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西部ガス Research Memo(3):都市ガス事業を中心として電力・不動産など多様な事業を手掛ける

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■西部ガスホールディングス<9536>の事業概要

同社グループは主力のガス事業のほか幅広い事業を手掛けており、報告セグメントとして、ガス事業、LPG事業、電力・その他エネルギー事業、不動産事業の4事業があり、このほか報告セグメントに含まれない事業として、食品販売、情報処理、飲食店等がある。このうち、都市ガス事業を中心とするガス事業が主力事業になる。

1. ガス事業
都市ガス販売、都市ガス機器販売、ガス配管工事、LNG販売を行っている。事業の中心は都市ガス販売で、ひびきLNG基地でLNGを受け入れ、北部九州の供給エリアに都市ガスを供給している。子会社の西部ガスがガスの製造、供給及び販売を行い、子会社の西部ガス熊本、西部ガス長崎、西部ガス佐世保は、西部ガスから購入したLNGにより製造したガスの販売を行う※。久留米ガス(株)及び大牟田ガス(株)は、グループ会社から購入した製品ガスにより、ガスの供給及び販売を行っている。このほか、子会社のひびきエル・エヌ・ジー(株)及び九州ガス圧送(株)が、西部ガス等よりガスの製造を受託している。

※ LNG供給に際しては、ローリーを利用。

最大の需要地である福岡エリアでは、2020年12月に高圧輸送導管である九州北部幹線(九北幹線)の供用が開始され、ひびきLNG基地から福岡エリアまでの高圧輸送導管の複線化を実現した。導管網は収益性の観点から人口密度や産業集積度が高い都市部を中心に整備されたため、ひびきLNG基地から導管で直接供給できるエリアは、主に福岡エリアと北九州エリアに限られる。ほかの多くのエリアは、ローリーで供給されたLNGからガスを製造したうえで、導管を通じてガスを販売している。

ひびきLNG基地は2014年11月から運用を開始しており、世界最大級のLNGタンカーが入港できる桟橋を備えている。敷地面積は約326,000m2、18万kLのLNGタンク2基を敷設している。2025年12月には、同基地における大型LNGタンカー向けサービスが累計50隻目に到達するなど、着実に運用実績を積み重ねている。

同基地の運営は、ひびきエル・エヌ・ジー(同社子会社、出資比率は同社90%、九州電力10%)が担っており、海外からLNGを受入れ貯蔵し、都市ガスに加工して導管網を通じて福岡・北九州地区へ供給するほか、グループ各社や他のガス事業者、産業向けにローリー車でLNG出荷を行うなど、グループのエネルギー事業の中核を担っている。2024年11月には3号LNGタンク(23万kL)の増設等による同基地の能力増強実施が決定された。総事業費として約500億円を見込み、2030年3月期上期の運転開始を計画している。なお、主にマレーシアや東京ガス等からLNGを調達しているため中東情勢の影響は想定されず、現状では相応の競争力を持つ調達ができていると推察される。また、能力増強後のLNG調達の動向にも注意を払う必要がある。

2025年4月には西部ガスがJERAと、ひびきLNG基地の戦略的活用などに関する提携について合意しており、3号LNGタンク増設による需要獲得や安定供給への対応だけでなく、JERAと同タンクを活用することで両社のLNG相互融通が可能となり、同基地の安定的な事業運営と収益確保が期待できる。この提携に沿い、同年11月には両社で初めてLNG相互融通取引を実施した。

なお、電力・ガスシステム改革の一環として、2017年4月からガスの小売全面自由化が実施され、都市ガス小売事業に電力やLPガス等の事業者が新規参入したが、その影響はおおむね限定的と見られる。ガスの小売全面自由化後も、原料費調整制度などの下、都市ガス事業を中心に安定的収益を確保できることが、同社の信用力を支える大きな要因と考えられる。

