fbpx

ラクーンHD、「ラクーンBtoBネットワーク」構想を推進 M&A・アライアンスを活用し、多角的なサービス提供を目指す

マネーボイス 必読の記事

2026年9月5日にログミーFinance主催で行われた、第141回 個人投資家向けIRセミナーの第2部・株式会社ラクーンホールディングスの講演の内容を書き起こしでお伝えします。

企業概要

今野智氏(以下、今野):株式会社ラクーンホールディングス取締役財務担当副社長の今野です。まずは、会社の概要をご説明します。

当社は東京都中央区に本社を構えています。従業員数は約250名で、プライム市場に上場している企業としては比較的小規模な会社です。当社は持株会社であり、100パーセント子会社として、株式会社ラクーンコマースと株式会社ラクーンフィナンシャルの2社を保有しています。

スライド左側に、経営理念を記載しています。これは我々が重視している部分であり、「企業活動を効率化し便利にする」という経営理念を掲げています。

事業の紹介

今野:経営理念の意味についてです。我々は中小零細企業をお客さまとしている企業です。中小企業や零細企業は、事業展開を進める中で不便を感じる部分が多々あります。

例えば、IT分野のノウハウが十分でなかったり、人員や資金が不足していたり、金融分野の知識が乏しいといった企業も多く存在します。その結果、場合によっては非効率な経営を行っているケースも見受けられます。

我々は、IT分野と金融分野のノウハウを活用し、中小零細企業の事業環境をより良くすることを目指して事業を展開しています。

具体的な事業内容としては、大きく分けて2つあります。1つはEC事業(Eコマース事業)で、その中でもBtoB分野に特化しています。

アパレルや雑貨などの商品を事業者に卸売りたいメーカーと、消費者に販売するために仕入れを行いたい事業者(主に小売店)を、国内・海外を問わずつなぐビジネスです。これが「スーパーデリバリー」というサービスです。

昨年の実績では、年間購入者数は6万6,000事業者、サプライヤーは3,300社、年間流通額は310億円を達成しました。

もう1つはフィナンシャル事業です。こちらもBtoB向けで、企業間で決済を行う際、基本的には後払い決済が一般的です。その際、売り手側で与信リスク、いわゆる未回収リスクを懸念するケースがあります。

「Paid(ペイド)」というサービスは、当社が代行してお金のやり取りを行い、未回収や貸し倒れ、デフォルトと呼ばれるリスクを負担する仕組みです。また、このリスク部分のみを当社が保険のようにカバーするビジネスが「URIHO(ウリホ)」です。

「Paid」の年間取扱高は昨年実績で605億円、「URIHO」の保証残高、つまり当社が保証している金額の総額は764億円となっています。

沿革と業績推移

今野:沿革について簡単にご説明します。我々はいわゆる世間でIT企業と称されることが多いですが、その中では比較的歴史のある企業だと思います。創業は1993年です。

当初は在庫に関するビジネスを展開していました。インターネットを活用して在庫品を安く効率的に流通させるビジネスで、「オンライン激安問屋」というシンプルな名前のサービスを提供し、その後、現在の「スーパーデリバリー」というサイトへと進化しました。

「スーパーデリバリー」のビジネスを通じて、BtoB取引では受注や出荷だけでなく、その後のお金のやり取りがどうしても必要になることがわかりました。ここが便利でないと、インターネットを活用して便利になった部分も結局不便になるという状況がありました。

そこで、M&Aを活用し、金融分野やフィナンシャル事業に進出しました。「Paid」「URIHO」を展開し始めたのは2010年頃です。

売上については、実績ベースの話になりますが、基本的にEC事業もフィナンシャル事業も積み上げていくビジネスモデルのため、比較的安定して売上は伸びてきており、伸ばしやすい事業だとご理解いただければと思います。

2027年4月期(今期)業績予想

今野:今期の業績予想です。今期、我々は1つ大きな挑戦をしています。先ほど売上が積み上がっていくというお話をしましたが、利益についても、よほど無理をしない限り減益しにくい構造になっています。売上総利益率が比較的高いため、売上が伸びれば利益も着実に増加するというのが基本的な構造です。

