■要約
藤商事<6257>は、パチンコ・パチスロ遊技機の中堅メーカーで、独創的な企画開発力に定評がある。「アニメ」「萌え」「ホラー」のIPを活用した機種開発に注力し、販売シェア拡大を目指す。無借金経営で手元キャッシュも厚く、財務の健全性は高い。
1. 2026年3月期の業績概要
2026年3月期の連結業績は、売上高が前期比32.0%減の23,542百万円、営業損失が3,902百万円(前期は3,192百万円の利益)と大幅な減収減益となり、期初計画(売上高36,500百万円、営業利益3,100百万円)に対しても大幅な未達となった。遊技ホール数の減少とともに、パチンコ・パチスロ遊技機器の需要低迷が続くなか、同社の販売台数もパチンコ遊技機が同43.7%減の42千台、パチスロ遊技機が同26.7%減の13千台とそれぞれ減少したことに加え、研究開発費が同1,770百万円増加したことが収益悪化要因となった。会社計画比でも新機種の販売が総じて振るわなかったことに加えて、パチスロ遊技機で1機種投入を延期したことが下振れ要因となった。
2. 2027年3月期の業績見通し
2027年3月期の業績は売上高が前期比67.8%増の39,500百万円、営業利益が3,000百万円とV字回復する見通しである。市場環境は引き続き厳しい状況にあるが、「アニメ」ジャンルを中心にパチンコ遊技機で同35.6%増の57千台、パチスロ遊技機で同114.5%増の28千台と販売台数を伸ばす計画である。パチンコ遊技機ではイヤホンジャックを搭載した新枠を投入する予定である。イヤホンを使用することでユーザーは周囲の音を気にせず、迫力や臨場感の増した没入型の遊技を楽しむことができる。また、パチスロ遊技機では投入機種数を前期から1機種増やし3機種とする計画である。費用面では、半導体メモリ価格高騰による材料コスト増が懸念されるが、部材の共通化やリユース品の採用、外注費の削減等で吸収する方針である。また、研究開発費が同529百万円減少する見込みで、増益要因となる。
3. 成長戦略
顧客ニーズが、高射幸性からより楽しく遊べる遊技機に変化していることを受け、同社は、娯楽性を重視するニーズを反映した新機種開発に注力する方針である。また、「アニメ」ジャンルの開発をさらに強化すべく、2026年4月にアニメの音響制作、及び宣伝プロデュース、作品出資等を行う子会社、(株)Gene Entertainmentを設立した。アニメの制作工程から参画することで、アニメ関連領域への理解と関係構築を進めるほか、製作委員会への出資によるリターンも見込んでおり、3年後の黒字化を目指している。現在、遊技機業界ではヒット機種の大半が「アニメ」ジャンルで占められており、同領域を強化することで販売シェア拡大を狙う。また、需要が底堅く推移しているパチスロ遊技機については、2028年3月期以降、年間4機種ペースで新機種を投入できる体制が整い、さらなる売上拡大が期待される。ここ数年の販売シェアはパチンコ遊技機で5〜9%、パチスロ遊技機で2〜3%と低く、市場全体で停滞が続いたとしてもシェア拡大による成長余地は大きい。販売シェアの目標としては、パチンコ遊技機で10%以上、パチスロ遊技機で5%以上を掲げている。
4. 株主還元策と企業価値向上に向けた取り組み
同社は配当方針として、1株当たり50.0円を下限に業績連動部分として連結配当性向30%以上を目安とする方針を示している。2026年3月期の1株当たり配当金は、大幅な損失を計上したことを受け下限となる50.0円を実施した。2027年3月期は創立60周年の記念配当5.0円を上乗せし、55.0円(配当性向54.8%)とする予定だ。同社の株価はPBRで1倍を下回っているが、今後も経常利益で30億円以上の水準を継続し(株主資本コストを上回るROE)、配当方針の継続やIR活動の強化に取り組むことで企業価値を高めていく考えだ。
■Key Points
・2026年3月期は厳しい環境下で販売が低迷、4期ぶりに損失を計上
・2027年3月期は娯楽性を高めた新機種投入でV字回復を目指す
・アニメ系ジャンルの強化を目的に新子会社を設立
・2027年3月期の1株当たり配当金は記念配当5.0円を付加し55.0円を予定
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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