2026年8月23日に行われた、株式会社アイリックコーポレーション個人投資家向けIRセミナーの内容を書き起こしでお伝えします。
会社概要
勝本竜二氏(以下、勝本):みなさま、こんにちは。アイリックコーポレーション代表取締役社長CEOの勝本です。本日は、先般発表した決算を含め、当社についてご説明します。どうぞよろしくお願いします。
本日お聞きのみなさまの中には、アイリックコーポレーションがどのような会社か、まだご存知でない方も多くいらっしゃると思います。
当社は、全国で生命保険等を販売する来店型保険ショップ「保険クリニック」を展開している会社です。また、フランチャイズ展開や、それに付随する各種事業も行っています。
また、大きな特徴として、システム開発などを通じて保険販売を支援するソリューション事業も展開しています。
グループ会社であるインフォディオは、主にAI-OCR技術を活用したシステムを開発し、官公庁などへ技術を提供しています。また、保険販売向けのシステムも手掛けています。
もう1つのグループ会社は、新潟に本社を置くライフアシストで、主に訪問型事業を展開しています。個人のお客さまを訪問し、保険のコンサルティングやIFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)として、幅広い金融商品の情報を提供しています。
事業セグメント別構成比

勝本:売上構成は全体の約50パーセントが保険クリニック事業であり、この事業の売上は直営店舗とフランチャイズ店舗によるものです。
ソリューション事業の売上高は約13億8,000万円で、全体の12パーセント程度を占めています。銀行や保険代理店向けにシステムを提供する事業です。
また、システム事業では、先ほどお話ししたようにAI-OCR技術や保険向けのシステム開発を行っており、売上高は連結の約17パーセントを占めています。
もう1つのグループ会社を中心とするFA事業は、訪問型の保険コンサルティング事業で、売上高の約20パーセントを占めています。
全体としては、保険クリニック事業が約50パーセント、それ以外の事業が約50パーセントの売上を占めています。
改正保険業法

勝本:当期を振り返る前に、今年の1番大きなテーマである改正保険業法についてご説明します。一般の方々にはあまり聞き慣れない言葉かもしれませんが、保険を販売する業界にとって非常に重要な改正となっています。
2026年6月1日から改正保険業法が施行されました。これまではお客さまの意向に沿っていれば、代理店側の経営方針に基づいてある程度自由に商品を選択して販売することができましたが、改正後はそれができなくなるという内容となっています。
これは顧客本位の販売を徹底するため、金融庁が定めた内容であり、特定大規模乗合保険募集人における体制整備義務の強化が求められます。
具体的には、法令等遵守責任者を各エリアに配置し、募集人がお客さまの意向に合った商品を販売しているかどうかを検査する役割を担わせる内容となっており、これを代理店に義務付けた点が大きなポイントです。
さらに、損害保険代理店にも同様の体制整備が求められるようになりました。
また、保険会社にも代理店を管理・監督するための体制整備義務のさらなる強化が求められています。
保険業界では過去数年さまざまな問題が発生し、その結果、法改正が必要な状況に至ったことが背景にあります。加えて、自社商品を多く販売してもらう目的で保険会社が保険代理店に対し便宜供与を行うことなども禁止されました。
一番大きなポイントは、資料の6番目にある「乗合代理店における適切な比較推奨販売の確保」です。
これまでは、お客さまの意向に対し、このような商品を販売したという履歴さえあれば良かったのですが、今回の法改正で大きく変わったのは、募集プロセスを管理する義務が生じた点です。
つまりなぜその商品の販売に至ったのかを管理し、また、提案商品やお客さまの意向が変わった時に、なぜそれが変わったのかという証跡もすべて残す必要が出てきました。
ここまで聞くと、少し複雑に感じられるかもしれません。要するに、これまで代理店側が経営方針に則ってある程度自由に販売できていた商品も、お客さまの意向に基づいて、適切な比較推奨がなければ販売できなくなり、それらの募集プロセスを管理・監督する体制を構築することが必要となりました。
契約結果管理から募集プロセス管理へ

