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サクシード Research Memo(4):課題が多く残る子育てに支援サービスを提供

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■サクシード<9256>の事業内容

2. 福祉人材支援事業
福祉の分野では、保育園数の拡充は進んだが、保育士の確保や「小1の壁」問題、障がい児支援など課題が多く残されている。福祉人材支援事業では、保育士、栄養士、学童保育指導員、児童発達支援管理責任者など福祉に関わる人材を集め、福祉人材が不足している全国の保育所、幼稚園、学童保育施設、放課後等デイサービスなどを運営する法人や自治体に紹介・派遣するサービスを展開している。

(1)保育士・栄養士・管理栄養士
少子化対策の一環として保育園の設置が進められ、待機児童は減少するようになった。しかし、多くの保育園運営会社が、運営に必要な人員を確保できていない。同社はこうした課題を解決するため、全国の保育園に対して保育士、栄養士、管理栄養士などを紹介・派遣するサービスを行っている。特徴は、クライアントに対するリクルーティングアドバイザーと求職者のカウンセリングを行うキャリアアドバイザーを同一のコーディネーターが担当するところにあり、クライアント・求職者双方のニーズをくみ取った、きめ細やかなマッチングを実現している。

(2)学童保育スタッフ
共働き世帯の増加に伴って学童保育の利用希望者が年々増えているが、利用できない待機児童も増加している(「小1の壁」問題)。このため同社は、地方自治体、社会福祉協議会、民間の学童運営企業などに対して、放課後児童支援員など学童保育スタッフの紹介・派遣を行うサービスを提供している。保育士だけでなく教員免許所持者など教育関連人材の登録者を多数有していることから、各施設に適した資格保有者を紹介・派遣できるなど、競合他社と比較して優位性のあるサービスとなっている。

(3)放課後等デイサービス
障がい児支援を目的とした放課後等デイサービスは、2012年に児童福祉法に基づいて開始した新たな支援のため、様々な企業・団体が運営に参画している。同社は、そのような企業・団体に対して、児童発達支援管理責任者や児童支援員の紹介・派遣を行うサービスを展開している。児童発達支援管理責任者は専門性が高く一定の経験が必要なため、施設の開設運営に必要であるにもかかわらず募集が難しい職種である。同社は福祉・教育業界の登録者を多数有していることから、競合他社と比較して、こうした各種資格保有者など付加価値の高い人材を紹介・派遣できる。

「個別指導学院サクシード」と「ペンタスキッズ」を展開

3. 個別指導教室事業
個別指導教室事業では、「これからの社会で活躍する子どもたちのために」をモットーに、一人ひとりに合わせた学習指導を行う学習塾「個別指導学院サクシード」と学習塾付き学童クラブ「ペンタスkids(ペンタスキッズ)」を展開している。同社は、人材サービス事業で集めた人材を活用できるため、低い募集コストで講師を確保できる。

(1)「個別指導学院サクシード」の運営
「個別指導学院サクシード」では、神奈川県内を中心に34校(2026年3月期中間期末)の地域密着型個別指導教室を展開している。小学校1年生から大学受験生までを対象に、学校の補習や受験対策、各種検定の対策など個々のニーズに応じた授業を提供している。また、「すべての子どもたちに質の高い教育を」というポリシーのもと、価格を低く抑えるため、講師1人に生徒3人の授業スタイルを採用している。これは、経済格差が教育格差になってはならないという起業当時の思いから、授業の質を落とさず生徒1人当たりの授業料の低価格化を実現するとともに、集団授業では手の届きにくい生徒一人ひとりの進路や学習状況に応じたカリキュラムを提供することで、自主的に学習できる子どもに育ってほしいと願って構築したシステムである。こうしたシステムを支えるためには優秀な講師が必要となるが、同社は教育関連の人材サービスも行っているため、数多くの優秀な講師を確保している。また、授業カリキュラムや講師管理など教室運営のすべてを従業員に細かく研修することで授業の質の均一化を図っているため、生徒や父兄が満足するサービスを持続することができ、生徒数や教室数、売上高の増加につながっている。

首都圏で生徒人口が増加している新興住宅地を抱えるエリアに集中出店するドミナント戦略を展開しており、短中期的に首都圏と中京圏※、長期的には全国へ出店していく計画である。なお、「個別指導学院サクシード」は内装などの投資額が30百万円~40百万円に抑えられるため、40ブース程度(1教室当たり在籍生徒数100~150人)の標準的なモデルであれば、一般の小売や飲食店に比べて圧倒的に投資回収期間が短い。プロモーションについては、新規エリアは認知度向上のためチラシを含めて強めに打つが、既存店はWebマーケティングが中心のため、どのエリアも変わらない低い水準である。このように初期コストを抑えることが可能なうえ、生徒数は出店から2~3年をかけて徐々に伸びた後に安定することから、一旦黒字化すると高い収益性を継続する傾向がある。また、生徒一人ひとりの進路や学習状況に応じてカリキュラムを提供しているため、集団指導に比べると顧客単価が高くなる傾向がある。

※ 東海地区での個別指導教室の開発と家庭教師サービスの拡大を目的に、2025年11月に名古屋に東海支社を開設。

(2)「ペンタスキッズ」の運営
「ペンタスキッズ」は、神奈川県で3校(2026年3月期中間期末)を運営する学童クラブである。一般的な学童の機能に学習塾と習い事をパッケージしたハイブリッド型のため、毎日の学習カリキュラムのほか、英会話、プログラミング、体操教室、思考・表現ワークショップなども含まれる。また、学習塾部門が母体のため、経験豊富な講師陣と個別指導教室で確立した指導ノウハウを提供できる。このため、教育意識が高く放課後の時間を有効に使いたい保護者に好評である。現在、新たな出店を検討している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田 仁光)
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