最強スキャルパー座談会［後編］｜専業トレーダーになるまでの苦しみとその先にある自由

億を稼ぐFXスキャルピングトレーダーとして、業界内で一気に注目が集まっている平井聡士さんと、その門下生の皆さんにお集まりいただき、圧倒的なトレード結果をもたらす背景を探るというFX座談会企画。

後編では、兼業から専業への移行タイミング、損切りの難しさ、仲間と連帯することの素晴らしさ、今後の目標などについて語り合っていただきました。

聞き手：鹿内武蔵／再構成：上岸誠太郎
（FX雑誌『外国為替』vol.5より再構成／取材日：2023年3月15日）

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最強スキャルパー座談会［前編］｜平井聡士さんとお弟子さんが語るFXスキャルピングの利点と勉強方法

平井聡士（ひらい さとし）氏プロフィール

大学卒業後、バンド活動に打ち込み有名レーベルからのCDデビューも果たす。30代前半でプロのミュージシャンをあきらめ中古車販売へ。その後、リサイクルショップを岐阜市で経営するかたわら、FXを始める。300万円の元手から2年3か月で稼いだ利益は7000万円以上。音楽業界への恩返しとしてFXの利益を投じて、クリエイターの拠点となる「ノーダウトフィルムスタジオ」をオープン。FXトレーダーの象徴的な存在となるべく本名、顔出しで活動する。

専業トレーダーになって変わったこと

─皆さんはいま専業トレーダーですが、専業に踏み切る際の不安はありませんでしたか。

平井　まずは鈴木さんに2022年のライフスタイルを話してほしいです。兼業の星なので。

鈴木　もともと専業を目指してFXを始めて、3000万円くらい貯まったら会社を辞めようと決めていました。昨年は相場が良くて、その目標額には届いたのですが、達成したらしたで不安が大きくなって踏ん切れず、1年間は兼業のまま続けました。相場がよく動くので夜中までトレードしていて、とにかく身体が壊れそうでした。寝不足で会社のトイレで寝たりしていましたね。

朝の東京時間でもトレードしたかったので、勤務先から徒歩5分の場所に引っ越して、フレックス制度を使って出社を10時に設定して。9時55分の仲値が終わったら、そのまま走って会社に行っていました。

平井　わざわざ引っ越したよね。

鈴木　引っ越しました（笑）。以前は片道1時間くらいの通勤時間だったので、往復2時間分をトレードに回せるようになりました。

─最終的に自分の中で出したゴーサインは？

鈴木　辞めた時点ですでに1億円くらい作れていたので、さすがにもう十分だろうと。振り返れば慎重すぎたと思いますが、金額面で安心できたのが決め手でした。

平井　専業は今年からですよね。

鈴木　はい。年末で退職しましたので。

橋本　僕は昨年は1年通して兼業で、今年の1月20日から専業になりました。兼業時代は朝が早くて6時半に起床、7時には出勤していましたね。東京時間も触りたかったので、自宅PCのチャートを開きっぱなしにして、会社からスマホで遠隔トレードをやっていました。勝てるかどうかは別として、できることは全部やって自分の血肉にしようと。機会損失に耐えられなくて、自分が知らない間に相場が大きく動いてるのがすごく嫌で、できるだけ早く仕事を終わらせて、時間を作ってトレードしていました。

平井　今はどんな生活ですか？

橋本　今は8時50分くらいまで寝ています。娘がいるんですが、昨年は仕事もトレードもコンサルも受講していたから、家族のための時間がほとんど取れませんでした。でも専業になってからは日中に娘と公園で遊んだり、家族でカフェに行ったりしています。専業に切り替えられたのは、仕事のこととか他にもいろんなことのタイミングが重なったことと、2〜3年は十分生きていける見通しが立ったからです。

ナオキ　僕は皆さんと違って、スキャルピングを始めたときからほぼ専業みたいな状態でした。生活できる蓄えはあったので、そこから生活費を賄いつつ、週末だけ夜勤のバイトをして、平日はほぼフルで相場に張り付ける環境にしました。

さっき平井さんが、どういう人が勝ちやすいか話をされましたが、僕は自分に自信がないタイプだったと思います。だからこそ教わったことが素直に入ったのかなと。自分のことを社会不適合者だと思っていて、勤め人はできないだろうから、もうFXしかないという気持ちでスキャルピングを始めました。4～5年で芽が出たらいいな、頑張ろうと思っていた矢先に、タイミングよく大相場がきて、とても恵まれていたと心から思っています。

