■要約
ムゲンエステート<3299>は、投資用・居住用不動産を中心に中古不動産の買取再販事業を行う業界のパイオニアであり、高収益企業である。中古不動産を幅広く扱い、数千万円の区分マンションから数十億円の一棟マンション・オフィス及び、ホテル・介護施設まで幅広く扱う。首都圏から全国の大都市圏を営業エリアとしており、首都圏を中心に北海道から沖縄まで本社を含め15拠点を展開し、従業員は523名(連結、2026年6月末)を数える。2014年に東京証券取引所(以下、東証)マザーズ市場に上場し、2016年には東証第1部に市場変更、2022年のプライム市場への移行を経て、2023年にはスタンダード市場に移行した。
1. 事業概要
同社の事業は不動産売買事業と賃貸その他事業の2つのセグメントに分かれる。主となる不動産売買事業は、1) 不動産買取再販事業、2) 不動産開発事業、3) 不動産特定共同事業の3つの事業モデルからなる。不動産買取再販事業は投資用不動産及び居住用不動産を取り扱う。中古不動産を買い取り、バリューアップ(内外装工事等による不動産価値・収益性の向上)を図り、「再生不動産」として販売する事業である。また、不動産開発事業は開発用地の仕入業務から企画立案、設計、工事、リーシング、販売まで行う事業で、不動産特定共同事業は不動産特定共同事業法に基づき不動産の小口化商品を販売する事業である。賃貸その他事業は、不動産賃貸、不動産管理、その他事業を行っている。
2. 2026年12月期中間期の業績概要
2026年12月期中間期は、売上高が前年同期比18.8%減の26,743百万円、営業利益が同49.4%減の2,773百万円、経常利益が同56.6%減の2,142百万円、親会社株主に帰属する中間純利益が同60.2%減の1,320百万円と、減収減益となった。売上高では、主力の買取再販事業で、海外投資家需要の減退に伴う国内投資家向けの販売活動強化策の効果が中間期では限定的であったこと、高価格帯及び大型物件の販売が低調に推移したことが減収の主要因となった。販売エリアに関しては、首都圏中心ではあるものの、地方エリアの売上構成比は同15.0ポイント増の20.0%と上昇した。賃貸その他事業では、販売用不動産及び固定資産の増加により同30.1%増の1,777百万円と増加した。利益に関しては、減収の影響に加え、収益性の高い大型物件の販売件数減少により売上総利益率が同3.9ポイント低下したことなどにより減益となった。四半期ごとの業績では、売上高、各利益ともに、第2四半期単独が第1四半期単独を上回って進捗した。
3. 2026年12月期の業績見通し
2026年12月期は、売上高が前期比9.8%減の61,599百万円、営業利益が同22.3%減の8,588百万円、経常利益が同27.3%減の7,237百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同28.4%減の4,770百万円と、売上高、各利益ともに中間期の実績と今後の不動産市況を踏まえて下方修正した。売上面では、投資用不動産で同7.4%増の33,143百万円、居住用不動産で同29.7%減の22,818百万円と予想を修正し、投資用不動産へのシフトを強める。海外投資家需要が限定的な状況を踏まえ、販売ルートの拡大施策として、地方銀行を含む金融機関との連携強化を推進する。なお、販売用不動産残高(第2四半期末)は80,982百万円と十分である。また、中間期を終えて修正後の通期業績予想に対する進捗率は、売上高で43.4%、営業利益で32.3%と下期偏重となる予想である。海外投資家の需要が限定的となる環境変化時において、柔軟な価格設定や国内投資家へのシフトなどの対応力がカギとなる。
4. 成長戦略
居住用マンションに関しては、得意の高価格帯で、中国を中心とした海外顧客の減少の影響を受けたが、国内富裕層や海外他地域の投資家でのリカバリー策を強化する。また、居住用不動産の売上減少を補うべく、投資用不動産の販売をさらに強化する。なお、都心の賃貸物件の空室率は低水準で推移しており、賃料上昇も追い風となり、収益不動産の価値は堅調であり、この市場が大きく調整する懸念は少ない。具体的対策として、1) 国内販売ルートの拡大施策として、地方銀行を含む金融機関との連携強化を推進する、2) 中国本土以外の海外投資家(台湾など)のチャネルを開拓する、3) 全国に配置されている約250名の営業社員が、複数地域で連携して成約を目指せる体制を整えるの3つの取り組みを推進している。
5. 株主還元策
同社は、株主への利益還元を経営の重要課題の1つと位置付けており、長期的な事業拡大のため財務体質の強化と内部留保の充実を図りつつ、安定した配当を継続することを基本方針としている。利益配分は、業績の水準やバランスシートをベースとする。前期からは、株主の利益還元の機会を充実させるため、中間配当を導入した。2026年12月期中間期は、52.0円(前期から7.0円増配)の配当を実施した。2026年12月期の年間配当は104.0円(前期比10.0円減配、中間期52.0円、期末52.0円)、配当性向51.3%を予定している。通期業績予想の修正と今後の市況を踏まえ、期末配当予想を52.0円(前回予想から26.0円減配)へ修正した。
■Key Points
・大都市圏の中古不動産を、大小問わず一棟物から区分マンションまでスピーディに買い取る目利き力と資金力が強み
・2026年12月期中間期は海外需要減少等により減収減益
・2026年12月期の売上高と各利益を、中間期実績と今後の不動産市況を踏まえて下方修正
・地方の金融機関との連携強化、中国以外の海外投資家の開拓など、海外需要減退へのリカバリー策を推進中
・2026年12月期中間期の配当は52.0円(前期から7.0円増配)。期末配当は52.0円(前回予想から26.0円減配)予定に修正
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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