■業績動向
2. 受注・売上高の動向
(1) 受注高の動向
E・Jホールディングス<2153>の2026年5月期の受注高は前期比3.7%増の45,801百万円と4期連続で過去最高を更新した。受注件数は同6.2%増の4,369件と増加した一方で、受注単価は複数年度契約の減少が影響し、同2.4%減の10,483千円と低下した。また、業務別受注高は建設コンサルタント業務が同4.1%減の35,559百万円と減少した一方で、調査業務が同44.2%増の10,242百万円と初めて100億円を上回った。
発注機関別の前期比増減率を見ると、中央省庁が3.3%増、都道府県が3.5%増、市町村が14.5%増といずれも2期ぶりの増加に転じた。同社が重点分野と位置付けている環境・エネルギー、自然災害リスク軽減、都市・地域再生分野の受注がそれぞれ2ケタ増と好調に推移したことが要因だ。また、民間向けも1.4%増と堅調に推移し、都道府県や市町村、民間向けについては過去最高受注を更新した。一方、海外からの受注は91.9%減の35百万円と大幅に減少した。
地域別の前期比増減率を見ると、関東が11.5%増、中国が3.3%増、四国が13.3%増、九州が32.8%増となった一方で、北海道・東北が4.8%減、中部が7.9%減、近畿が2.2%減、海外が79.9%減となり、地域間でばらつきが見られる結果となった。このうち、中部地域の減少については、2025年5月期に令和6年能登半島地震に関連した業務を多く受注した反動減によるもので、水準としては過去2番目の高さとなっている。また、関東や四国、九州については過去最高受注を更新した。
受注高のうち付加価値の高い技術提案型業務については、前期比3.7%増の13,992百万円と2期連続で増加したものの、会社計画(16,650百万円)を下回った。提出件数は同15.5%増の1,838件と過去最高を更新した一方、採択率が前期の19.9%から18.3%に低下したことが要因だ。採択率は2022年5月期の35.6%をピークに低下傾向が続いており、市場における競合激化がその背景にあると見られる。採択率は全体の生産性にも影響するため、採択率の向上が今後の課題となる。
また、同社が重点分野として掲げている6分野の受注高は前期比12.7%増の28,922百万円と過去最高を連続更新し、会社計画(26,960百万円)に対しても上回った。構成比も前期の58.1%から63.1%と大きく上昇しており、政府が推進する防災・減災対策や国土強靭化をテーマとした公共投資案件の取り込みが順調に進んだことがうかがえる。分野別では、自然災害リスク軽減分野が同20.9%増、環境・エネルギー分野が同30.3%増、都市・地域再生分野が同49.2%増とそれぞれ大きく伸長した。一方、受注規模は相対的に小さいものの、デジタル・インフラソリューション分野は同32.8%減となり、6分野の中で唯一の前期割れとなった。
(2) 売上高の動向
業務別売上高は、建設コンサルタント業務が前期比8.9%増の36,468百万円、調査業務が同9.6%増の10,117百万円と、それぞれ過去最高を更新した。また、発注機関別の前期比増減率では中央省庁が3.1%増、都道府県が8.4%増、市町村が14.9%増、民間が11.1%増、海外が27.7%増とすべての分野で増収となり、このうち都道府県、市町村、民間については過去最高を更新した。国内の地域別売上高では関東が3.9%減と減収に転じた以外はすべての地域で増収となり、このうち北海道・東北、中部、近畿、四国、九州については過去最高を更新した。とりわけ、中部については令和6年能登半島地震に関連した業務の売上が寄与したこともあり、46.4%増と大きく伸長した。この結果、官公庁向け(中央省庁・都道府県・市町村)の売上構成比は前期の71.6%から70.9%となり、民間向けの拡大に伴って官公庁向けの比重は緩やかに低下している。
M&A等の成長投資資金を増資で調達
3. 財務状況と経営指標
2026年5月期末の資産合計は、前期末比4,741百万円増加の56,752百万円となった。主な変動要因を見ると、流動資産では現金及び預金が3,199百万円、棚卸資産が389百万円それぞれ増加し、売掛金及び契約資産が469百万円減少した。固定資産ではのれん等の無形固定資産が403百万円減少した一方で、有形固定資産が170百万円、退職給付に係る資産が1,484百万円それぞれ増加した。
負債合計は前期末比1,481百万円減少の16,476百万円となった。繰延税金負債が471百万円増加した一方で、有利子負債が517百万円、未払法人税等が494百万円、契約負債が1,080百万円それぞれ減少した。また、純資産合計は同6,223百万円増加の40,276百万円となった。配当金1,134百万円を支出した一方で、親会社株主に帰属する当期純利益3,371百万円を計上したほか、新株の発行により資本金及び資本剰余金が1,569百万円それぞれ増加したこと、さらには退職給付に係る調整累計額が827百万円増加したことによる。増資については、M&Aや設備投資、研究開発などの成長投資資金の調達を目的としたもので、このうち、M&Aについては2026年7月末に気象工学研究所の全株式を取得し、子会社化するなど着実に実行している。
経営の安全性を示す自己資本比率は増資によって前期末の65.5%から71.0%に上昇し、有利子負債依存度も14.2%から12.1%に低下するなど、安全性指標はいずれも良化した。ネットキャッシュ(現金及び預金−有利子負債)は170億円強と潤沢にあり、財務内容は良好と判断される。一方、収益性についてはROAで8.9%、ROEで9.1%、売上高営業利益率で10.0%となり、それぞれ若干ながらも低下基調が続いた。背景には、近年の物価高や人件費上昇に伴うコスト増を受注単価へ十分に価格転嫁しきれていない影響がある。同社は基幹システムの刷新や経営のDXを推進しており、2027年5月期以降に間接コストの低減や生産性向上といった取り組みの成果が顕在化するものと見込まれる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
いま読まれてます
記事提供: 
元記事を読む