去年の3月ごろからボラティリティがすごく上がりだしましたが、3月にちょうど息子が生まれたんです。大相場と同時に息子がやってきました。最初の子どもなので、初めての育児と機会損失に挟まれながら、睡眠時間も削って本当に必死でした。3〜5月ごろはすごく大変でしたね。

平井　今年はどうですか？

ナオキ　昨年10月まで夜勤のバイトを続けていました。生まれてきた子どもに先天的な疾患があったので、奥さんの実家に里帰り出産しました。そのまま滞在が伸びて、僕もそこでお世話になりながら、子育てとトレードをしていました。週末は夜勤のために東京に帰って、平日は群馬に戻ってトレードをする生活をしていたので、夜勤を辞めてから週末に心置きなく休めるのを本当に幸せに感じています。

今年は息子との時間もたくさん作れていますし、奥さんや奥さんの実家の協力でトレードに集中させてもらえています。それもあっての結果だと思うので本当に感謝しています。

福元　平井さんのコンサル前は、勤務時間が月曜から金曜の9時から18時まででした。ニューヨーク市場しかトレードできないと分かっていたので、その会社を辞めて深夜のアルバイトに変えました。東京〜ロンドン〜ニューヨークの全ての市場をトレードできる状況を作りたくて、夜中の3時ごろに出勤して、朝9時ごろの仲値前に帰ってくる生活をずっとしていました。

平井さんからは、3000万円くらいあれば専業になってもいいんじゃないかと言われていて。去年の8月に貯まったので、9月いっぱいでバイトを辞めて専業になりました。今は夜に寝れるようになったので、本当に楽になりましたね。僕は旅行が好きで、旅行しながら旅先でもトレードしてプラスの収支にできているので、本当にありがたい環境です。

ユリ　私は日中は平井さんの会社のスタッフとして働いています。8時半ごろ出社し、17時過ぎに退勤。最初は夜にトレードしていましたが、子どもが3歳と6歳で、下の子が夜中に目を覚ましたときにママがいないと不安定になるので、夜は一切トレードしないことにしています。パートタイムトレーダーみたいな形ですね。

平井　一般的なサラリーマンとは逆で、家に帰ったらトレードしないんだよね。

ユリ　はい、真逆です。夜はやりません。

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損切り下手でも勝てる方法はある

─スキャルピングで勝つコツを伺いたいです。節目になる価格を「点」として見るのが基本と聞きましたが、皆さんのスタイルが違っても、その考え方は共通ですか。

平井　抵抗線がトレードの中心になるのはみんな一緒ですね。スキャルピングで成功する秘訣について、僕は一つの手法を磨いた方がいいとか短期トレードがいいとか話してきたんですけど、誰か新たな視点から何かありますか？

橋本　FXを始めるとき、本を2〜3冊買って、それを読んで理解できてから口座開設するのが普通ですよね。投資はリスクが伴うので、しっかりと準備した上でやるべきものという印象があると思います。でも実際に5年くらいFXをやってみて、専門知識は大して必要ないことが分かりました。最初からチャートを見て実践する方が大事なんじゃないかと思います。

平井　それは面白い。頭でっかちにならず、まず手を動かすのは僕も賛成です。もちろん性格にもよるでしょうけど。

─特にスキャルピングは損切りが超重要だという印象です。ロスカットのルールや考え方を教えてください。

一同　……。（沈黙）

平井　誰も損切りに自信がないっていう！（笑）

ナオキ　僕は損切りがトップクラスに下手なので、その立場から話してみますね（苦笑）。先週金曜も一晩で1200万円やられました。最初から損切りが上手い人なんていないと思いますが、自分はその中でも本当にやっちゃいけない、ナンピンをして放置とかを結構やるんです。それで滅茶苦茶失敗してきました。最初の自己紹介で成績のことをいうのを忘れてましたが、スキャルピングを始める前は投資で総額1000万円以上は負けています。

覚悟を決めてスキャルを始め、人生を変えるつもりで必死に挑みましたが、その3か月後にまたちょっとナンピンして、逆指値を外したポジションを損切りできずに一晩持ち越してしまいました。何か月もかけてコツコツと積み上げてきた利益を吹き飛ばす損失を出してしまったんです。そのときは本当に真剣にトレードしていたのですごく落ち込み、こんなに損切りできずに失敗するやつは絶対勝てるようにならないんじゃないかと悩みました。

