EV化プラスAI化で加速する自動運転
さて、EVはその性質上、AI化と結合して無人の自動運転を実現しやすい。中国でその先頭を走るのはポニー・エーアイとウィーライドで、すでに北京、上海、広州、深センではそれらの「無人タクシー」に普通に乗ることができる。全国の多くの都市が、自動運転用の信号情報を開放して、ポニーなどの進出を待っている状態で、ポニーは25年末現在、全国で1000台の完全無人タクシーを走らせている。
国内だけではない。ポニーは韓国、シンガポール、UAE、カタール、ルクセンブルクで無人タクシー事業を始めているし、ウィーライドもシンガポール、UAE、サウジアラビア、スイス、フランス、ベルギー、アメリカの8カ国で自動運転ライセンスを取得し、11カ国30都市で技術開発や試験を行っているという。
無人化のほかにも、面白い注目技術はいろいろある。BYDが23年1月に発表したハイブリッドSUV「U8」は、何と、30分間限定ながら「水上走行モード」を選択できる、水陸両用車である。近頃の日本では集中豪雨による都市洪水で、水に浸かって動けなくなる車が続出しているが、まさにそういう時のために水に浮くことのできる緊急避難機能を備えているのである。
空飛ぶ自家用車も現れていて、EVメーカー「小鵬(シャオペン)」が開発した電動垂直離着陸機「陸地航母」がそれ。25年春の段階で4000件の予約注文が殺到したという人気で、26年中に量産開始、納品が始まるという。一般的なドローンでは、中国のDJIが世界で圧倒的なシェアを持つトップ・メーカーとして知られているが、同社を筆頭に中国のこの分野の技術は高く、他にも空飛ぶ車のモデルは次々と登場している。
富坂書はこのあとも、中国のAIをはじめとした最先端技術力が人型ロボットから産業用ロボット、超深海探査や月の裏側の探査など、人類未到の領域にどんどん挑戦している様子を描いているので、是非同書をお読み頂きたい。ここまで読んだだけでも私がつくづく思うのは、いま中国に住んで毎日このようなニュースに接し、じゃあ無人タクシーに乗ってみようかとか、人型ロボットに会いに行こうかとか、言いながら暮らすのは楽しいだろうな、ということである。日本では近頃ますます碌なニュースはなくて、「年寄りが騙された」とか「子供が殺された」とか暗い話ばかり。国が老いるとはこういうことなのかと考え込むばかりである。
※本記事は有料メルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』2026年8月24日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
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