■事業概要
1. コネクタ、スイッチなどの接続部品の市場動向
SMK<6798>の代表的な製品は電子部品のなかでも接続部品である。接続部品市場にはスイッチ(電気機器や電子回路の通電状態をオン・オフに切り替えたりする部品)やコネクタ(充電時に差し込むものをはじめ、基板同士の接続やメモリカードの接続も行う部品)が含まれる。これらの電子部品は2010年代以降にスマートフォンやタブレット、カーエレクトロニクス等の進化と普及に伴って発展してきた。求められる機能も高度になり小型化・信号の高速化・多機能化・高機能化が進展している。2025年度の接続部品のグローバル出荷額は9,989億円((一社)電子情報技術産業協会)と安定的な推移が見られた。今後も、自動運転の高度化、AI・ロボットの普及、6G通信の普及などの成長分野では、需要の拡大が見込まれる。
2. 製品の特徴とコア技術
同社の主な製品は、各種コネクタ、リモコン、カメラモジュール、ユニット、スイッチ、無線モジュールなどの電子部品である。同社の部品が搭載される機器としては、スマートフォン、タブレット、ウェアラブル機器などの電子機器や自動車、E-Bike、家電、住設機器、太陽光発電装置などで、様々な機器がデジタル化するなかで多様化している。標準化された電子部品はコモディティ化による価格競争に陥りやすいが、同社は顧客の要望を反映したカスタム品の製造に注力することで、その競争を巧みに回避している。同社のコア技術は、以下である。
・コネクタ開発で培った接続技術
・リモコン等の開発で培った無線技術
・操作スイッチ等の開発で培ったインプット技術
・各種ユニット開発で培ったモジュール化技術
これらのコア技術に「センシング技術」「高周波技術」「アルゴリズム」を融合させることで、新たな市場への参入や新規事業の創出をめざしている。
3. 顧客の業種、地域展開
同社は約100年の歴史を通じて顧客の開拓と製品の開発・提供を重ね、自動車業界やエレクトロニクス・家電業界から非エレクトロニクス分野に至るまで、幅広い業界において事業を展開している。2026年3月期の市場別の売上構成比では、家電市場が41.3%と最大で、車載市場35.7%、情報通信市場12.1%、産機・その他市場10.9%と続く。地域別では、日本が37.2%で最大で、北米20.1%、中国21.6%、その他アジア(含む台湾)16.9%、欧州4.2%であった。海外売上が6割を超えるのに対して海外生産の比率も6割~7割を占めており、地産地消の方針の下、現地に根差したグローバル化が進んでいる。
4. CS事業部の特長と業績動向
CS事業部が手掛ける各種コネクタは創業期から続く主力製品であり、優れた技術力と安定した業績によって、同社の経営を支える屋台骨となっている。市場別では車載市場の売上構成比が46.9%、情報通信市場が25.5%であり、2分野で全体のほぼ4分の3を占める。車載分野の電動化に伴い、BMSの軽量・薄型化に貢献する製品や、ADASへの需要が拡大している。そのため、車載カメラ用コネクタやロック付きFPCコネクタなどが今後の成長分野として注目される。一方、情報通信分野では、スマートフォンやウェアラブル機器向けに、さらなる小型・薄型化と高速・高周波対応の製品への要求が高まっている。
同事業部の強みは100年で磨き上げてきた技術力であり、具体的には、1) 小型・高速伝送設計(情報通信市場で培った業界最小・最速通信コネクタの開発、高信頼性)、2) カスタム対応(独自構造+Flexibleなカスタム対応、豊富な実績)、3) 自動化(高速・高品質での汎用性の高い設備開発、コスト対応力・納期対応力)の3点が挙げられる。車載カメラ用コネクタでは、同社は高い市場シェアを獲得している。
CS事業部の売上高は近年比較的安定して推移してきた。製品のポートフォリオは、コロナ禍でのリモートワークによる情報端末の需要増や自動車販売台数の減少、中国経済の動向などのマクロ要因から顧客企業の製品のライフサイクルや、売れ行きなどのミクロ要因まで様々な要因で変化してきており、結果として利益の変動も大きい。2026年3月期は、主力の車載分野が好調に推移したのに加え、家電分野(アミューズメント関連)や産機分野(再生可能エネルギー関連)などが好調に推移したが、情報通信分野(スマートフォン向け)が減少したことなどから、売上高が22,520百万円(前期比1.6%増)、セグメント利益が1,187百万円(同22.6%減)と増収減益であった。
5. SCI事業部の特長と業績動向
SCI事業部が手掛ける製品はリモコン、スイッチ、カメラモジュールなどで、多様な製品ラインナップがある。市場別では家電市場の売上構成比が64.5%と高く、車載市場が25.3%と続く。住設や家電機器のリモコンにおいては日系の電子部品メーカーの撤退が相次いだが、同社は高機能リモコンに活路を見出し勝ち残ってきた。現在の市場環境として、環境対応製品へのシフトの加速や安全・健康・見守りに対する意識の高まりがトレンドになっており、センシング技術やAIなどを活用して高付加価値な機能・製品が求められている。同社ではオリジナルのミリ波センサーMilweb(R)を基盤に、保有する技術やAIとの融合による新製品開発や新規ビジネスの開拓を進めている。現在、ミリ波センサーを活用して非接触で睡眠深度が測定できるMilweb(R) Sleepを開発し実証実験を実施している。また、LoRaWAN通信を応用した製品として、LoRaWAN(R)対応GPS Tracker -Liteを開発した。GNSSによる位置把握とSOS機能を備え、大規模農園等の作業員の安全管理と業務効率化を支援するもので、現在顧客と共同で実証実験を実施中である。
同事業部の強みはこれまで培ってきた重層的な技術力と製品力であり、具体的には、1) 製品の多様性(基礎技術を幅広く保有し、複合・応用対応が可能)、2) ワンストップサービスの提供(営業・開発・生産・販売を完結できる一貫体制を確立)、3) リスク対策(多拠点生産によるBCP対応が可能)が挙げられる。
SCI事業部の売上高は、近年大きく変動し、ダウントレンドで推移してきた。中国市場の停滞やコロナ禍の影響といったマクロ要因に加え、顧客企業における在庫調整や販売不振などのミクロ要因が重なっている。2026年3月期は、車両用・E-bike用ユニットやサニタリー用リモコンが好調に推移した一方で、スマート家電・住設用ユニットが減少し、売上高が25,621百万円(前期比0.1%減)、セグメント損失が378百万円(前期は1,308百万円の損失)と、セグメント損失を計上しているものの収益性は大幅に改善した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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