■事業概要
1. 都市部の不動産の流通市場の動向
ムゲンエステート<3299>のメインのフィールドである都市部の不動産市場では、「押し上げ要因」と「下押し要因」が交錯する局面にあり、先行きは不透明な状況である。「押し上げ要因」としては、投資用不動産への旺盛な需要、再開発・オフィス需要、円安(日本の不動産の割安感)、都市部での路線価の上昇、賃料の上昇、建築コスト上昇に伴う中古物件の優位性などがある。「下押し要因」としては、資材価格及び人件費の高騰に伴う建築コストの上昇、日銀による政策金利の引き上げ、一部の海外投資家の需要減退(例:中国本土)などがある。
(公財)東日本不動産流通機構(東日本レインズ)によると、2026年6月における首都圏の中古マンション成約件数は4,241件(前年同月比1.3%減)で、3ヶ月連続で前年同月を下回った。成約平米単価と成約価格においても、ほぼ横ばいながら2ヶ月連続で前年同月を下回った。2026年6月の在庫件数は45,995件と前年同月比で3.5%増となった。2026年上半期(1~6月)における首都圏の平均成約金額は、中古マンションの5,351万円に対して、新築マンションは10,135万円と、価格差が拡大する傾向にある。新築マンションの価格高騰や供給縮小傾向があり、相対的に中古マンションの魅力が高まっていると言える。
2. 不動産売買事業
不動産売買事業は、コア事業である不動産買取再販事業(投資用、居住用)、近年新規に参入した不動産開発事業、不動産特定共同事業で構成され、近年の業績はコロナ禍の影響を脱した後は、売上高で3期連続の増収、セグメント利益で5期連続の増益と業績は好調だった。2026年12月期の売上高は前期比11.2%減と減速する予想である(修正予想)。
(1) 不動産買取再販事業
中古不動産を買い取り、バリューアップしたうえで再販売する事業で、同社が創業期から手掛けるコア事業である。物件は、投資用及び居住用に区分して管理する。同社グループで抱える工事部門及び賃貸管理部門が主にバリューアップを担当する。再販に際しては、外部の不動産仲介会社に仲介(媒介または代理)を依頼する形態を主とする。投資用不動産は、一棟賃貸マンション・オフィスビル・区分所有マンション等の賃貸収益が発生する物件で、購入者は国内外の不動産投資家である。バリューアップの内容として、建物の管理状況の改善、経年劣化に伴う修繕工事、空室の賃貸及び滞納賃料の解消等の実施による不動産投資利回りの向上が挙げられる。投資用不動産は、仮に売却できない期間が続いたとしても賃料収入が入り続けるため、リスクが相対的に低く、収益性を高めることができる。仕入から売却までの平均期間は1年半程度である。居住用不動産は、区分所有マンションを中心に購入者が居住用として利用する不動産である。購入者は、初めて住宅を購入する1次取得者層や買い替え目的の層など幅広い。バリューアップの内容として、内装工事及びユニットバス・システムキッチン等の設備の更新がある。仕入から売却までの平均期間は1年弱である。
また、同社の強みとして以下が挙げられる。
1) 首都圏1都3県(東京、神奈川、千葉、埼玉)及び北海道エリア(札幌)、東北エリア(仙台)、西日本エリア(名古屋、京都、大阪、福岡、那覇)において拠点・人員(連結523名)を配置しており、国内外の仲介ネットワークから仕入・販売の情報が入手できること
2) 居住用も投資用も、数百万円の小規模物件から数十億円の大規模物件まで買取・販売が可能なこと
3) 仕入から工事、販売に関する営業までを一人で担当するため出口を意識した利益管理の徹底(目利き力)
4) 金融機関約80行以上との取引関係があること
5) 資金力、財務基盤が強固なこと
近年の業績は、コロナ禍での落ち込みからも脱却して成長軌道に乗っている。投資用不動産と居住用不動産が年によって主役が異なるが、バランス良く補完しながら成長してきた。2025年12月期は、投資用不動産、居住用不動産ともに好調に推移した。2026年12月期中間期は、海外投資家の需要が減速するなどの影響で、特に居住用が減収となった。2026年12月期通期は、投資用不動産で売上高33,143百万円、居住用不動産で22,818百万円を見込んでいる(修正予想)。投資用不動産へのシフトを加速させる計画だ。
エリア別の販売動向では、同社は首都圏に集中してきた経緯から首都圏での販売の構成比が高いが、近年は地方都市の拠点整備を進めており、その成果が顕著になっている。地方エリアの販売(不動産買取再販事業のみ)の構成比は2024年12月期中間期に1.7%から前期に5.0%、直近期で20.0%に大きく伸びた。地方エリアの中では、大阪支店などの大都市圏の販売が特に多いようだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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