しかし、今期は思い切って広告宣伝、販売促進などのプロモーションに大きく踏み込んでいます。その結果、昨年は1桁であった売上成長率が今期は14.1パーセントに伸びる一方で、利益については減益を計画しています。現在すでに広告や販売促進活動を積極的に行っています。

今期は一時的に減益となる見込みですが、売上成長率は上がっており、実際に第1四半期では成長を確認しています。そのため、来期や再来期以降には利益も大幅に回復するストーリーを描いています。

2027年4月期 第1四半期決算サマリー

今野:直近、8月末に第1四半期の決算発表を行いました。その結果、売上高は17億7,600万円で、前年同期比13.9パーセント増となりました。昨年は1桁前半の伸びでしたので、売上成長率が大幅に上がっています。利益面では、調整後EBITDAと営業利益の両方が前年同期比で2桁成長を遂げました。

スライド中央の囲み部分に記載のとおり、売上成長率は加速しています。また、営業利益は第1四半期において中間予想を上回る結果となっています。

事業別の状況として、EC事業ではGMV、いわゆる流通取引総額が前年同期比で17.6パーセントの成長を記録しました。これは通期目標の14.3パーセント成長を大きく上回る進捗状況です。

フィナンシャル事業については、概ね計画どおりの進捗を示しており、計画を若干超える状況となっています。一方、冒頭で触れたとおり、フィナンシャル事業は当社がリスクを取るかたちで経営を行っています。この中で、貸し倒れによるコストが発生しますが、現在、そのコストは比較的低い水準を維持しています。

第1四半期では、広告・販促投資を大幅に拡大しました。その結果、今期の目標であるお客さまの数の増加に向けて、EC事業の「スーパーデリバリー」の新規会員登録数や保証事業の「URIHO」の入会件数が順調に推移しています。

第2四半期以降は、広告・販促投資をさらに本格化する予定です。また、稼働率に若干の課題が残っていますので、これにも対応していく計画です。以上が、第1四半期のサマリーとなります。

塩谷航平氏(以下、塩谷):前期に発表された御社のガイダンス時点で、今期は成長投資の年になると認識していました。その上で、第1四半期の決算を拝見すると増益となっています。

一方で、増益率は2桁パーセントに達し、上期の業績予想を超えたと考えています。第2四半期については、さらなる投資が行われることで赤字になるイメージですか?

今野:赤字計画は特に持っておらず、今回の業績予想に修正は加えていませんが、個人投資家や機関投資家のみなさまからは、さまざまな問い合わせや、「どうなっているのか?」というお話をいただいています。

まず、広告・販促についてです。大きなコスト変動要因であるものの、第1四半期はある程度踏み込んだ中でも、若干控えめに抑えた内容となっています。まだテストなどを行いながら徐々に踏み込んでいる段階です。第2四半期以降に踏み込みを加速させていく予定ではあるものの、第2四半期で赤字となることはおそらくないと考えています。

現在の業績予想を修正しなければならないほどの影響が出ることはないとも見込んでいます。

第1四半期については、正直なところ想定以上の利益が出ました。スライド左側に記載のとおり、EC事業のGMVが通期目標をかなり超えたことと、スライド右側に記載したとおり、原価率が低かったことが想定以上の要因となりました。

特にEC事業は利益率が高いため、少し計画を超えると利益には大きなインパクトがあります。一方で、計画に満たない場合はリスクが伴うことも当然あると考えています。

塩谷:この上振れの要因は、2つとも持続性がありそうな印象を受けます。

今野:そのとおりです。特に突発的な事項があったわけではなく、プロモーションがうまくいっており、EC事業は比較的売上にすぐ反映されるため、その部分が良かったことが大きな要因だと思います。

フィナンシャル事業に関しては、今回の資料に記載していませんが、原価率が低い水準で継続しています。これは、当社の審査や回収が想定以上にうまく機能していることが要因であり、急激な悪化が起こる可能性は低いと考えています。

塩谷:理解しました。2桁パーセント成長を目指すための投資は、ガイダンス発表時に触れていたと思いますが、前期の第3四半期と第4四半期については、四半期単体の数字を見たところ、それぞれ前年同期比で10パーセント以上の成長を実現できている印象を受けます。

そのように考えると、広告・販促投資を行う以前から、好成長の体制がすでに整っていたということですか?

