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人口世界一「インド」に投資家たちが熱視線。乗っかって急成長する日本企業5社とは?=田嶋智太郎

このところ、インドに関わるニュースが何かとメディアを賑わしている。インドの人口は今年4月に14億2,577万人余りに達し、中国を抜いて世界一になったもよう(国連推計)。人口の半数近くが20代以下で、豊富な労働力や今後の消費増加にも大いに期待がかかる。所得水準も増加傾向で、個人消費をけん引する年間可処分所得1万5,000ドル以上の上位中間層の比率が急激に高まっている。以下に、インドへの進出ならびに現地での活躍が目立つ日本企業の事例をいくつか取り上げておく。(『 田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット 田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット 』田嶋智太郎)

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※本記事は有料メルマガ『田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット』2023年10月26日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:田嶋智太郎(たじま ともたろう)
慶応義塾大学卒業後、現三菱UFJモルガン・スタンレー証券勤務を経て転身。転身後の一時期は大学教諭として「経営学概論」「生活情報論」を担当。過去30年余り、主に金融・経済全般から戦略的な企業経営、地域金融機関改革、引いては個人の資産形成、資産運用まで幅広い範囲を分析研究。民間企業や金融機関、新聞社、自治体、各種商工団体等の主催する講演会、セミナー、研修等において、累計3,000回超の講師を務めてきた。これまでに数々のテレビ番組へのレギュラー出演を経て、現在はマーケット・経済専門チャンネル『日経CNBC』のレギュラー・コメンテーターを務める。主な著書に『上昇する米国経済に乗って儲ける法』(自由国民社)などがある。

インドの高成長に乗る日本企業の展開に注目

このところ、インドに関わるニュースが何かとメディアを賑わしている。

1つは五輪の話題で、インドのモディ首相は今月14日、2036年の夏季五輪の招致をめざすと表明。36年の五輪はポーランドやインドネシアなども招致を目指しているが、インドでの開催が実現すれば冬季も含めて南アジアとして初めての開催となる。G20(22年12月から議長国)に続く新たなイベント開催によって、国内外での求心力を維持したい政権の狙いもあろうが、初の五輪開催実現は1つの成長の証とも言える。

なにしろ、インドの人口は今年4月に14億2,577万人余りに達し、中国を抜いて世界一になったもよう(国連推計)。人口の半数近くが20代以下で、豊富な労働力や今後の消費増加にも大いに期待がかかる。所得水準も増加傾向で、個人消費をけん引する年間可処分所得1万5,000ドル以上の上位中間層の比率が急激に高まっている。

14年に就任したモディ首相のしたたかな政権運営は、米中対立の中でうまく中立を保ち、サプライチェーンにおける「中国外し」の恩恵を受けやすい。また、モディ政権は外資系企業の進出を促す制度改正も矢継ぎ早に実施し、統一された物品・サービス税(GST)や会社法を整え、外資の資本規制も緩和した。むろん、日本企業による本格進出のニュースもよく目にするようになってきた。

以下に、インドへの進出ならびに現地での活躍が目立つ日本企業の事例をいくつか取り上げておく。

スズキ<7269>

「スズキ、インドをEV輸出拠点に」との大見出しが19日の日経朝刊1面トップを飾った。

同社はインドの乗用車市場でシェア4割を占める最大手。現地で低コスト生産のノウハウを構築しており、ガソリン車では既にインドからアフリカに輸出を増やし中国勢などに対抗してきた。
今後は、EVでも同様にインドから世界へ輸出する。インド向けのモデルは、気候や道路環境、経済力が近いアフリカでも通用しやすいとされる。

インド自動車工業会(SIAM)が10月16日発表した2023年4~9月の乗用車販売台数は、前年同期比7%増の207万163台と過去最高を更新。メーカー別にみると、最大手のマルチ・スズキが10%増の87万3,107台だった。

足元は、供給改善が進む中でインドにおいてSUVの新車種が好調で高い売り上げの伸びが続く。加えて、国内市場も上向いており、国内外で2輪車の販売も堅調。24年3月期の純利益について、会社側は前期比5.0%減の2,100億円を予想しているが、第1四半期(1Q)時点の進捗率は予想の39%に達しており、いずれ上方修正される公算が大きい。

スズキ<7269> 週足(SBI証券提供)

スズキ<7269> 週足(SBI証券提供)

株価は、5,600円処の上値抵抗水準を上抜け、9月半ばに年初来高値を更新(6,330円)。以降は調整局面にあるが、株価に割高感はなく、押し目買いのチャンスを狙いたい。

住友不動産<8830>

17日の日経朝刊1面に「住友不動産、インドで不動産開発5,000億円 成長取り込み」との見出しが躍った。インド・ムンバイ中心部で大型再開発に動くとのことで、総事業費5,000億円を投じ、オフィスビルやホテル、商業施設を備えた複合型の不動産開発を進める。

日本勢の新興国での開発は、これまで「住宅」などが多かった。大手各社がオフィスビル開発に力を入れてきたのは米国や日本だが、もはや中長期での高成長は期待薄。インドは2027年にも日本を抜き世界3位の経済大国になる見通しで、住友不の計画は新興国で大型オフィス開発が本格化する「転機」になる。

足元は、主力の賃貸がオフィスビルの稼働棟数増で賃料収入も伸長。また、羽田大型複合施設も収益に寄与してきた。マンション引き渡し戸数も伸び、粗利高水準。加えて、地位タイヤ住宅リフォームも好調ぶりを発揮している。加えて、ホテルやイベントホールの営業も回復している。

24年3月期は、売上高が前期比3.2%増の9,700億円、営業利益は同5.7%増の2,550億円、純利益は同8.1%増の1,750億円と過去最高を見込んでいる。

住友不動産<8830> 週足(SBI証券提供)

住友不動産<8830> 週足(SBI証券提供)

株価は2021年6月と11月に4,222円の高値をつけ、以来長らく同水準が上値抵抗として意識されている。今後、同水準を上抜けてくればそこから一気に上値余地が広がってくると見る。足元の予想PER=9.9倍、PBR=0.95倍で、株価は割安圏にあると考えられる。

Next: 人口ボーナスは強い。経済成長にともなって買われる日本企業は?

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