2. LPG事業
LPG販売、LPG機器販売並びにこれに伴う工事施工を行っている。子会社の西部ガスエネルギー(株)が、LPG及びLPG用ガス機器の販売並びにこれに伴う工事の施工等を行っている。また、西部ガスに対して都市ガス原料用のLPGを販売している。なお、2021年4月から新たなグループ体制に移行した際、地域に根差した事業体制の構築を行い、都市ガス・LPGの各エネルギー事業を集約して顧客の要望にワンストップで応えられるよう、西部ガス熊本、西部ガス長崎、西部ガス佐世保の3社を設立した経緯がある。このため、福岡・北九州の事業エリアでは、従来と同様に、都市ガスは西部ガス、LPGは西部ガスエネルギーが供給するが、熊本・長崎・佐世保の事業エリアでは、各子会社が都市ガスとLPG直売を兼ねる体制となった。

3. 電力・その他エネルギー事業
電力販売、熱供給事業、再生可能エネルギー事業、国際エネルギー事業を行っている。子会社のエネ・シード及びエネ・シードひびき(株)が太陽光等再生可能エネルギーによる発電事業を、子会社の西部ガステクノソリューション(株)が熱供給事業を手掛けている。同社グループの再生可能エネルギー事業は、2012年4月に完全子会社のエネ・シードを設立したことに始まり、九州を中心として23ヶ所の太陽光発電所(発電規模:54.4MW)と、1ヶ所の風力発電所(同4.0MW)を運用している。このうち、発電規模ではエネ・シードひびき太陽光発電所の22.4MWが最大であり、同発電所を運用する子会社のエネ・シードひびきはAGC<5201>との共同出資となっている。

2026年3月2日には、西部ガスが一部出資する(同社出資比率10%、最大出資は電源開発<9513>の40%)ひびきウインドエナジー(株)が北九州響灘洋上ウインドファームの営業運転を開始した。営業運転開始時点では国内最大規模の洋上風力発電所となり、今後、設備容量9,600kWの大型風車25基、最大出力22万kWの発電所として、20年間にわたり発電事業を行う計画である。同社グループの出資比率は小さいが、カーボンニュートラルの取り組みの1つという側面もある。このほか、ひびき発電所が2026年3月末から営業運転を開始した。同発電所は西部ガスと九州電力が共同出資する「ひびき発電合同会社」(議決権所有割合は、西部ガス:20%、九州電力:80%)が運営する最新鋭のLNGコンバインドサイクル発電所であり、62万kW×1基の発電規模を持つ。これに伴い、同社グループが手掛ける電力販売事業における電源調達の大部分について、自社電源による安定的調達が可能になるほか、隣接地で同発電所にLNGを供給するひびきLNG基地の稼働率向上も期待できる。

また、国際エネルギー事業においては、東アジア諸国に最も近いひびきLNG基地の地理的優位性を活かし、アジア諸国の低・脱炭素化に伴うLNG需要の拡大を取り込むため、基地を活用したLNG船による再出荷のビジネスや、LNGタンカーが定期検査などから戻った際に実施される前処理作業のガスアップ・クールダウンにも取り組んでいる。

4. 不動産事業
不動産販売・賃貸及び管理、住宅建築、宅地開発を行っている。2020年10月に子会社の西部ガス都市開発(株)に不動産賃貸事業を集約して競争力強化を図っており、オフィスビル賃貸、賃貸物流倉庫、賃貸住宅、商業施設の企画・開発などを幅広く手掛けている。また、子会社の(株)エス トラストが九州・山口地域を中心に分譲マンション「オーヴィジョン」シリーズを展開するほか、子会社の九州八重洲(株)が、福岡都市圏で戸建分譲「ジョイナス」シリーズを展開している。海外ではタイの子会社が戸建分譲事業等を手掛けている。

5. その他事業
連結子会社として、SGインキュベート第2号投資事業有限責任組合、同第1号、同第3号が投資事業を展開し、(株)八仙閣が飲食店を経営、西部ガス情報システム(株)が情報処理サービス等を提供するほか、持分法適用関連会社では、グリーンランドリゾート(株)が遊園地及びゴルフ場を経営、(株)マルタイが即席めんの製造及び販売を行っている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 古川 聖治)
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