今野:おっしゃるとおりです。昨年第3四半期あたりからさまざまな試行錯誤をすでに始めており、そこまで大きな資金を投入することはしていませんでした。それでも、その時点で徐々に数字が変わりつつありました。

塩谷:海外事業を行っていることで円安がポジティブに働いたという点については、そこまで気にしなくてもいいのでしょうか?

今野:円安について、理由は定かではありませんが、それほど大きな影響は受けません。やはり仕入れで利用していただいているため、多少の円安・円高でも必要なものは購入されることがあるのだと思います。ただ、正直なところ、少し不思議な部分ではあります。

EC事業|スーパーデリバリー流通額(GMV)推移(四半期)

今野:スライドは、EC事業「スーパーデリバリー」の流通額の推移を示しています。棒グラフの上側の色が薄い部分が海外、下側の色が濃い部分が国内を表しています。

「海外はどのあたりの国なのですか?」というご質問もよくいただきますが、現在最も多いのは台湾です。その次に、規模としては同程度ですが、アメリカや韓国、香港、ヨーロッパでは特にフランスなどが、日本の商品を多く購入しています。

日本の商品は近年人気が高まっており、それらの国々の小売店が日本のキャラクターグッズやステーショナリーなどを仕入れています。特に、日本のボールペンは書き心地が良く、インクが途切れにくいという点で高く評価されています。

このような日本の商品を仕入れ、お店に並べることで販売していただいています。いずれにしても、GMVは順調に推移しています。

塩谷:国内GMVが前四半期比でマイナス2.9パーセントとなった理由について教えてください。

今野:これは正直なところ、前年第4四半期で少し先食いしてしまったという背景があります。前年第4四半期に客単価が大幅に上がった影響もありました。当社の通常の季節変動の傾向としては、第1四半期と第2四半期は比較的伸びが鈍化し、第3四半期と第4四半期にかけて高くなることが多いです。

とはいえ、第4四半期と第1四半期については水準として変わらないか、若干伸びる場合が多いのですが、前年第4四半期は想定を上回る結果だったため、第1四半期は若干下がる結果となりました。

フィナンシャル事業|Paid取扱高推移(四半期)

今野:フィナンシャル事業の「Paid」についてご説明します。これは物を売る業者と買う業者の間で、決済を代行するビジネスです。

ニーズの部分に少し触れたいと思いますが、冒頭で言及したとおり、企業間の決済は基本的に後払いとなり、売り手がリスクを負う仕組みになっています。当社のサービスは、そのリスクをヘッジ、つまりカバーする役割を果たしています。また、企業間の決済には手間や時間がかかる点も、大きな課題となっています。

物を売った会社は月に1回請求書を作成して送付します。その後、だいたい翌月末に銀行口座へ入金されます。入金があると、それを消し込みといいますが、どの会社から入金があったのか、また入金がなかったのかを確認します。そして、入金があったところにはチェックをつけます。

ただし、例えば100万円を請求したのに95万円しか入金されていなかったり、逆に103万円入金されていたりすることがあり、それらすべてを管理しなければなりません。その手間や面倒は大きな負担です。加えて、自分でリスクを取る場合は督促もしなければなりませんが、このような手間や煩雑さを回避する機能も果たしています。

少し話が逸れましたが、スライドに記載されている「外部取引」がいわゆる取扱高であり、「内部取引」は、当社のEC事業「スーパーデリバリー」の国内GMVのうち、決済方法に「Paid」を利用している取引を指します。外部取引は2桁成長を継続しています。

塩谷:取扱高のほとんどが、EC事業のお客さまの取扱いだと思っていたのですが、あまり多くないのですね。

今野:おっしゃるとおり、EC事業のお客さまは少ないほうです。

塩谷:外部取引は前年同期比で見ると順調に伸びている一方で、足元では前四半期比でマイナス影響があるかと思います。この点について、どのような要因があるのでしょうか?

