に努めていきます。
決算のポイント
第1四半期の業績についてご説明します。2027年3月期第1四半期の概要です。お伝えしたいポイントは2点です。
まず、第1四半期の実績は計画どおり順調に進捗しています。売上高については、前年に大型建築案件の売上計上があったため減収となりましたが、年間では増収となる見通しに変更はありません。
2つ目のポイントとしては、高採算の国内建築や海外工事における設計変更が売上総利益率の向上に寄与しました。連結売上総利益率は12.5パーセントとなり、通期見通しの11.3パーセントを上回る水準となっています。
現段階では通期見通しの修正は行いませんが、見通しを上回る売上高や営業利益を達成するべく、全社一丸となって取り組んでいきます。なお、現時点では中東情勢の影響は大きくないと見込んでいます。
2027年3月期 第1四半期決算実績

先ほどお伝えしたように、第1四半期決算実績は全体として計画どおりとなっています。
単体受注高および連結売上高は前年同期を下回りましたが、売上総利益は前年を上回り、営業利益はほぼ前年並み、四半期純利益も36億円と増益となりました。
【単体】事業分野別 受注実績

単体事業分野別の受注実績についてご説明します。全体では前年同期比13.5パーセント減の889億円となりました。
国内土木事業は前年同期比20.2パーセント増の575億円です。官公庁分野では、複数の大型港湾工事において設計変更を獲得し、民間分野では鉄道関連工事や電力・エネルギー関連工事などを受注し、計画どおりに進捗しました。
国内建築事業は前年同期比61.4パーセント減の183億円となりました。防衛関連施設やPFI案件などを受注しましたが、前年同期に受注した大型物流倉庫の反動減が影響しています。大型物流施設の受注を当期中に計画しており、年間では前年を上回る見通しです。
海外事業は前年同期比156.3パーセント増の97億円となりました。東南アジアやアフリカの大型港湾工事などで設計変更を獲得しています。なお、97億円には円安によるプラス27億円の影響が含まれています。
通期の受注見通しについては修正を行いませんが、期首に計画していなかった案件も見えてきており、今後はさらなる上振れを目指します。
【連結】報告セグメント別 売上高・損益実績

事業分野別の売上高と損益実績についてご説明します。売上高は全体で前年同期比8.7パーセント減の761億円となりました。
国内土木事業は前年同期比4.1パーセント減の332億円です。手持ち工事が順調に進捗したものの、一部の大型港湾工事の売上高が前年同期を下回ったことで減収となりました。
国内建築事業は前年同期比37.2パーセント減の174億円です。大型物流施設関連の売上高が前年同期を下回ったことにより減収となりました。
海外事業は前年同期比23.1パーセント増の224億円となっています。東南アジアの大型港湾工事が順調に進捗したことで増収となりました。
なお、先ほどお伝えしたとおり、年間の連結売上高見通しに変更はありません。
売上総利益は全体で前年同期比5.3パーセント増の94億円となりました。国内土木事業は、前年同期比16.3パーセント減の44億円で、売上総利益率は13.3パーセントとなりました。前年に高採算案件が竣工した反動減と、船舶の原価差額が前年を上回ったことが原因で減益となりました。
国内建築事業は、前年同期比3.0パーセント増の28億円で、売上総利益率は16.2パーセントとなりました。売上高は100億円程度減少しましたが、採算の改善により増益となりました。選別受注を進めながら、今後も採算の改善を図っていきます。
また、不透明な中東情勢による資材価格の上昇については、発注者との協議を通じ、新規契約や設計変更に織り込んでいただけるよう交渉を進めていきます。
海外事業は前年同期比265.1パーセント増の14億円、売上総利益率は6.5パーセントとなりました。過年度に完成した工事において設計変更を獲得したことで、利益計上を行いました。
また、前年同期には工事損失引当金を計上していましたが、当期はその計上がなかったことが増益要因となりました。中東情勢による燃料費高騰は限定的で、大きな影響は受けていません。
営業利益は売上総利益が改善したものの、一般管理費の増加によりほぼ前年同期並みとなりました。
連結貸借対照表

