サッカーワールドカップが始まりますが、ほぼ盛り上がっていません。この手のスポーツイベントに関する日本での経済効果が激減しているのではないか。そして、海外投資家の資金流入も細っているように見えます。(『高梨彰『しん・古今東西』高梨彰)
※本記事は有料メルマガ『高梨彰『しん・古今東西』』2018年6月4日, 5日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
日本証券アナリスト協会検定会員。埼玉県立浦和高校・慶応義塾大学経済学部卒業。証券・銀行にて、米国債をはじめ債券・為替トレーディングに従事。投資顧問会社では、ファンドマネージャーとして外債を中心に年金・投信運用を担当。現在は大手銀行グループにて、チーフストラテジスト、ALMにおける経済・金融市場見通し並びに運用戦略立案を担当。講演・セミナー講師多数。
世界に置き去りされる日本。世界的イベントでも盛り上がらない…
盛り上がらないサッカーワールドカップ
サッカーのワールドカップが今月開催される、らしいです。過去にはメキシコ大会のマラドーナを観たくて、早朝からテレビの前にかじりついたものですが、今回のロシア大会は何時から始まるかも知らないくらいです。
サッカーだけならばまだしも、来年日本で開催されるラグビーのワールドカップも何時から始まるか知らない…。と言いますか、メディアからもほとんど情報が出て来ない始末です。日本代表に誰がいるのかも、リーチ選手くらいしか思い付きません。
何を心配しているかって、この手のスポーツイベントに関する日本での経済効果がかなり小さくなっているのではないかと。
テレビへの需要も盛り上がらないようですし、ロシア関連の情報も全くと言っていいくらい拡がって来ません。むしろアナハイムに居る大谷選手の方が経済効果は高いのではないか? と心配になります。
せっかくイベントがあるのに、セールストークが出てきません。しかも政治もスポーツ界も「忖度」だの「雲隠れ」だの、後ろ向きな話題ばかりです。
海外投資家の資金流入も細っている
この辺が相まって、海外投資家からの資金流入も細っているようにみえます。
現物株への買いが入らず、踏み上げでしか相場が上がらない様なんて、証左として最たるものです。「海外からの資金流入が本格化した暁には、日本の市場も上値追い」でもあるのですが…。
Fed(連邦準備制度)の利上げが最終段階に入るとき、多かれ少なかれ株価などのリスク資産価格は調整に入ります。やっぱり来年が心配です。
トランプ大統領が「事前リーク」
6月1日の米雇用統計発表前に、トランプが「今日の雇用統計楽しみ」とツイート。相場は数字が出る1時間前からトランプ好みの「良いデータ」を想定し、一足早くドル高・債券安・株高が進みました。
雇用者数+22.3万人(市場予想+19万程度)、失業率3.8%、賃金上昇率前年同月比+2.7%、ツイート後に出て来た数字は「良いデータ」でした。
これを市場は「事前リーク」と呼びます。
しかし、ホワイトハウスからは「トランプ大統領は楽しみと言っただけで(具体的な)数値は述べていない。だから問題はない」との声明です。
政治の言い訳なんてどこの国も同じ、と改めて確認できました。
これ自体に何の感情も湧きませんが、「トランプの取り巻きはインサイダー取引みたいなことしているのだろう」ということは容易に想像できます。
ま、トランプに限らず、これまた世界で似たようなことは行われているのでしょうけど。
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