1979年以来、1本10円の価格を維持し続けた「うまい棒」もついに値上げとなりました。4月のCPIの上昇は必至となりそうですが、数値が公表される5月に向けて市場の緊張感は高まりそうです。(『徒然なる古今東西』高梨彰)
日本証券アナリスト協会検定会員。埼玉県立浦和高校・慶応義塾大学経済学部卒業。証券・銀行にて、米国債をはじめ債券・為替トレーディングに従事。投資顧問会社では、ファンドマネージャーとして外債を中心に年金・投信運用を担当。現在は大手銀行グループにて、チーフストラテジスト、ALMにおける経済・金融市場見通し並びに運用戦略立案を担当。講演・セミナー講師多数。
うまい棒もついに値上げ
ついにこの日がやって来ました。
うまい棒、10円から12円に値上げ!
です。
販売元の株式会社やおきんは1月27日に発表したメッセージにて、「42年間この値段を維持できたのは…」で始まる感謝の言葉を記しています。
うまい棒は1979年9月に販売を開始しています。それから42年、物価上昇率はゼロ。消費者物価指数(CPI)にて比較すると、この「ゼロ」が際立ちます。
CPI全体の指数、1979年9月は68.7、今年2月は100.7。この間の上昇率は+46.6%です。食料全体の上昇率は+60.6%。
他の食べ物をみると、米類-1.8%、パン+78.5%、生鮮魚介+62.2%、肉類+53.7%。そして菓子類は+70.6%、せんべい+46.0%などとなっています。
ちなみに「物価の優等生」と呼ばれた卵は、この間の上昇率は+10.6%でした。
うまい棒は2円値上げすることで、この間の値上がり率は20%となります。しかし、それでも卵と大して変わりません。頭が下がります。
4月CPIが公表される5月20日は市場も注目
うまい棒に限らず、この4月は値上がりが相次ぎます。原材料価格値上げの転嫁が待ったなしまで迫っていることを示しています。
市場では4月分のCPI公表で各値を確認します。公表予定日は5月20日(午前8時30分)です。
日銀やFed(米連銀)をはじめ、各中央銀行は金融政策を決める際「データ次第」との表現をよく使います。
今、市場の関心はインフレにあります。主要国・地域のインフレデータは、4月分ならば5月中など、概ね翌月中に公表されます。
ウクライナ侵攻が始まって1か月が経ち、そろそろ経済への影響もデータで確認する時期です。その点でも4月分のデータは重要です。
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