連結貸借対照表についてご説明します。総資産は2,809億円に減少しました。流動資産は2,168億円に減少しており、大型工事の工事代金の回収が進んだことで完成工事未収入金が減少したことが主な要因です。
投資その他は、前年並みの301億円となりました。投資有価証券は時価評価額の上昇により15億円増加しています。流動負債は1,432億円に減少しました。支払手形と工事未払金が減少したことが要因です。
2027年3月期 業績見通し

【単体】事業分野別 受注見通し

【連結】報告セグメント別 売上高・損益見通し

通期見通しについては、2026年5月13日に発表した数値から変更はありません。
トピックス①技術研究開発センターの組織改編

最近のトピックスとして、技術研究開発センターの組織改編を実施しました。具体的には、「海洋資源開発室」を新設し、レアアース泥、マンガンノジュール、メタンハイドレートなど海洋資源開発に関する研究開発を推進するとともに、関係部門と連携しながら新たな技術領域への挑戦を進めていきます。
また、脱炭素社会の実現に向けた技術開発を加速するため、「GX技術グループ」を設置しました。CO2回収などの環境配慮型技術の高度化を進めるとともに、研究開発体制を強化し、研究成果の早期実装を目指していきます。
海洋資源開発については、事業化には時間がかかるものの、中長期的には有望な分野であり、当社の技術や知見を活かして社会に貢献していきたいと考えています。
トピックス②サステナビリティに関する外部評価

サステナビリティに関する外部評価についてご説明します。
当社は、「FTSE JPX Blossom Japan Sector Relative index」の構成銘柄に2年連続で選定されたほか、CDP(Carbon Disclosure Project)から「サプライヤーエンゲージメント・リーダー」(最高評価)に3年連続で選定されました。
また、2030年度温室効果ガス削減目標において、SBT(Science Based Targets)認定を更新するなど、脱炭素社会の実現に向けた取り組みでも着実に成果があらわれています。
以上で私からの説明を終わります。
質疑応答:国内建築事業の利益率改善要因について
質問者:国内建築事業の利益率について、今回の第1四半期の利益率は、前年と比べて大きく改善していますが、これは受注時の採算や手持ち工事の採算などが反映されているという理解でよろしいでしょうか? また、なにか特殊な要因がありましたら、それについても教えていただけると幸いです。
中尾:昨年度までは利益率が厳しい工事が完成期を迎えるなどの状況がありました。しかし現状では、受注段階から一定程度の利益確保が可能な案件が進行しており、それにより利益率が改善しています。
受注段階では資材価格の高騰などの課題はありますが、それらについて発注者と協議を行い、当社としてできるだけ高い利益水準を目指した受注を推進しています。
このような取り組みが徐々に成果を上げており、利益改善が進んでいます。将来について具体的に申し上げるのは難しい部分もありますが、基本的にこの状況は一定程度継続できるのではないかと考えています。
質疑応答:国内土木事業の利益率悪化要因について
質問者:国内土木事業に関して、今回利益率が悪化する要因として、船舶の原価差額が含まれているとのことですが、これは第2四半期以降も継続する見方でよいのでしょうか? それとも、上期と下期で分けた場合、上期に集中しているなど、四半期ごと、あるいは上期と下期でなにか変化があるのかについて確認できればと思います。
中尾:国内土木事業における船舶関連の原価差損については、この第1四半期では、前年度と比較して作業船の稼働が芳しくなかったことから、原価差損が今回織り込まれており、それが国内土木事業の利益率低下の一因となっています。
第2四半期以降については、工事の受注状況によりますが、可能な限り自社の作業船を活用できる工事を受注し、これによって原価差損をできるだけ圧縮していきたいと考えています。基本的には、作業船を活用する工事が今後見込まれるため、この方向性で取り組み、利益率の改善を目指していきます。
あとは、作業船の稼働だけでなく、既受注工事についても、発注者との協議を通じて設計変更を獲得することができれば、利益率の改善が見込まれると考えています。そのような努力もしていきたいと考えています。
質疑応答:国内土木事業の市場環境と防衛・国土強靱化関連予算の見通しについて