勝本:繰り返しになりますが、これからの募集プロセスでは、まずお客さまの意向を把握し、比較推奨を行い、その推奨理由を記録し、最終的に事後検証をします。そのうえで代理店には法令等遵守責任者を置き、管理・監督することが求められるようになりました。
このような環境変化の中、これまでどおりパンフレットや設計書だけで本当に比較等の管理ができるのかというと、これには非常に困難が伴いますので、システム化・デジタル化が必要であると考えています。
当社は「AS-BOX」を開発し、いち早く比較推奨のデジタル化を進めてきました。ここにおいて、当社の圧倒的な強みが浮かび上がってきたと考えています。
現在、生命保険の募集人は約120万人存在します。その全員が乗合保険代理店に所属しているわけではありませんが、乗合代理店に所属している方々にとって、当社のシステムは非常に適しているのではないかと思います。
事業環境の変化はビジネスチャンス

勝本:このような事業環境の変化は、当社にとって大きなビジネスチャンスだと考えています。当社は2004年から「AS-BOX」を活用し、比較推奨を継続してきました。20年以上の運用により、さまざまなデータベースを蓄積し、大幅な効率化を実現するソリューションを提供できるようになりました。
少し語弊があるかもしれませんが、当社が先行して取り組んできたことを法律が後押ししてくれていると感じています。そのような意味で、これは大きなビジネスチャンスになる可能性があると、冒頭でお伝えしたかったのです。
少し複雑な話から始めてしまい、申し訳ありませんでした。
2026年6月期 業績ハイライト

勝本:それでは、2026年6月期の決算概要についてご説明します。
売上高は109億6,400万円で、前期比16.3パーセント増加しました。営業利益は7億300万円で、前期比5.2パーセント減少しました。
保険クリニック事業は順調に拡大し、売上高は58億1,700万円で前期比21.4パーセント増加し、営業利益は9億1,800万円で前期比20.9パーセント増加しました。
ソリューション事業では、想定していた大型案件が未受注となり、大きなマイナス要因となりました。
配当方針については、累進配当を導入し、2026年6月期の連結配当性向は約66.6パーセントになると見込んでいます。
PL主要項目

勝本:P/Lの主要項目では、売上高が過去最高を更新しました。また、保険クリニック事業では3社のM&Aを実施し、それも伴って24店舗が増加しました。さらに、Web集客も非常に好調でした。
ソリューション事業では、想定していた大型案件が未受注となったことが大きく影響し、営業利益が前期比2億2,400万円減少しました。
2026年6月期取り組みと振り返り

勝本:取り組みと振り返りにおいて、好調な保険クリニック事業については、来期も出店拡大を進めていきます。
また、FA事業、いわゆる訪問型の保険販売についても、募集人が大きく増加し成長していることから、順調に推移すると想定しています。
ソリューション事業では、ストック売上が順調に伸びています。一方で、フロー売上に関しては、保険会社等との大型の案件が残念ながらまとまりませんでした。
システム事業については、おおむね予想どおりに推移しています。今後は、AI-OCRに代わるAIエージェントという新しい仕組み作りが急ピッチで進められています。
事業セグメント別業績サマリー

勝本:セグメント別のサマリーです。全体では、保険クリニック事業とFA事業が牽引しました。保険クリニック事業では店舗数が24店舗増加し、Web集客も非常に好調だったため、成約件数も増加しています。
FA事業も非常に好調で、募集人の数が大きく増加し、営業利益も大幅に伸びている状況です。
ソリューション事業は、当期は残念な結果となりましたが、来期は改正保険業法への対応として、新たなシステム開発を含めたさまざまな展開を期待しています。
営業利益増減分析

勝本:続いてウォーターフォールです。当期において目立ったのは、保険クリニック事業における直営店舗の成長です。M&Aなどもありましたが、かかったコストに対して売上が大幅なプラスとなりました。一方、ソリューション事業は残念な結果に終わり、全体では前期比で利益が若干減少して着地しました。
配当方針

勝本:配当方針についてです。当期は1株当たり32円とし、中間配当と期末配当の2回に分けて実施しました。また、来期も現時点では1株当たり32円の配当を予想しています。
保険クリニック事業 業績概要

勝本:続いて、セグメント別の状況についてご説明します。保険クリニック事業は非常に順調に伸びています。来店数は前期比で約30パーセント増加しており、効率が向上していると考えています。成約率や成約件数も高水準を維持しています。
FC事業に参加している加盟登録企業数は現在105社で、前期末から2社減少しています。
保険クリニック事業 (直営)重要KPI推移

勝本:直営店舗のKPIです。来店数はご覧のとおり非常に大きく伸びています。ここ最近は毎年15パーセント程度成長してきましたが、2026年6月期はさらに成長しました。
成約率は前期の62.2パーセントから57.1パーセントに落ちているように見えますが、6月にご来店いただいたお客さまが7月や8月に成約するケースが多く、期間の経過とともに上昇すると見込んでいます。
保険クリニック事業 店舗数