今野:大口のお客さまの一部で取引が減少したことが影響しています。ただ、これは我々の要因というよりも、お客さまのビジネス上の理由で若干減少したと考えています。

四半期の取扱高はまだ120億円程度であるため、数億円規模の企業が取扱高を少し増減させるだけでも、どうしても影響が出るタイミングがある状況です。

塩谷:全体の成長率について、中期経営計画では「Paid」の売上CAGR(年間平均成長率)がプラス23.9パーセントとされています。一方、足元の取扱高成長率はプラス13パーセントですが、このギャップについてはいかがですか?

今野:10ポイントほどのギャップがありますが、現在、我々が中期経営計画の中で取り組んでいるのは、大口取引の獲得を強化することです。

強い競合企業が1社存在し、我々とその企業との差は何かと考えた際、大口を獲得できているか否かが大きなポイントとなっています。

今期以降において大口を獲得するため、人員を補強したり営業代行を外注したりと、さまざまな取り組みを始めており、その準備はかなり進んでいます。

しかし、大口案件であればあるほど稼働までに時間がかかり、先方のシステム開発が伴う場合もあるため、半年や、場合によっては1年を要することがあります。そのため、これらが今後、効いてくるとご理解いただければと思います。

塩谷:大口が増えると、テイクレートは減少するのでしょうか?

今野:ケースバイケースですが、平均するとやはり大口のほうが若干低くなる傾向があります。

フィナンシャル事業|URIHO保証残高推移(四半期)

今野:スライドは「URIHO」の保証残高を示しています。「URIHO」についても若干補足します。こちらもBtoBの企業間決済に関わるものですが、「Paid」が請求書の作成から発送、回収、督促などすべてを当社で代行しているのに対し、「URIHO」は保証のみを提供するサービスです。

例えば、みなさまには既存の取引先があるかと思います。しかしながら、取引先のA社について、「最近業績が悪いらしい」「少し不安だ」という場合もあるのではないでしょうか? そのような時に、取引先に対して「あなたは大丈夫ですか?」とも、今さら「担保をください」とも言えないと思います。

そのような場合でも、取引先のA社に知られることなく、万が一A社が倒産したり、支払いが滞ったりした場合の回収を担保しておくことが可能です。これが当社の提供する「URIHO」という保証サービスです。通常どおり決済を含めた取引を行っていただき、万が一の事態が発生した際には我々が代わりにお支払いします。

現在、当社が保証している総額は約800億円となっています。前年同期比で21.9パーセントの増加となり、順調に伸びています。「サブスク型」と「非サブスク型」がありますが、当社が主に取り扱っているのはサブスク型です。

金融ビジネスであるものの、サブスク型で展開している点が特徴です。一番安いプランでは、月額9,800円をお支払いいただくことで、総額1,000万円まで保証します。高額なプランでは、月額9万9,800円で7,000万円まで保証しています。

さらに、オーダーメイドでより高額な保証にも対応可能です。このように、サブスク形式で保証を提供するユニークなビジネスモデルを展開しています。

向井沙耶氏(以下、向井):非サブスク型は、どのようなものですか?

今野:非サブスク型はケースバイケースですが、例えば特定のお客さまに対して、「月に0.5パーセント支払うことで、1,000万円まで保証してほしい」といった、ピンポイントの要望に対応するものです。

塩谷:現在の「URIHO」の保証残高約800億円と、原価率が21パーセント台と低く抑えられているところの持続性や、800億円のリスクをどの程度で見ておくべきか教えてください。

今野:まず持続性に関してですが、当社はサブスク型をメインとして運営しており、持続といいますか、積み上げを目指しています。

サブスク型でインターネットを活用して販売するほうが効率的という狙いもあり、現在のところ狙いどおり進んでいます。その点から持続性は比較的強いと考えています。退会率については具体的な数字はお伝えできませんが、それほど高くないため、今後も積み上がっていくと見込んでいます。

また、デフォルトの部分もうまく管理できています。現在、倒産件数が中小企業を中心に増加していますが、日夜データをウォッチし、AIや一部再保証の活用により、リスクをかなり抑え込めています。

正直なところ、想定よりもデフォルトが少ない状況です。短期的な利益という観点では好ましいのですが、対お客さまの観点、特に営業目線で考えると、もう少しリスクを取ってもいいのではないかという社内議論もあります。

塩谷:貸倒引当金率のようなものが原価に影響していて、年1回で見直すということでしょうか?