投資の本には「損切りできない人間は勝てない」と書かれていますよね。先週のマイナスが示す通り、僕の悪癖は未だに消えていません。ただ、それでもトータルでは勝てているので、同じ悩みを抱える人の希望になればと思います。

平井　最初のころに僕に懺悔してきたの、はっきりと覚えています。

ナオキ　あれは泣きそうでしたね。スキャルピングでは自動逆指値を置くのが基本で、ここにいる皆も置いています。でもそういう損切りができない人は、勝っているトレーダーにも多いです。僕は逆張りだと特に切れないですし、今まで58回連続逆指値というトレードをしたこともあります。

でもやっぱり勝てるポイントが見えていないと、いくら損切りを頑張っても勝てるようにはなりません。こんなに損切りが下手でも、勝てるポイントを見つけて期待値を追い続けていけば、利益を残せるトレーダーになれるはずです。たまに大事故はあるかもしれないが、自分の欠点と付き合いながら折れずに続ければ道は開けます。

平井　向いてないとは限らないってことですよね。

ナオキ　悪癖が消えたわけではないので、向き合いながら少しずつ改善していきます。

鈴木　同じような話ですが、ここなら勝てるというポイントを持てることが一番大事ですね。損切りを先に考えるよりも、どこが自分が戦うポイントかを考えることが大切で、その先に損切りが出てくるのかなと思いました。

ナオキ　期待値のある点を見つけるためにPDCAを回すわけですが、実戦の中で大きな損切りって多少ノイズにはなるんですよ。遠回りしちゃうというか。だから最初のころは勝つために損切りを頑張るより、勝てるポイントを見つけやすくするために損切りを頑張るという意識の方がうまくいくと思います。

福元　優位性のある場所が分かるようになってから、切るべき場所が見えてきた気がします。損切りする場所って優位性のあるところと表裏一体なんですよね。なので、どこに優位性があるのかを意識するのが大事かなと思います。

僕もよく失敗するんですが、損切りにマインドは関係ないと思っています。損切りができないのは、まだ知識や経験、失敗の数が足りていないからであって、頑張ればできるというものでもありません。

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独りで抱えず、仲間と並走して伸びる

平井　僕はいつも逆指値を5pipsか6pipsくらいに設定しているんですけど、4pipsを超えたらもういいやー、ってなって結局自分では切れなくなるんですよね。どれだけプラスを伸ばすかが大事で、マイナスを小さくするより、プラスを追いかけるのを優先すべきです。今まで深く考えたことはなかったけど、みんなの意見を聞いてそう感じますね。

あとスキャルピングで成功するために欠かせないのが、仲間の存在ですね。綺麗事でも何でもなく、僕らは友情を感じながらトレードしています。基本的に、集団を引っ張るのは頭がいいとかセンスがいい人間です。集団の全員が同じレベルである必要はなくて、後から必死でついてくる人もいれば、トレードアイデアを出すのがうまい人もいます。集団の中には周りを引っ張って行く人が数人いるので、そういう人にしっかりとぶら下がっていくのも一つの能力だと思うんです。

仲間は偉大で、相談できる相手を見つけるのは大事なんですよ。昔に比べると今は横のつながりを見つけやすい時代なので、1人でやっていくのが正解ともいえません。時にはずる賢さも必要で、自分で答えが見つからないなら、勝っている人から学ぶのも秘訣じゃないかと思っています。

─取材を15年ほど続けてきて、FX業界はここ数年で変わったと感じます。昔は連帯が薄く、上手い人は独りで勝つだけ。師弟という縦の関係が主でした。ここ何年かで団結という要素が出てきて、僕も結構それが好きです。スキャルピングの皆さんもそうだし、EAの界隈でもそうなんですよね。なるべくみんなでやろうっていう感じになってきていて、いい方向に変わったなという感覚はあります。