勝本:「保険クリニック」の店舗数は当期末時点で307店舗です。首都圏を中心に、最近では名古屋、大阪、福岡への出店もかなり強化しています。特に、直営店舗の増加が著しいです。
保険クリニック事業 マーケティング施策

勝本:マーケティング施策として、藤岡ファミリーに2年間アンバサダーを務めていただいています。また、ラジオ番組「保険クリニック presents 藤岡弘、家族で語ろう!」も展開しています。
FA事業 業績概況

勝本:FA事業についてお話しします。売上高は順調に伸びています。募集人の増加が売上高にプラスの影響を与えていることがわかります。
ソリューション事業 業績概況

勝本:続いて、ソリューション事業についてです。売上高のグラフはストック売上とフロー売上に分けています。この事業はSaaS事業に近く、ストック売上が収益をもたらしています。一方で、保険会社などと連携しながら大型のシステム開発を受注しています。
当期は、大型案件を予定どおりに発注いただけず、その分がマイナスとなりましたが、MRRは比較的順調に推移しています。ストック売上比率は77.5パーセントで、非常に利益率の高い事業体といえます。
ソリューション事業 KPI推移

勝本:ソリューション事業のKPIです。現在、金融機関では地方銀行を中心に39行に当社のシステムを提供しています。また、保険ショップ系や訪問販売系の代理店、東証プライム上場企業内の企業代理店にも提供しており、スライドに記載しているように三井物産や三菱電機などにもシステムを提供しています。
MRRは、代理店・銀行向けが4,470万円、保険会社向けが3,450万円で、現在は毎月約8,000万円弱の収入となっています。
システム事業 業績概況

勝本:システム事業についてです。さまざまな製品化を行っていますが、なかなか伸び悩んでいる状況です。今後は、AIエージェントを活用したプロダクトを開発しつつ、ストック売上を着実に伸ばしていきたいと考えています。
2027年6月期 業績予想および3か年計画

勝本:2027年6月期の通期予想と、3か年計画の2028年6月期について少し触れます。3か年計画の1年目は残念ながら未達となりました。2年目は、保険業法の改正に対応する新たなシステム開発等への先行投資を進めたいと考えています。
2027年6月期は、2028年6月期に向けた準備段階として、人的投資やシステム開発等への投資を優先していきます。また、保険業法改正を追い風に、「ASシリーズ」の導入拡大を大きく期待し、MRRの大幅な成長を目指しています。
2028年6月期の計画は据え置いており、この数字を達成するために、2027年6月期でも積極的な投資を進めていく考えです。
2027年6月期 通期業績予想

勝本:2027年6月期の通期業績予想です。上期はかなり先行投資を行う計画であるため、営業利益は約1億8,000万円と2026年6月期に比べて減益になる見込みです。ただし、通期では前期比15.6パーセントの増益を予想しています。
保険クリニック事業 店舗数の変遷

勝本:保険クリニック事業の店舗計画についてです。当期、第31期で300店舗を突破しました。2031年に向けて500店舗を目標に掲げています。M&A等も活用しながら、直営店舗の出店を進め、拡大につなげていきたいと考えています。
保険クリニック事業 新規出店に向けた『保険クリニック』の強み

勝本:保険ショップを出店する際の事業モデルと収益構造についてご説明します。
当社では投資回収時期を計算しており、P/L上では1店舗を出店すると、現在はおおむね3ヶ月で黒字化が可能となっています。
一見すると保険ショップはコスト先行型のモデルのように思われるかもしれませんが、当社の場合、比較的投資回収が早いのが特徴です。そのため、出店を積極的に推進することで、収益につながりやすいと考えています。キャッシュフローについては保証金や設備費用がかかるため、約2年で投資を回収できる見込みです。
出店には立地等が重要ですが、それに加えて人材の確保も欠かせません。現在、従業員募集は非常に順調で、毎月10名前後の方にご入社いただいています。中途採用が中心ですが、最近では未経験者も積極的に採用しており、当社が持つシステムの強みと教育部の体制が整っていることから、未経験者でも早期に戦力化することが可能です。
このように、店舗の出店と人材の確保は順調に進んでいると考えています。
保険クリニック事業 『保険クリニック』の特徴