今野:実は四半期ごとに見直しています。

塩谷:想定よりもデフォルトが少ないということは、次の四半期にさらに原価率が下がる可能性もあるということですか?

今野:可能性はあります。その点については、我々と監査法人との間のマターでもあり、毎回「これはどうするのか?」という話をしています。

中期経営計画(FY2027/4〜FY2029/4)― 数値目標

今野:中期経営計画についてです。昨年11月、新たな投資家として株式会社アドバンテッジパートナーズに参加いただき、大きな金額の投資を受けました。実は、中期経営計画はまだ途中の段階でしたが、彼らとの連携の中で、この計画を見直しています。

その戦略の1つが「今期はプロモーションに踏み込みます」といった取り組みであり、それに関する数値をスライドに記載しています。

2029年4月期を最終年度とするこの計画では、売上高が103億円、営業利益が20億円、調整後EBITDAが24.5億円、ROE目標が25パーセントとなっています。今期が計画の初年度にあたり、現在この目標に向けて動き始めたところです。

塩谷:最終年度の営業利益は20億円という計画ですが、2028年については、基本的に増益基調ということでしょうか?

今野:もちろんです。2028年の具体的な数値は現時点で開示していませんが、基本的に減益となるのは今期だけという計画です。

今期は思い切って踏み込んだ計画としており、我々もボトムだと認識しています。来期や再来期については、6億円からスタートというよりも、昨年度の13.2億円を基準としたスタートをイメージしています。

13.2億円からどれだけ増益し、その先に営業利益20億円という目標を達成するかを見据えていると捉えていただければと思います。

塩谷:最終年度の営業利益率が、20パーセント弱となっているように見受けられます。御社の限界利益率を考えると、売上高が100億円となった場合、もう少し利益率が高くなるのではないかという印象を受けたのですが、いかがでしょうか?

今野:その可能性はあると思います。我々は基本的にシステムを基盤に事業を展開しています。金融分野、フィナンシャル事業においても、ほとんどがシステム駆動です。

そのため、いわゆる固定費が大きく増えていくという構造にはなっていません。ですので、売上高103億円を達成でき、コストコントロールがうまくいけば、もう少し利益が出る可能性は十分にあると考えています。

中期経営計画の重点施策① グループ戦略

今野:中期経営計画の重点施策についてです。中期経営計画の準備をし、先を見据えた中長期ビジョンを掲げています。それが「ラクーンBtoBネットワーク」構想です。

冒頭でも少し触れましたが、我々は中小零細企業のお客さまを数多く抱えています。現在、会員登録ベースでは約60万社にのぼります。そのお客さまにはさまざまなニーズがあり、中小企業ならではの共通する要素と多様なニーズが交錯している状況です。

我々はビジネスとして、これらのニーズを的確に満たし、それを収益や利益に結びつけていくことを目指しています。

現在進めているEC事業は、受発注やお客さまの開拓、効率化に焦点を当てたものです。フィナンシャル事業では決済の効率化に取り組んでいますが、それ以外にも中小企業の課題は数多く存在します。

今後は、そのようなビジネスに取り組んでいる他社と連携を図るほか、M&Aの可能性も視野に入れながら、それらの会社を取り込み、我々の既存のお客さまにサービスを提供していきたいと考えています。

また、新たに取り込んだ企業の既存のお客さまにも、我々が持っている機能を提供し、ネットワーク化を進めることを視野に入れています。これが中長期的な目標として掲げている内容です。

壮大な計画で、現時点ではまだ構想の段階ですが、このような目標を目指して取り組んでいきたいと考えています。

中期経営計画の重点施策② 各事業戦略

今野:この3年間の重点施策についてお伝えします。EC事業に関しては、GMVが310億円から487億円へ拡大し、CAGRはプラス16.2パーセントです。このため、リピーターの強化やターゲティングの精緻化、海外の注力国へのローカライズ化などを進めています。

