イノテック(9880)、半導体製造装置分野で小型テスターを展開し、自社テスター売上は第1四半期で前年同期比5.9倍。NAND投資回復と海外・DRAM・CIS展開が成長軸です。国内の注目銘柄を紹介する新連載「ログミーFinanceの#銘柄発掘」。銘柄の選び方を学べます。
国内の注目銘柄を紹介する連載「ログミーFinanceの#銘柄発掘」。ビジネスモデルやファンダメンタルズの分析を通じて、中長期で保有できる優良銘柄の見極め方が身につく実践的シリーズです。今回は、イノテックを取り上げます。
半導体向け設計・検査製品と産業用コンピューターを扱う
イノテック(9880)は、半導体向け設計・検査製品と産業用コンピューターを扱う技術商社兼メーカーです。2026年3月期の売上高467.4億円の構成比は、NAND型フラッシュメモリー(記憶用半導体)向けテスターなどのテストソリューションが39.5パーセント、EDA(半導体設計支援ソフト)や設計受託の半導体設計関連が29.4パーセント、産業用コンピューターなどのシステム・サービスが31.1パーセントでした。
前期の営業利益率はシステム・サービスが12.0パーセント、テストソリューションが6.4パーセントでした。ところが、2027年3月期第1四半期は、テストソリューションの利益が前年同期の2.6億円の赤字から10.2億円の黒字に転換し、営業利益率も16.5パーセントへ上昇しました。同事業が連結営業利益の前年同期比改善額の約94パーセントを占め、全社の増益をけん引しました。
1システム最大12台の小型テスター、半導体メモリー投資に回復の兆し
小型テスターは、1台のプローバーシステム(ウエハーを検査装置につなぐ機器)に最大12台を搭載できます。限られた面積で検査能力を増やし、消費電力も抑えられるため、設備増強のしやすさが採用増につながっていると見られます。国内半導体メモリー市場で投資回復の兆しが見え始めていることに加え、海外顧客への販売増も重なり、第1四半期の自社テスター売上高は前年同期の5.5億円から32.5億円へ約5.9倍に拡大しました。
自社テスター売上計画69億円、海外・DRAM・CISへ用途拡大
成長経路は国内と海外で異なります。国内では、約2年間停滞していたNANDメーカーの設備投資に回復の兆しが見られ、今後投資が本格化すれば、製造ライン向けテスターの販売台数が増えます。今期の自社テスター売上計画は前期比約62パーセント増の69億円です。販売増で固定費の負担が薄まれば、利益率の改善が期待できそうです。
一方、海外では、海外向け製品販売を継続的な成長につなげられるかが重要です。海外売上が定着すれば、地域面で国内投資への依存を抑えられます。さらに、DRAM(データを一時保存するメモリー)やCIS(画像センサー)でも量産採用が進めば、用途面でもNAND市況への依存を抑えられます。
第1四半期で通期計画の約47%、特別利益除外後PERは概算約17倍
ただし、第1四半期で自社テスターは通期計画の約47パーセントを販売しました。国内の投資回復が続くのか、海外向け出荷が一時的でないかを見分ける必要があります。また、今期予想に基づくPERは約8.9倍ですが、固定資産売却益を除く概算の1株利益では約17倍となり、事業利益の拡大が翌期以降も続かなければ、見かけほど割安とはいえない点には注意が必要です。
配当130円のうち特別配当50円、営業利益予想を40億円へ上方修正
株主還元は、通常の利益に対する連結配当性向を30パーセント以上とし、業績が急変しなければ50パーセント程度を目安としています。ただし、今期予想配当130円のうち50円は、本社ビル売却による特別利益に伴う特別配当です。
8月10日に発表した2027年3月期第1四半期決算は、売上高139.96億円、営業利益16.08億円となり、通期営業利益予想を37億円から40億円へ上方修正しました。今後は、国内半導体メモリー市場の投資回復、海外向け製品販売の拡大、DRAM・CISでの量産採用への進展を確認したいところです。営業利益40億円前後を翌期以降も維持できるかが、テスター事業の回復を一時的な需要増ではなく、収益構造の変化と評価できるかを左右します。
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執筆者プロフィール

執筆:西田哲郎
ライター・コンテンツディレクター。投資歴15年。大きな損失を出したことをきっかけにイナゴを卒業、ビジネスモデルとファンダメンタルズ重視の手法に切り替える。業界紙やスタートアップを経てフリーで投資情報メディアやM&A情報サイトの立ち上げに関わり、現在は主に週刊誌で投資や経済関連の記事を執筆。
※記事内容、企業情報は2026年8月19日時点の情報です。
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