勝本:「保険クリニック」の特徴について少しお話しします。来店型保険ショップは全国に約2,100店舗あると言われています。どの保険ショップも同じではないかと思われるかもしれません。そこで、当社の強みについてお話しします。
現在、当社は業界第3位ですが、将来的には早急に500店舗まで拡大したいと考えています。来店型保険ショップは上位7ブランドへの集約が進んでおり、この7ブランドで全体の約85パーセントを占めています。一方、残りの約15パーセントは、5店舗から10店舗程度を運営するショップが多く、二極化が進んでいる状況です。
その中で、当社だけが持つ「保険IQシステム」という独自に開発したシステムがあります。他社の保険ショップでは、各保険会社から提供される、フォーマットの異なる設計書で比較しますが、当社では「保険IQシステム」からすべての情報を取り出し、同じフォーマットで横並びに比較することが可能です。
さらに、保険料まで同時に比較できるのは業界唯一のシステムであり、この技術が「保険クリニック」の圧倒的な強みとなっています。これが他社との差別化を実現する要因でもあります。
ソリューション事業 プラットフォーム戦略(AS platform)

勝本:当社は設立以来、デジタル化を非常に意識してきました。保険業界は人と人のつながりが強く、比較的アナログ色が強い業界ですが、当社では保険募集人が深く関わる比較推奨や営業の取扱規定といった細かな業務をすべてデジタル化することを目指しています。
現在は、「AS SYSTEM」「AS-BOX」だけでなく、「AS FiNDER」や「生保エコシステム」も提供しています。「生保エコシステム」では、診療明細をスマートフォンで撮影するだけで給付金の請求が行える仕組みを実現しました。このような取り組みにより、業界全体の利便性をさらに高めていくことを目指しています。
ソリューション事業 募集プロセス管理における当社システムのポジショニング

勝本:募集プロセスとして、まず、みなさまが加入している保険をAI-OCRを用いて証券を可視化する証券分析を行います。そのうえで、意向の把握、および比較推奨を行います。さらに、記録を保存してお客さまの顧客管理にデータを連携させます。当社のシステムではこの募集プロセスに加えて、複数の保険会社とのAPI連携により、申し込みも同時に行うことが可能で、非常に便利なシステムとなっています。
ソリューション事業 ターゲット拡大によるMRR成長戦略

勝本:今回の保険業法改正に伴い、このシステムをどのようなターゲットに提供していくかについてですが、冒頭でお話ししたとおり、120万人のマーケットのうち、乗合保険代理店のマーケットは約20万人と見込んでいます。その中にコアターゲットとなる代理店が存在し、当社はこれらの代理店にシステムを提供しています。
コアターゲットとしている代理店に所属している募集人は約2万2,000人います。現在、当社のID数は7,782IDですので、まずはこのコアターゲットの代理店に所属している募集人に対してシステムを提供することから注力していきたいと考えています。その後は、乗合保険代理店全体へと大きく拡大していければと思います。
システム事業

勝本:システム事業においては、現在、さまざまな技術の製品化を進めています。具体的には、電子帳簿保存法に対応した「DenHo」、企業のペーパーレス化を推進する「brox」、さらに「書審AI」という、AIエージェントを活用し、規程に沿って稟議等を自動チェックできる仕組みなどを製品化しています。これらを通じて、新たな発展につなげていきたいと考えています。
成長戦略まとめ〜成長イメージ〜

勝本:最後になりますが、当社は4つの事業すべてにおいて成長の余地があると考えています。特に、保険クリニック事業では非常に大きく拡大できるチャンスが来ています。人材と店舗の確保も進んでいます。また、訪問型の事業においても現在、飛躍的に成長している状況です。
ソリューション事業については、今回の比較推奨と改正保険業法において、今後ID数をどこまで伸ばしていけるかが大きな勝負になると考えています。また、システム事業では、新たなAIエージェントを含めた、新しい展開が今後も期待できると思います。
これら4つの事業をしっかり伸ばし、バーティカルSaaSとして業界内で確固たる地位を築いていきたいと考えています。
SureTech Company