その前提として新規顧客を増やすことが重要です。スライドには記載していませんが、これが現在、当社が販促や広告を強化している目的となっています。

フィナンシャル事業における「Paid」「URIHO」に関しては、大手企業の開拓に力を入れ始めています。「Paid」は企業間決済に関連する取り組みで、言い換えれば、我々が決済業務を外注として引き受ける形態です。しかし、実際に企業間の決済を外注している企業はごく一部です。

多くの企業は自社内で決済を処理しているため、いわゆるホワイトスペースと呼ばれる未開拓市場が数多く残っています。我々がターゲットとするお客さまは多く、開拓余地は大きいと考えています。

「大手企業は競合企業が先行している」とお伝えしたとおり、現状では世の中の企業全体に対して非常に限られたシェアでしかありません。したがって、まだ取り組むべき領域が数多く残っており、この3年間でそこを開拓することを目指しています。

スライド一番下に、「新規サービスの創出」と記載されていますが、これはBtoBネットワークに関連するもので、M&Aや一部出資、マイナー投資などを含め、積極的に取り組んでいく予定です。

今回、我々自身が投資を受けた株式会社アドバンテッジパートナーズは、優れたノウハウとリソースを有しており、多大な協力を得ています。また、VC連携についてですが、我々のビジネスはスタートアップ業界において高いニーズがあります。

わかりやすい例として、「Paid」という決済効率化サービスがあります。スタートアップ企業は、創業初期から間接部門に大きな時間と費用をかける余裕がないため、このようなサービスの需要が特に高いと認識しています。

「であれば営業したい、新しいビジネスを考えたい」という話ですが、我々を活用すると、「そこは我々が全部やりますので、どうぞ営業してください」となりますので、そのような意味でスタートアップとの相性が良いと言えます。

そのため、スタートアップとのコネクションの一環として、いわゆるVC(ベンチャーキャピタル)に一部投資を行い、そのコネクションを活用する取り組みも行っています。

塩谷:「スーパーデリバリー」のGMVが487億円まで増加することについてですが、内訳としては、海外と国内のどちらが伸びているのでしょうか? KPIのようなものがあれば、教えてください。

今野:実はもともと「海外のほうが伸びる」という考えを持っていました。ただ、海外の成長率は上昇しているものの、国内が予想よりも成長し、それが持続可能性のある動きだと判断しています。その結果として、おそらく今後3年間は、国内の成長率が高い状態で推移する見込みです。

現在の割合は、国内が約75パーセント、海外が約25パーセントとなっています。このままのトレンドが続くと、国内の割合がさらに上がる可能性があります。8割に達するかどうかは不明ですが、そのような動きになると考えられます。

塩谷:ちなみに、国内のお客さまのLTVについて、御社はおおよそ把握されていますか?

今野:もちろん把握はしていますが、具体的な金額についてはお伝えしにくい部分があります。おそらく、みなさまが想像されているよりは大きいと思います。「中小企業のお客さまのため、それほど大きくないのでは?」と思いきや、意外と大きいのです。

また、当社が現在強化している部分として、その中でも大口のお客さまに対して、特にインターネット関連の分野で担当者を配置し、さらなる成長を目指しています。実は、現在客単価が伸びている要因はそこにあります。

塩谷:カスタマーサクセスのような取り組みでしょうか?

今野:そのとおりです。例えば、これまで月に100万円分を購入していたお客さまが、さまざまな取り組みによって150万円分を購入するようになるなど、かなり大きな伸びを見せています。

少し話が広がりますが、そのような状況から、プロモーションについてもまだ強化できる余地があると考えています。

塩谷:基本的には、御社でもLTV/CACで一定の管理を行い、その中でLTVが伸びているため、よりプロモーションをかけられるということですね。

今野:プロモーションを行うことでCACが多少上がるのは当然ですが、媒体によって、大幅に上がる場合と意外と変わらない場合があります。

「広告を2倍にしたものの変わらない」というケースもあるため、そのあたりを細かく見ながら、「ここの媒体に行こう」「別の方法もやろう」といった対応を行うことで、全体として悪化を防ぐような状態を実現できています。

