地域新聞社<2164>の業績が順調に推移している。正式な決算は7月に入ってからとなるが、2026 年8月期第3四半期業績数値(速報)を開示している。従業員持株会への会社からの補助が50%と高率であり、従業員とともに株価を意識する体制に移行していることから、役職員に適用しているインサイダー取引防止のための社内売買制限を解除するため、例外的に業績速報値を開示した形となる。
2026 年8月期第3四半期業績数値(速報)の売上高は前年同期比7.9%増の2,524百万円、営業利益は同119.9%増の69百万円と大幅増益となっている。2026年8月期は、売上高で前期比11.0%増の3,500百万円が見込まれている。予想の開示は売上高のみとなる。「Strategic Plan」に基づき進めてきた各種施策が次の成長フェーズへ移行するにあたり、先行投資やM&Aも絡んでくるための開示手法であろう。したがって、最終四半期に投資が実行される可能性は残るが、実力値として通年で100百万円~200百万円の営業利益を出せるように見える状況は確認できた。
したがって、将来株価のイメージには、新機軸がもう一段形になった後に発表されるであろう中期経営計画が待たれるところであるが、初動からは数年後の数億円の利益が想定される状況にはあるという見方は不変となる。各種取り組みが利益の増加を加速させる可能性は残すものの、巡航速度だと2028年3月期の先行投資を除外した営業利益を300百万円程度とした場合、最終年度で保守的にPER15倍と見積もる、もしくはPEGレシオ1倍程度まで評価すると、30~50億円程度の時価総額がイメージできることとなる。目標とする時価総額100億円を達成する際は、各種取り組みが利益の増加を加速させている状況となる。現状の時価総額である約25億円には、巡航速度で2倍、各種取り組みが利益の増加を加速させている状況でさらに2倍の上値余地があるということになる。
なお、地域新聞社は2024年2月に新代表として代表取締役社長の細谷佳津年氏が就任、同社が潜在的に持つアセット(フリーペーパー事業における2,500名近い配送スタッフ、174万世帯のカバー、6万人の読者とのインタラクティブなつながり、7,000社との取引、5拠点40エリアの営業網、130人の地域ライター、制作・校閲力、配送網)に光をあて企業価値の再定義を推進、2025年8月期は投資を先行しつつも利益が大幅に増加、再成長軌道に乗ったことが確認できた。今2026年8月期は先行投資を積極化しつつ、一段の成長をかためる一年となる。
アセット活用による2つの戦略(アライアンスによって千葉県内から県外/県外から県内へと価値を橋渡しする「シーパワー戦略」、千葉県内で価値循環を図る「ランドパワー戦略」)を進め、既述の通りアライアンスでは、実績が急激に積み上がりつつある。誌面ペルソナデータベース×AI活用(特許番号:特許第7785439号、「生成AIを活用した心理状態デジタルツインによる介入効果最大化技術」に関する特許を権利化)、クラウドファンディング×記事、地域共創プラットフォーム、奨学金返済支援サービスも絡んだ人材紹介ビジネスである「奨学金バンク」などの新機軸も矢継ぎ早に打ち出している。
企業が地域新聞社と株式を交換することで事業承継をスムーズに進める地域共創プラットフォームでは、元オーナー社長が譲り渡す企業の黄金株を保有して、自身の経営理念や方針を貫けるよう、重要な経営判断に対して拒否権を行使できる仕組みにくわえ、スピンオフ上場の構想も具備された。バージョンアップが進んでいるこの仕組みは、文化放送主催「中小企業ビジネス&イノベーションアワード2025」にてネクストヒーロー賞(次の時代の大きく飛躍しそうな社に贈られる賞)を受賞している。東京証券取引所スタンダード市場への市場変更に加え、福岡証券取引所本則市場へ上場(4月15日上場)したのは、福岡市とスタートアップ支援および新産業創出を官民一体で推進することも狙いである。株主優待では、「ちいきの逸品」で利用可能な割引券や千葉県を中心に10店舗で使用できる割引券を導入している。地域共創の理念に合う施策であるとともに、株主優待利回りは242%に達する。
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