勝本:「SureTech Company」は当社のタグラインです。どうぞよろしくお願いします。
質疑応答:改正保険業法の対応状況について
1UP投資部屋Ken氏(以下、Ken):いろいろおうかがいしたいと思っていますが、まずは改正保険業法についてです。細かくご説明いただいたと思いますが、乗合保険代理店に求められることが大きく変わってきていると思います。それにより、足元での問い合わせが増えているのかなど、お聞かせいただけますでしょうか?
勝本:改正保険業法については、現在、比較推奨に関するパブリックコメントの回答が金融庁からまだ出ていない状況です。そのため、みなさまは準備段階にある状況かと思います。ただし、この法律が施行されることは1年以上前からわかっていたため、昨年から問い合わせ数は大きく増えています。
Ken:そのパブリックコメントというのは、いつ出るかはまだわからず、現在は待ちの状態ということですか?
勝本:本来であればここまで遅れることはあまりなかったと思います。8月後半から9月にかけて発表されるのではないかと考えています。それが発表されると、今後すべきことがさらに明確になると思います。
Ken:御社のシステムはどのようなシステムなのかという問い合わせは、乗合保険代理店からかなり来ている状況なのでしょうか?
勝本:はい。大型代理店を中心に、70社から80社ほど問い合わせが来ています。
質疑応答:「ASシリーズ」の成長とID数拡大計画について

Ken:続いて、この「ASシリーズ」の成長について、みなさまご注目されていると思います。現在のID数は約7,800IDですが、これをどの程度まで拡大させていくお考えがあるのか、教えていただけますか?
勝本:全体としては、まずコアターゲット代理店に属する約2万2,000人の募集人をターゲット化しています。さらに将来的に乗合保険代理店を続ける以上は比較推奨を行う必要があるため、20万人のターゲットのうち、およそ3割まで伸ばすことがベストかと考えています。
短期的には、まず現時点での7,800IDを2027年6月期中に1万IDから1万2,000ID、また、3か年計画の最終年度には1万5,000ID程度まで引き上げることができれば、かなりの浸透が見込めると考えています。
Ken:ちなみに、このコアターゲットとされている代理店の規模ですが、1社あたりおよそどれくらいの人数が所属しているのでしょうか?
勝本:平均で500人程度が所属されています。
Ken:つまり、1社を獲得すると、500人全員が利用するイメージということでしょうか?
勝本:そうですね。ただし、そこはパブリックコメントの結果によるところもあります。それによっては半分の250人だけが利用するといった可能性もありますし、その点については代理店側の方針に左右される部分もあるかと思います。
質疑応答:直営店出店の加速理由とWeb集客の影響について

Ken:現在は直営店に力を入れ、精力的に拡大されている様子がうかがえます。そこで、FCではなく直営店の出店を加速させている理由について教えてください。
勝本:2026年6月期の直営店の営業利益は7億4,900万円となっています。現在、直営店はおよそ100店舗ありますので、1店舗当たりの平均利益は約700万円となります。
一方で、FC事業の利益は現在1億7,000万円程度です。FC店舗は200店舗ですので、1店舗当たりの平均利益はおよそ80万円から85万円程度の収益構造となっています。そのため、直営店を出店するほうが利益率が高く、利益額も多い状況です。さらに、人員の確保なども順調に進んでいることを考慮すると、現時点では直営店の出店を進める方がより良いと判断しています。
Ken:「その直営店の既存店はどれぐらい伸びるのですか?」という趣旨のものや、「今の数字を見ると、けっこう新規出店をしない限り売上がなかなか伸びないのではないでしょうか?」というご質問をリアルタイムでいただいていますが、こちらについてはいかがでしょうか?
勝本:現在、Webでの集客が非常に伸びています。新規出店数の増加によるものだけではなく、既存店舗に対してもWeb集客の効果が約10パーセント伸びており、それによって店舗当たりの売上が増加している状況です。
Ken:そのWeb集客が伸びている背景には、なにか施策を変更されたことがあるのでしょうか?
勝本:3年ほど前から施策を大きく変更しました。以前はアンバサダーを起用してテレビCMを展開していましたが、テレビCMでは「保険クリニック」の認知度は大きく向上したものの、集客効果としてはあまり変化がありませんでした。
Ken:名前は覚えてもらえたということですね。
勝本:そのとおりです。その後、SNSを中心にシフトし、ターゲット層を絞って集中的にCMを流す施策に切り替えました。
具体的には、「保険クリニック」が近くにある特定の地域に限定して、また若い主婦層のみなさまがよく視聴するTVerなどに集中して広告を展開することで、効果的な集客を実現しました。この効率化により、大きな成果が得られました。
Ken:ターゲットセグメントを絞って広告展開を行うようになったのですね。
勝本:はい。また、藤岡ファミリーも一定のインパクトを与えました。店舗に等身大パネルを設置しており、立ち止まる人も多くいらっしゃいます。
荒井沙織氏(以下、荒井):目を引きますよね。
勝本:ええ。そのような効果も少し出てきているのではないかと思います。
質疑応答:新規出店店舗の収益化期間について