今後の展望 ― M&A方針

今野:今後の展望です。方針として、M&Aの話をしました。スライド左下に小さく記載がありますが、これはあくまでイメージとなります。

どのような分野かと言いますと、最初は現在の事業エリアからの飛び地ではなく、現状取り組んでいるEC事業やフィナンシャル事業に近しい分野からM&Aを開始し、将来的には飛び地への展開もあり得ると考えています。

EC関連や物流関連については、当社が自ら倉庫を保有するという発想はまったくありませんが、物流を支援する企業などには十分な可能性があります。また、与信関連の企業も十分に可能性があると考えており、現在は案件発掘であるソーシングを進めています。

そのための体制作りとして、株式会社アドバンテッジパートナーズに多大な支援をいただいている状況です。

株主還元方針

今野:株主還元についてです。当社の株主還元には特徴があります。まず配当に関しては、連結配当性向で45パーセントから50パーセントとなっており、比較的高い配当性向と言えます。

さらに、「最低いくら出します」といった累進配当を導入しており、年間で22円(中間配当11円、期末配当11円)を約束しています。

したがって、今期は減益となりますが22円をお支払いし、今期の配当性向は100パーセントを大きく超える水準となっています。

また、利益連動型加算配当ですが、この配当は一定の基準となる利益を超えた場合、その超過部分について、配当性向を50パーセントではなく、60パーセントや70パーセントといったかたちで、通常より多めの配当を出す方針となっています。

昨年からは株主優待も導入するなど、このように株主還元を進めています。

塩谷:累進配当のEPSの基準は開示していますか?

今野:一応、開示はしています。

塩谷:こちらはあまり見たことのない、珍しい配当ですね。

今野:累進配当はけっこうありますが、「利益連動型加算配当」というのは、私が考えた造語です。AIに相談して、「わかりやすい単語はないかな?」というかたちで考えました。

塩谷:いいですね。他の発行体さんも使うようになるかもしれませんね。

今野:そのうち流行ってくるかもしれません。

質疑応答:「ラクーンBtoBネットワーク」構想の収益構造について

向井:「中長期の方針として、『ラクーンBtoBネットワーク』構想があったと思いますが、こちらが実現すると、収益構造はどう変わりますか?」というご質問です。

今野:実は現在検討段階にありますが、そのネットワークに参加する企業として、当グループ会社となるM&Aのケースと、マイナー投資や投資を伴わない提携のケースが考えられます。

M&Aに関しては、その会社のP/Lがそのまま取り込まれることになり、そのP/L次第で収益が付加されるかたちとなります。

一方で、マイナー投資や提携については、まだ具体的な発表ができる段階ではありませんが、例えば顧客紹介の際の手数料や取扱高の一部をコミッションとしていただくかたちになるかと思います。

質疑応答:先行投資の成果を測るKPIについて

向井:「先行投資の成果を判断する上で重要視している指標などがあれば教えてください」というご質問です。

今野:この部分は多岐にわたりますが、例えばEC事業におけるプロモーションで最もわかりやすい例としては、新規会員の獲得にあたると思います。

この点については、先ほどご質問いただいたように、獲得単価などです。1件当たりどの程度のコストで獲得でき、その方々がその後どの程度稼働し、月にいくら購入するのか、さらに、その翌月にどれくらいリピートするのかもすべてKPIを設定します。

そのKPIの計画と実績がどれくらい乖離しているのか、良いのか・悪いのかを細かく分析しています。判断基準としては、それがすべてになります。

質疑応答:相互送客と客単価引き上げの展望について

向井:「EC事業とフィナンシャル事業において、各サービスの相互送客をしていると思いますが、顧客単価をどこまで伸ばせるとお考えですか?」というご質問です。

今野:ここは明確に答えづらい部分ですが、現在も相互送客を行っています。今後、BtoBネットワークにネットワーク企業が加わった際には、さらに相互送客が本格化し、グループとしての客単価を引き上げていきたいと考えています。

例えば、現在EC事業だけのお客さまが、月に10万円購入しているとします。そのお客さまが今後グループ内に新しく提供されるサービスを利用し、5万円を追加で使うと、客単価は15万円になります。

