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専業トレーダーとしてFXのライブ配信を行いながら、投資助言サロンやセミナー講師としても活動するFXで馬さん。彼が上級トレーダーへとステップアップしていくまでの過程と、そのメソッドを学んでいきましょう。
聞き手:鹿内武蔵
(『外国為替』vol.2より改変/インタビュー日:2022年11月10日)
FXで馬さんプロフィール

サラリーマン時代の2000年ごろより、金・プラチナの積み立て投資を開始。2005年ごろより株式投資も開始するが、ライブドアショックなどに巻き込まれ大損してしまう。その後、2011年ごろにFXと出会い、激しいギャンブルトレードを繰り返す。大きく勝つこともあったが、最終的には負けの方が大きく、資金管理を徹底。最終的に勝ち組トレーダーへと転じ、2017年ごろから専業トレーダーとなる。現在はFXの投資助言サロンを運営するなど、多くの個人投資家を指導中。
資金管理に目覚めてトレードが改善
─まずは、これまでの投資・FX歴をお聞かせください。
1999年、サラリーマン時代に会社の先輩のすすめで金・プラチナの積立を始めたのが最初の投資です。当時、金1gが2000円もしない時代で、「資産は価値がゼロにはならない」という先輩の言葉を信じて続けていました。会社の株なら倒産してゼロになるリスクはもちろんあるけど、金やプラチナがゼロ円になることはまずないなと、何も考えずに積み立てていました。
株式投資も会社の友人の影響です。彼が数千万円稼いでいたのを見て始めましたが、最初に300万円ほど儲けたあと、ライブドアショックで一気に1000万円の損失を出しました。調子に乗っていた直後だっただけにショックが大きくて、顔面蒼白の正月は今でも忘れません。
─2011年ごろにFXを始めたとのことですが、その経緯は?
当時、ジャパンネット銀行(現・PayPay銀行)だけが持っていた仕組み「ネットバンキング」に目をつけて、これから時代がくるだろうなと思い口座を持っていたんです。そこに銀行口座とFX口座間を行ったり来たりできるシステムがあって、FXを知りました。株より簡単だなという感覚で、まずはレバレッジ50倍ぐらいで始めました。
─初期の取引スタイルは?
上がったら買う、下がったら逆張りで買うだけのシンプルな手法ですね。ポンド円を中心にギャンブル感覚で取引し、最終的には800万円ほどの損失を出しました。
この経験から資金管理の徹底をルール化するようになりました。具体的には300万円用意したとして、どれだけ損切りしても10%以内に収めようとしました。しばらくはうまくいきませんでしたが、それでも損失を10%までに抑えたことで、劇的に収支が改善しました。ここからハイロットで超短期のスキャルピングに徹するようになったんです。
ポジションを長く持たないやり方が僕にはすごく合っていたようで、それが2015年ぐらいのことでしたね。資金管理と超短期の取引、この二点で大きく改善されたので、そこからはさらに手法を突き詰めていきました。
日本の金融リテラシーを高める学校を作るのが夢
─現在では投資助言サロンなど、さまざまな情報発信をされていますが、それらの活動を始めようとしたきっかけはなんでしょうか?
昔から、東南アジアの有名なカジノのVIP会員になれる頻度で通うくらい、根っからのギャンブラーでした。でも投資とは程遠いやり方で楽しんでいただけだったので、当然ながら多くのお金と時間を失いました。トレードも当初は同じようなやり方だったんですが、日本では誰にもやり方を教えてもらえなかったんです。
後からいろいろな手法やテクニカルを知りましたが、ギャンブル的なトレードをしているうちは、どれだけ知識があろうと自分で台無しにしてしまいます。これは負けている人、皆さんに言えることかなと思います。勝つ前に生き残る術を学ぶことが大切なので、まず投資とは何なのか、なぜ自分に必要なのかを教えていきたいと考えたのが(情報発信を始めた)きっかけです。
サロン活動は、自分のトレードを言語化する目的があります。初心者さん、上級者さんたちに向けて伝えることで、自分自身の手法や考え方が整理されていくからです。今は、「日本の金融リテラシーを高める学校」を作ることが僕の夢です。今年に入ってから、いろいろな企業や大学から投資の講義の依頼を受けており、そういう需要が高まってきているのかなと思います。もちろんこれは僕一人の力では作れないですが、ゆくゆくはそういうものに携わりたいです。
─専業トレーダーになってからの生活は?
基本的には、自由に起きて自由に寝る生活です。起床後はサプリとコーヒーで朝をスタートし、トレードルームでチャート全体を一通りチェックします。その後は売買助言を送っています。平日は毎日、トータルで大体2時間はその部屋にいると思います。日中は家族と外出したりしつつ、チャンスがあればスマホでトレードする自由な生活です。
─情報収集について教えてください。
ファンダメンタルズの材料は、ブルームバーグ、ロイター、日経新聞、WSJ、ZUU online、みんかぶなど。ピックアップしている情報がそれぞれ違うんです。投資診断士資格を取得したことで、テレ東BIZが無料で全部見られるので、「昨日のワールドビジネスサテライトでどんなことを言ってたかな」と見直すこともあります。
また、OANDA証券やデューカスコピー、みんなのFX、外為どっとコムなどのオープンポジション情報も見ていますね。偏ったポジションの逆方向に相場が動くことが多いため、トレンドの判断材料になります。
─テクニカル分析については?
基本はシンプルにテクニカル分析をして、トレンドはフォローします。フィボナッチリトレースメントも多用し、トレンド中の押し目や戻りを探ります。価格が止まりづらい局面では特に有効です。
「無理をしない」習慣で優れたトレーダーになる
─初心者が成功するためのポイントは? もっとも大切なことを教えてほしいです。
「無理をしない」ことが最重要です。僕のサロン生の方も朝から夕方まで働く普通のサラリーマンや不規則なシフト制でお仕事されている方など、職業も生活リズムもバラバラですが、どんな生活の方でも、大事なのは無理して相場に合わせないことです。職業や生活リズムに合った取引時間を見つけ、自分に無理のないスタイルを作りましょう。
ロットはあとからいくらでも上げられます。まずは最小ロットで経験を積み、自信がついてから増やしましょう。ルールも同様で、守れない複雑なルールより、シンプルでも実行可能なものが大事です。ルールが複雑になるほど勝率が上がるわけではないですし、まず決めたことをやりきる、その習慣ができあがると良いトレーダーになれると思います。
─ありがとうございました。最後に読者へメッセージをお願いします。
世の中のゲーム・遊び・ギャンブルなどでは全てルールが決められており、たとえそれが理不尽であっても、守らないと絶対に参加させてもらえません。ですが、FXの世界にはルールはほぼありません。自分でルールを決めるしかない厳しい世界です。
しかし、逆を言えばルール化し資金管理とメンタル管理をするだけで、トレード収支は大きく改善できます。それだけのことをできない人、きちんとやってみようとしたことがない人が9割の世界で、「FXでは9割の人が負けている」と言われる要因はここにあるのではないかと私は思っています。(トレード手法の)聖杯ばかり探す人もいますが、その前に資金管理とメンタル管理で収支はしっかり変わってくるので、ぜひそれを体感していただきたいです。日々の積み重ねを信じて諦めずに頑張ってください。
おまけ|FXで馬さんがサロンで教えている手法を紹介
FXで馬さんに、初心者でも実践しやすいおすすめの手法を教えてもらいました。
王道チャートパターンからのブレイク狙い
最近、僕のサロンで教えているのは、チャートパターン分析です。特に初心者は、三角保ち合いや三尊など王道のチャートパターンを探して、そこからのブレイクを狙いましょう。まずは、パターンが狙えるポイントを見つけられるようになることが大切です。
■時間足
日足と4時間足で流れを見て、エントリーのポイントは15分足で探す。これを練習してみてください。
■通貨ペア
通貨ペアは、米国の重要指標が市場を引っ張る影響力が強く、テクニカルやファンダメンタルズなど色々な指標が織り込まれている観点から、ドル円とユーロドルが一番だと思います。マニアックな通貨ペアは、無理して触る必要はありません。
例えば、現在(2022年11月10日時点)のドル円を見てみると、145円付近をサポートラインにして跳ね返しつつ、高値も切り下げてきている状況です。セオリーでいえば、これはディセンディングトライアングルという形で、下の方に抜けやすいです。
145円付近は下へのトライを何度も失敗していますが、やがて抜けそうです。ボラティリティが縮小していく、三角保ち合いの形ですね。