Ken:先ほど新規出店からの収益化について、表でも示していただきましたが、単純に店舗数と営業利益で見ると1店舗当たり700万円程度というお話でした。その700万円程度に到達する期間は、だいたいどれくらいになるのでしょうか? 2年ほどですか?
勝本:そんなにかからないです。翌年ぐらいにはもう見えてくると思います。
質疑応答:2027年6月期の業績予想における大型案件の取り扱いについて

Ken:2027年6月期の業績予想についておうかがいします。今期はソリューション事業の大型案件で想定外の事態があったとのことでしたが、2027年6月期の業績予想や、中期経営計画の最終年度については、大型案件を前提としていない認識でよいでしょうか?
勝本:そうですね。2026年6月期の反省を踏まえ、今回は大型案件を予算から除外しています。
Ken:同様のご質問をいただいていましたので、もし差し支えなければ、「この受注に至らなかった理由としては競合要因なのか、顧客側の判断なのか?」「今後、大型の案件の受注確度をどう高めていく方針ですか?」についてもお答えいただけますか?
勝本:保険会社と大型案件の交渉を進める際、通常3年ほどの時間がかかります。この3年間の交渉の中で、法律の改正やクライアント側のニーズの変化といった事情が生じることがあります。今回はそれにより失注してしまったケースでした。
ですので、競合他社が入ってきて案件を失注したというわけではなく、クライアントである保険会社側のスタンスが変わった結果になります。保険会社内で方針が変わることは、多少なりとも起こり得ることだと考えています。
ここは致し方ないとして、新たな方針に対して新たな提案を行うことは当然進めていきます。ただし、それが必ずしも受注につながるかは不透明であるため、現時点では予算には含めないという判断で今回の予算編成を行いました。
質疑応答:累進配当導入下での成長投資と還元のバランスについて

Ken:続いて、配当政策について質問します。累進配当を導入されている中で、直営店の出店やM&Aなど、成長投資の機会が多いと思いますが、それと還元のバランスについてどのようにお考えでしょうか?
勝本:現在、自己資本比率も比較的高いと認識していますし、M&Aの案件も多くいただいています。また、出店計画も立てており、その資金繰りについても検討しています。
このような店舗拡大を着実に進めることで、利益を確実に積み上げていけると確信しています。それに伴い、配当金をしっかり還元していくことが、私たちのスタンスです。
Ken:ちなみに、M&Aの優先度に関してですが、競合となるような店舗型を仲間にしていくというイメージでしょうか?
勝本:そうですね。そのような案件が非常に多いと思います。
質疑応答:保険業界のAI化・デジタル化とその課題について
荒井:それでは事前質問です。「保険代理店業界では、オンライン化やAIによる顧客対応の進展が予想されますが、AI・デジタル化によって、御社の店舗代理店モデルはどのように変わると考えていますか? また、AIを活用することで、1店舗、1人当たりの生産性をどの程度高められると考えていますか?」というご質問です。
勝本:非常に注目されている部分でもあると思います。
保険の場合、少し複雑なのですが「保険を説明するのはAIでいいのか?」という議論が初めに出てきます。AIが確実に正しいことを言ってくれるという保証がないため、もし仮に誤った説明をお客さまにしてしまった場合、保険業法違反に該当してしまうことになり、非常に注意が必要な部分です。
そのため、AIである程度絞り込んだうえで、代理店の募集人が正確に説明を行うことが必要と考えます。ファーストアクションについてはAIでカバーできる部分もあるかもしれませんが、最終確認については必ず人が行わなければならないという認識です。
また、アフターフォローについては、現在進んできている部分だと考えています。お客さまが保険に加入した後、AIが保障の不足や、追加で必要と思われる保障のピックアップを自動的に行い、お客さまにアプローチすることが可能になるかもしれません。
したがって、現在人が携わっている業務の一部をAI化することで、効率化は一定程度図れると思います。ただし、現行の保険業法では募集プロセスすべてをAIで行うのは非常に厳しい状況だと考えています。
荒井:本日の冒頭でご説明いただいた法改正の部分について、むしろ人が関与し、よりチェックを強化していく必要があるということだったと思います。この点は、AI化によって省人化を進めるという考え方とは結びつきにくい、という理解でよろしいでしょうか?
勝本:そのとおりです。お客さま一人ひとりの意向や家庭環境などが異なる中で、AIがすべてを判断するのは難しい部分があるため、人が関与してチェックをしていくことが必要だと考えます。
一方で、商品比較のような分野ではデジタル化を進める必要があります。その商品や意向が変更された理由や証跡をすべて残さなければならないため、それを手書きで記録するという選択肢は現実的ではありません。したがって、デジタル化は必須であり、その中でAIがどこまで活用できるかが今後のテーマになると考えています。
荒井:今後はそのバランスを見極めていくということですね。
勝本:はい。ただ、保険代理店は昔から非常にアナログな業界なため、これまでデジタル化があまり進んでこなかった分野といえます。
荒井:精神的なハードルがあるということですか?
勝本:そうですね。また、費用がかかるというイメージがあるのかもしれません。一方、保険会社は自社商品販売のためにどんどんデジタル化を進めています。
それに比べて、乗合保険代理店は複数の保険会社の商品を比較検討し、お客さまに提案する立場にあるため、保険会社とは立場が異なります。この点が、AI化やデジタル化がなかなか進まない理由の1つではないかと考えています。
質疑応答:配当方針について

