■今後の見通し
1. 2027年5月期の業績見通し
E・Jホールディングス<2153>の2027年5月期の連結業績は、売上高で前期比5.2%増の49,000百万円、営業利益で同13.5%増の5,300百万円、経常利益で同9.8%増の5,300百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同9.7%増の3,700百万円と、3期連続の増収増益を計画している。
前提となる2026年度の国土交通省の予算において、公共事業関係費は6.1兆円と前年度並みの規模が確保されていることに加え、海外向けとなるODA予算も前年度比3%増が計画されている。さらに、第1次国土強靭化実施中期計画(2026年度以降5年間で20兆円強の事業規模)に伴う各種施策の展開も見込まれており、同社を取り巻く経営環境は引き続き底堅く推移する見通しだ。
こうしたなか、受注高については同7.0%増の49,000百万円を計画しており、このうち重点6分野については同9.2%増の31,575百万円を見込んでいる。引き続き同社が得意とする防災・減災、社会インフラ整備、環境アセスメントなどをテーマとした案件を中心に受注拡大を図る。また、課題となっている技術提案型業務についても採択率の向上に取り組み、同12.9%増の15,798百万円を目指す。加えて、地方自治体との連携協定を通じた地方創生やGXなど官民一体のアプローチにより地域課題を抽出し、案件獲得につなげる。海外事業については得意分野の拡大、並びに得意地域における拠点現地化を推進し、事業基盤を強化する。
売上高に関しては、人員体制の強化を進めながら豊富な受注残(前期末で30,677百万円)に対応しつつ、AIやドローンなど先端技術の活用による生産性向上を図る。発注機関別の前期比増減率は、中央省庁で4.7%増、都道府県で5.6%増、市町村で0.4%増、民間で7.5%増、海外で15.1%増を見込む。
売上原価率は、労務費の増加を主因として前期比0.2ポイント上昇の66.5%を計画している。技術者の賃金アップ率は前期の5.5%から4.3%に鈍化するものの、人員増加(技術者数は前期末比4.0%増の1,566人を計画)により、労務費全体では8%強の増加を見込んでいる。一方、販管費率は同1.0ポイント低下の22.7%を計画している。人材育成や研究開発投資は継続するものの、DX推進による間接コストの低減を見込んでいる。販管費率の改善により、営業利益率は同0.8ポイント上昇の10.8%となる見通しだ。
なお、同社は2026年7月末に気象工学研究所の全株式を取得し、連結子会社化したが、今回の業績計画には織り込んでいない。2027年5月期業績への影響を軽微としているが、2026年3月期の業績は売上高で1,085百万円、営業利益で276百万円となっており、バランスシートも純資産で1,514百万円、総資産で1,837百万円、自己資本比率で80%超と財務体質も良好である。高度な気象解析・予測技術、研究基盤及び関連プロダクトに強みを持ち、電力会社のほか官公庁分野でも豊富な実績を積み上げてきた。同社はこれらの技術リソースやノウハウをグループに取り込むことで、重点分野として位置付けている自然災害リスク軽減分野や環境・エネルギー分野において新たなソリューションを提供し、受注拡大を進める。のれんについては確定していないものの、弊社では、のれん償却額を差し引いても増益に寄与すると見ている。
また、同社は2025年10月に広域Wi-Fi通信インフラの構築及びサービスの提供を行うベンチャー企業のDX通信(株)と資本・業務提携を締結し、約10%の株式を取得した。同社グループで展開している地方自治体の防災・減災計画や地方創生支援、インフラDXなどに、DX通信の広域Wi-Fi技術やその周辺の最新通信技術を組み合わせることで、より高度なソリューションを提供し、受注拡大につなげるねらいだ。既に千葉県下の小規模自治体における広域Wi-Fiのインフラ構築プロジェクトにおいて共同での参画を検討している。
一方、2026年8月には、持分法適用関連会社である演算工房の保有株式538千株のすべてを鹿島建設に譲渡することを決議した。譲渡価額は2,708百万円で、譲渡実行日は2026年8月末を予定している。演算工房の2025年6月期業績は売上高3,492百万円、経常利益426百万円、当期純利益317百万円となっている。譲渡実行後は持分法による投資損益への寄与がなくなり、株式売却に伴う損益も発生する。2027年5月期業績への影響について、同社は現在精査中としている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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