source: FX雑誌『外国為替』
サポートしていたところから一度下に抜けて、次にその価格帯がレジスタンスとして機能した場合には、すぐに売りで入るイメージで動きましょう。

source: FX雑誌『外国為替』
今回の例であれば、145円のラインを下に抜けて、なおかつそれがサポレジ転換したタイミングで入ると良いでしょう。
他には、単純移動平均線(SMA)を使うのも良いと思います。僕は25、75、200や300で期間を表示していて、これも王道の設定ですね。チャートパターンに加えて、デッドクロスなどが出ると噛み合います。特に価格が移動平均線の上下どちらで推移しているのかを確認した上でのトレンドフォローと、抜けた後に何かしらのデッドクロスやゴールデンクロスが確認できているかに注目して見ると良いと思います。

source: FX雑誌『外国為替』
チャートパターンでブレイクした後に、このような移動平均線でデッドクロスやゴールデンクロスができていると、そこから価格と各移動平均線の並びが設定期間ごとに並ぶパーフェクトオーダーになりやすいです。これらの分析も徐々に勉強して、応用していきましょう。
シンプルで再現性の高い手法から始めよう
この手法の良いところは、どの証券会社のツールでも実践できる点です。難解なインジケーター不要ですから、取引コストの安いところや、数日持ち越すつもりでしたらスワップポイントが優秀なところでトレードしましょう。
エントリーは米ドル円とユーロドルの通貨ペア併せて1日1〜2回ほど。ポジション保有時間は数時間〜2日程度でオーバーナイトもします。あらかじめ損切りを設定しておいて、利益は伸ばせるだけ伸ばしていきます。決済のポイントは、エントリー前の高値安値を目標に決めておきます。勝率は年間で50〜60%、平均獲得pipsは30〜50pipsくらいになります。
この手法のメリットは、狙うポイントが明確なこと。パターンに当てはまらないときは無理にエントリーする必要はありません。チャートパターンには当然ダマシがあるため、最初は分かりやすい三角保ち合いや三尊など王道のポイントだけを狙って試してみてください。
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