質問者:通期の見通しについて、5月にもご説明がありましたが、あらためて質問させてください。国内土木事業の事業環境について、国土強靱化や防衛費の増強など、市場環境は良好と資料には記載されています。
ただし、強靱化の予算については、当初予算では横ばいで、補正予算次第と理解しています。また、今回の熊本地震の件もあり、強靱化全体としてはある程度の予算増が見込まれても、復興により比重がそちらに傾くのではないかと考えます。
さらに、防衛費についても、グローバルな地政学的リスクという観点ではさまざまな要因がありますが、予算として極端に増えているわけではないと感じています。そのため、市場環境が非常に良好とされる根拠について、詳しくご説明いただけますでしょうか?
良好であるとすれば、施工力をどのように拡充していくのか、防衛や国土強靱化関連の見通しについて、この数ヶ月間で変化した外部環境も踏まえ、ご説明いただける点がありましたらよろしくお願いします。
中尾:国の予算について、当社にとっては国土交通省直轄工事や防衛関連工事が大きな部分を占めます。基本的に、強靱化予算はすでに組み込まれた予算として順調に発注されていく見込みです。
また、当社としては、こうした中でできるだけ採算性の高い工事に応札することを目指しています。当然ながら競争がありますので、すべて当社が受注できるわけではありませんが、採算性の高い工事を狙って受注を進めるという戦略を進めています。
実際に、防衛関連では、例えばキャンプ・シュワブなど、当社として採算性が高いと期待される工事も計画されています。このような工事に確実に取り組み、受注を進めることで、事業量と利益面でより高い成果を目指していけると考えています。また、当社の事業分野においては、今後も一定程度良好な環境が継続する見通しです。
質疑応答:海外の粗利率の考え方について
質問者:海外の粗利率の考え方として、第1四半期は好スタートだったと思うのですが、その背景と第2四半期以降の持続性について、詳細に教えていただけますでしょうか?
中尾:海外工事については、昨年度までアフリカで大型かつ高採算の工事があり、良い利益を達成できていました。その工事は昨年度に完成しているため、良い利益率を生み出していた要因の1つが一時的になくなっている状況ですが、今年度以降は、シンガポールでの大型港湾工事などの進捗により、十分な採算を確保できる見込みです。
また、前期には収益の厳しい工事についても適切な引当てを行ったため、今期も一定程度の採算を確保できるというのが、現在の当社における海外工事の採算収益の状況です。
昨年度と比べるとやや厳しい環境が続いている印象ではありますが、この第1四半期において過年度分の工事で設計変更を獲得し、それが利益につながるという状況も見られました。そのため、発注者としっかり協議を重ね、少しでも高い利益率を目指すことが現在の海外における収益環境への取り組みとなっています。
質疑応答:データセンターの受注ポテンシャルについて
質問者:データセンターの受注ポテンシャルについて教えてください。御社は倉庫関連の受注を、大型案件も含めて直近で獲得していると思いますが、データセンターについて現在需要が非常に旺盛な中で、今後受注が拡大する可能性についてお聞かせください。
中尾:当社は物流倉庫に関して、実績が着実に上がりつつあり、顧客からの信頼や一定のブランド力を築けてきたと感じています。データセンターについては、形状として似ている部分もあるため、当社としてもアプローチしていきたい領域の1つです。
ただし、精密機械を収容する建物という点で物流倉庫とは技術的に異なる分野であり、顧客層も異なるため、当社としては現在、まだ勉強段階にあります。このため現時点では、データセンター事業に本格的に取り組んで事業を拡大する段階には至っていないというのが、率直な現状です。
現状においては、当社の得意分野である物流倉庫に注力する戦略です。ドライ倉庫はもちろん、冷凍冷蔵倉庫は依然として需要が高い分野であり、これらに一層注力して取り組んでいく方針です。