Ken:「2026年6月期より2027年6月期は増収予想かつ累進配当の方針を出したにもかかわらず、あえて配当予想を据え置いた理由は何でしょうか?」というご質問です。
勝本:当社では、配当性向50パーセント以上に加え、累進配当を掲げています。2027年6月期の予想数値では、利益ベースで8億1,000万円となり、配当性向は約58.9パーセントの予想です。
そのため、当初の目標としていた配当性向50パーセント以上を達成していることから、現状の配当金を32円で据え置いています。また、2026年6月期の予想がやや下振れした影響で、同期間の配当性向が66パーセントを超えていることも現状の配当金が32円となる要因となっています。
Ken:つまり、将来的に利益がさらに増加していけば、それに合わせて配当も増やしていくということですね?
勝本:そのとおりです。
質疑応答:ソリューション事業の状況と今後の展望について

Ken:「ソリューション事業について、決算短信には『ストック売上が堅調に推移』とありましたが、前期比で減少しています。新たなプロダクト『AS FiNDER』の売上はどの程度寄与しているのでしょうか?」というご質問です。
勝本:まず、「AS FiNDER」については、まだ今回の中にはそれほど寄与していません。スタートしたばかりということもあり、ID数は非常に順調に推移していると思います。一方で、MRRが少し下がったのは、保険会社の解約が影響しているためです。ただし、代理店向けや銀行向けは伸びてきています。
Ken:代理店向け、銀行向けと保険会社向けのトレンドについては、今後どちらも伸びていくというシナリオなのか、それとも保険会社向けは少し弱めに見ているのかなど、なにかお考えはありますか?
勝本:今後のテーマは、やはり保険会社向けではなく代理店向けが中心になります。
質疑応答:システム事業におけるストック売上の減少について

