■要約
エヌ・シー・エヌ<7057>は、木造建築の耐震性を確保するための高度な構造計算を事業化している。同時に、構造計算された耐震性の高い木造建築を実現するため、SE構法を提供している。SE構法は、鉄骨造やRC造(鉄筋コンクリート構造)で主流のラーメン構法(骨組みとなる部材の各接合箇所を剛接合した構造)を木造住宅に応用した同社独自の建築システムである。工務店を中心としたSE構法登録施工店ネットワークを通じて提供している。また木造建築の耐震設計ノウハウを幼稚園や老人介護施設、店舗やオフィスなど住宅以外の大規模木造建築へ転用し、事業規模を拡大している。
1. 2026年3月期の業績
2026年3月期の連結業績は、売上高8,414百万円(前期比3.6%増)、売上総利益2,279百万円(同5.4%増)、営業利益152百万円(同14.6%減)、経常利益187百万円(同36.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益144百万円(同25.2%減)と、売上高は増収、売上総利益は増益となったものの、営業利益以下は減益で着地した。2026年3月期第3四半期決算発表時に下方修正した通期業績予想に対しては、売上高がおおむね修正予想どおりの着地となったが、利益面は親会社株主に帰属する当期純利益を除いて未達となった。その主因となる住宅事業では、建築基準法改正に伴う建築確認申請基準の改定により建築確認審査の停滞が予想以上に長期化したほか、インフレ懸念等による景況感悪化が登録施工店における集客減少を招き、構造計算出荷数に影響を及ぼした。
2. 2027年3月期の業績予想
2027年3月期の連結業績は、売上高9,310百万円(前期比10.6%増)、営業利益308百万円(同102.5%増)、経常利益348百万円(同85.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益246百万円(同69.9%増)と増収増益を見込む。2026年3月末の建築基準法での木造住宅壁量計算等の経過措置終了に伴い、同年4月から在来工法※1やツーバイフォー工法※2では必要壁量が1.4倍に増加した。そのため、バージョンアップによって必要壁量を最小限に抑え、間取りの自由度を広げられるSE構法は、さらにその優位性が高まる見通しである。加えて、2026年3月期からのSE構法の受注ストック増加や、登録施工店数の増加も大きく寄与し、2026年3月期比でSE構法出荷数の伸びを見込み、売上高は同15.0%増を予想している。利益面は増収効果等で前期からの回復を見通す。建築業界では中東情勢をきっかけとした建築資材供給の不安が残る状況であるが、同社は期初予想時点で建築資材の価格上昇はあるものの、材料不足による着工遅延はないとしており、業績予想にこの影響を織り込んでいない。
※1 柱と梁によって建物を支える、「線」で構成される古くからの伝統工法。
※2 床、壁、屋根の各「面」が一体となり建物を支える枠組み壁工法の1つ。
3. 今後の成長戦略
新たな中期経営計画については、新設住宅着工戸数の推移、建築基準法改正に伴う審査停滞の影響の終息、不透明な中東情勢といった諸要素を勘案のうえ、適切な時期に策定内容を発表する予定である。今後の成長戦略として、住宅分野では、法改正を味方にSE構法の新バージョン「SE構法Ver.3」の拡販や「重量木骨の家」のブランド化を推進する。大規模木造建築(非住宅)分野では、「大規模木造建築ネットワーク」や「中大規模木造ビルディングサポートセンター」の機能を活用し、大規模木造建築に関するニーズを発掘するほか、他社との提携を積極的に進め、同分野を将来の成長の柱として育成する。環境設計分野では、すべての新築建築物への省エネ基準適合義務化を追い風とし、登録施工店ネットワークを通じた販売拡大策を展開する。また、成長が見込める中古マンションリノベーション市場に対し、大手マンション再販事業者等との提携を進め、中古マンションの省エネ対応の潮流を捉え、業績拡大を図る。
■Key Points
・2026年3月期は増収、法改正の影響等から営業利益以下は減益
・2027年3月期は増収増益予想。法改正を追い風に住宅・非住宅分野で受注増を計画
・新中計は不透明な市場環境を受け公表を見合わせ。非住宅分野を今後の成長の柱として推進
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬 智一)
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