平井　本当にそう。得意不得意が違う人同士が力を合わせて頑張っていますね。

─平井さんのように、お金のためじゃない部分でも教えたいという、利益を独り占めしない人たちがいるんですよね。

平井　僕も同じ思いです。昨年、お金を手にして過ごしてみて分かったのは、独りで何かしても面白くないということ。やっぱり友達がいないとつまらない。少なくとも今日ここにいるメンバーと飲みに行けば気兼ねなく楽しめる。みんなで成功を分かち合う喜びは格別です。今後も独り占めではなく、楽しさや喜びを共有できる集まりを目指していきたいですね。

─もう少しトレードについて教えてください。体調とか気分がトレードに与える影響は大きいですか。

ユリ　自分自身はもちろんですが、家族やパートナーの体調とかメンタルが整っていないと、心安らかにいられないじゃないですか。なので、まずはそこをきちんと整えておくのはとても大事だと思います。

─なるほど。自動売買でさえそうですから、スキャルピングなら尚更ですよね。気持ちの切り替え、整え方で意識していることは？

鈴木　すごく負けちゃうこともあるけど、しっかり寝て、日付がリセットされればまた新しい気持ちで始められるので、あまり引きずったりはしないです。ただユリさんもおっしゃっていたように、プライベートがゴタゴタするとトレードにも影響が出たりしますね。

平井　僕らは子どもがまだ小さいから、同じような悩みを抱えている人もいると思うけど、どうですか？

橋本　家族の影響は本当に大きいですよね。例えば、奥さんがふらっと来て覗いているだけでトレードしたくなくなるし、子どもが熱を出したらそっちが気になってしまって落ち着いてトレードできないです。相場が良いときにそういう問題があると、心の持ちようが難しいです。気持ちを切り替える方法は、今でも模索し続けています。

─最後に皆さんから一言ずつお願いします。

ナオキ　僕のように損切りが苦手でも、諦めず続ければ勝てるようになる日がくると思います。損切りで悩む人は多いですし、退場してしまう原因の大半も損切りできないことじゃないですか。でも退場せず、折れずにやり続ければきっと好転していきます。もちろん全員が報われる世界ではないのですが。

鈴木　僕がFXを始めたのは、会社や組織で働くのが向いていないと感じ、もっと自由に生きたかったからです。実際に退職して専業になり、好きなときに好きなことができるようになりました。努力すれば必ず報われるわけでもないけれど、報われたときのリターンは凄まじい。今、幸せに暮らしながらそれを実感しています。同じ気持ちの人がいるなら、挑戦してほしいし、挑む価値があると伝えたいです。

橋本　僕はいまやりたいことをやって、幸せに生きるためにトレードしています。この記事を読んで僕たちが「選ばれた人」と映るかもしれませんが、そんなことはないんです。僕は特別でもなく、何かをやり遂げたわけでもなかった。そんな自分でも自分のやりたいことができるようになるのがFXだと、強く実感しています。

福元　僕はFXに出会うまで一つも成功体験がありませんでした。高校も大学も志望校には全部落ちてしまったし、大学卒業後に弁護士になりたくて司法試験のために3年間くらい就職しないでずっと勉強したんですが、それも夢叶いませんでした。

でもFXで結果が出ると、これまでの人生を肯定してくれる感覚がありました。FXには本当に夢があるし、人生を賭けて頑張る価値があると伝えたいです。

ユリ　FXに限らず金融の世界って女性は何かと敬遠しがちで、「男性がするもの」「私には難しすぎる」「旦那さんに聞かないとやっていいか分からない」という方が多いです。でも金融のことを学んでいく過程で、家庭のお財布を預かる女性として、知らないといけないことが多々出てきます。ドルや円が〜、とかだけではなくて、もっとたくさん学ぶことがあるので、女性にこそ取り組んでほしい分野です。FXは夢のある世界なので、大いに挑戦して飛躍する方が増えてほしいですね。

平井　人に教えていて痛感するのは、才能なんては要らないということですね。必要なのは努力と、ほんの少しの運くらい。だから誰にでもチャンスはあるし、この世界には確かな夢があるので、諦めずに頑張ってほしいです。

どうして僕らがこんな集団でトレードしているのかというと、成功した人間が集まればもっと大きなことができるんじゃないかと信じているからです。自分で稼いだお金は、意味のある使い方をしたい。金融でチャンスをもらった僕らは、業界のプラスになる活動をすべきだと思うからメディアにも出させてもらいますし、今日もここにいます。金融業界のさらなる発展に貢献できるよう、初心を忘れず突き進みんでいきたいです。

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