Ken:「システム事業について、第4四半期のストック売上が第3四半期と比べて10パーセント以上減少していますが、何か特殊要因があるのでしょうか?」というご質問です。
勝本:AIエージェントが広がりつつある中で、一部AI-OCRの解約が発生し、それがストック売上減少の要因となっています。
質疑応答:出店計画および資産形成型商品の戦略について
Ken:「今後、新規開拓を見込めるターゲット層、年齢層、属性、商品はどのように想定しているのでしょうか?」というご質問です。この件は出店計画や戦略に関係していると思いますが、どのようにお考えでしょうか?
勝本:まず、直営店に関しては現在、首都圏および名古屋・大阪・福岡を中心にエリアを分け、そのエリア内にどのようなショッピングモールがあり、どのような保険ショップが出店しているか、すべての分析を完了しています。
首都圏や名古屋・大阪・福岡で約220店舗の出店可能領域があると認識しており、今後はこれらを中心に出店を進めていく方針です。また、名古屋・大阪・福岡以外の政令指定都市においても、まだ出店の余力があると考えていますので、そちらもターゲットにしていく予定です。
年齢層については、30代・40代の主婦層が主な顧客層になると考えています。そのため、その主婦層が多く居住する新興住宅地などは非常に適した立地ではないかと見ています。
荒井:商品については、例えばお子さま向けや家族全員で加入するようなイメージでしょうか?
勝本:そうですね。また、最近では資産形成系の商品のご相談が非常に増えています。
現在、特にアメリカの金利が高い状況で、銀行に100万円、200万円を預けていても利息がほとんどつかないため、お金を増やす方法を知りたいというお客さまからのご相談が非常に増えてきている現状です。
このような資産形成についてのご相談には、外貨建て保険を利用することで将来的に資産の増大を目指せるということをご案内することが増えています。実際に加入を希望される方も多く、資産形成型の商品は非常に有望なターゲットとなっていると考えています。
Ken:円安も影響し、10年前に外貨建て保険を契約していた人が大きな利益を得ているという話をよく耳にします。
勝本氏からのご挨拶
勝本:保険業界は歴史のある業界ですが、現在、大きな変化が求められている業界でもあると感じています。そのような状況の中、私たちはシステムを徹底的に活用し、デジタル化を推進することで、お客さまへの比較推奨を含めたサービスの徹底に努めてきました。
また、新たな変化の兆しが見えていることや、保険ショップ運営が非常に順調に進んでいることも事実です。この3か年はしっかりと成果を追求し、結果を出していきたいと考えています。
引き続き、みなさまからのご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。本日は誠にありがとうございました。
当日に寄せられたその他の質問と回答
当日に寄せられた質問について、時間の関係で取り上げることができなかったものを、後日登壇者に回答いただきましたのでご紹介します。
<質問1>
質問:昨年上場維持基準への適合についてのIRがありましたが、今後も達成維持は可能な状況でしょうか?
回答:当社は、上場維持基準への適合状況を重要な経営課題の1つと認識しており、継続的に状況を確認しています。今後も企業価値の向上や株式の流動性向上に取り組み、上場維持基準への適合およびその維持に努めていきます。
<質問2>
質問:四季報に「保険会社の手数料見直しで収益の伸び鈍化」とあります。改正保険業法への対応でコストは増えるのに手数料は下げられるということでしょうか? 先行きが不安です。
回答:四季報に記載の「保険会社の手数料見直しで収益の伸び鈍化」については、四季報編集部による分析・見解であり、当社が発信したものではありません。
なお、一部の保険会社では、主に一時払い保険と呼ばれる保険商品の手数料体系が見直され、初年度の手数料は低下していますが、次年度以降も継続的に手数料が支払われる仕組みとなっており、手数料総額は従来を上回るケースもあります。また、当社における一時払い保険の販売割合は10パーセントから15パーセント程度であり、現時点で業績への影響は限定的と認識しています。
<質問3>
質問:株価が低迷していますが今の株価についてどのようにお考えですか? また、株価の対策などあれば教えてください。
回答:当社としても、現在の株価については真摯に受け止めています。一方で、株価は市場環境や投資家心理などさまざまな要因によって形成されるものであり、当社が直接コントロールできるものではないと考えています。
当社としては、中長期的な株価の向上は企業価値の向上によって実現されるものと考えており、保険クリニック事業における出店拡大や既存店の生産性向上、ソリューション事業におけるMRRの拡大、AIプロダクトの育成などを通じて、継続的な成長と収益力の強化に取り組んでいきます。
また、IR活動の充実や情報発信の強化を通じて、当社の成長戦略や事業価値について、より多くの投資家のみなさまにご理解いただけるよう取り組んでいきます。
<質問4>
質問:業界的には一時払い保険の販売が多いようですが、貴社では新規売り上げの何割ほどでしょうか?
回答:当社における一時払い保険の新規売り上げは10パーセントから15パーセント程度です。
<質問5>
質問:直営店の既存店は約90店舗ある中で、売上高の増加は1億8,100万円、1店舗あたり200万円しか売り上げが伸びていません。一方で、新店についてはゼロスタートなので当たり前ですが7億8,800万円伸びています。これは新店を出し続けない限り、売り上げは伸びないということでしょうか?
回答:既存店売上高は1億8,100万円増加していますが、前期売上高39億3,600万円に対して約4.6パーセントの増収に相当しており、既存店も着実に成長しています。この成長は、主にWeb集客の強化による来店数の増加に加え、店舗運営ノウハウの蓄積や人材育成による既存店の生産性向上によって実現したものです。
一方で、新規出店は売上規模の拡大にとどまらず、店舗網の拡大によるブランド認知度向上や集客効率の改善につながります。また、事業規模の拡大によりマーケティング投資を強化できるため、さらなる来店数の増加や既存店の生産性向上を実現する好循環が生まれています。
当社は、既存店の生産性向上と新規出店による成長を両輪としながら、持続的な事業拡大を目指しています。