このようなかたちで客単価を引き上げていきたいと考えていますが、具体的にどれくらいまで引き上げられるかについては、なかなか難しい部分があります。

ただ、我々は中小零細企業を主な対象としているため、客単価が100万円や200万円になることはおそらくないと思います。そのため、大きな金額にはなりにくいと考えています。一方で、中小零細企業は数百万社も存在するため、数でカバーしていくことは可能だと見ています。

質疑応答:「スーパーデリバリー」の次の海外展開地域と成長見込みについて

向井:「『スーパーデリバリー』の海外展開で、次に成長が期待できる地域や、次に展開を予定している地域はどこですか?」というご質問です。

今野:現在は台湾、香港、アメリカ、韓国、ヨーロッパが中心です。一部のアジアの国々、特に東南アジアでは成長が始まっています。

ヨーロッパについては、投資を始めたのが実は1年ほど前です。しかし、そこから大きく成長し始めています。もちろん、現在手がけているアメリカ、韓国、台湾もまだ成長する余地があると思っていますが、ヨーロッパは特に可能性があると感じています。

最近の動きとしては、香港が唯一伸び悩んでいました。ここ3年ほど前年比マイナス成長が続いていたのです。理由としては、経済状況が改善せず、新型コロナウイルスの影響からなかなか回復しなかったことが挙げられます。しかし、第1四半期に3年ぶりにプラス成長へと転じ、ようやく経済が底を打ったのではないかと考えています。

香港は海外のGMVの10パーセントを占めており、その香港がマイナスからプラスへ転じたことは、今後大きなインパクトをもたらす可能性があります。そのため、再び投資を始めることも検討中です。現在はほとんど投資を行っていませんが、今後の動き次第では投資を再開するかもしれません。

質疑応答:EC事業・フィナンシャル事業の周辺分野および将来展望について

向井:「M&Aなど、今後どのような事業領域を検討されていますか?」というご質問です。

今野:最初はEC事業・フィナンシャル事業の周辺分野になります。そこで現在、さまざまな候補先が挙がってきていますが、そのあたりを進めていきます。

将来的には飛び地といいますか、EC事業・フィナンシャル事業と直接関係はないものの、我々のお客さまである中小零細企業の方々からニーズが強いサービス、そのような分野を探していきたいと考えています。

現在、具体的な例はありませんが、そのような方向性で進めていきたいと思います。

向井:まずは近しいところからということですね。

今野:そのとおりです。

質疑応答:EC事業とフィナンシャル事業の今後の2桁成長維持見込みについて

塩谷:「EC事業とフィナンシャル事業の2桁成長を今後も維持できる見込みでしょうか?」というご質問です。

今野:維持できると考え、邁進しています。

質疑応答:EC事業における顧客獲得と課題について

塩谷:「広告投資の拡大によって、顧客獲得の速度はどこまで高まりますか?」というご質問です。

今野:サービスによって異なるものの、お客さまの獲得が現在、数十パーセント増えています。もちろん波もあるとは思いますが、1桁の伸びではなく、2桁半ばに近いスピード感で増やしていきたいと考えています。

ただ、正直に言うと、今は課題があります。これはEC事業もフィナンシャル事業も同様ですが、新規に獲得したお客さまの稼働への実際の転換について、計画を大きく下回っているわけではありませんが、計画を大きく超過する状況にはまだ至っていません。

したがって、第2四半期以降、ここに対して手を打ち、それにより成果が上がれば、今我々が計画している以上の成長が期待できると思います。うまく掛け算で伸びていけば理想的ですが、現状ではまだ「絵に描いた餅」という状況です。

塩谷:EC事業の文脈で言うと、顧客の獲得は、出店者というより購買者側を集めるという理解でよいですか?

今野:おっしゃるとおり、購買者側になります。もちろん、出店者側も大事ではあるのですが、効果としては緩やかです。

やはりインターネット上でも売れない商品は売れません。効率的に売れる一方で、ニーズのない商品は売れないため、出店いただいても結果として売れずに退会される方を強力に引き止めたりすることは、当社ではあまり行っていません。

そのため、売れる商品を持っている企業が緩やかに増えていけばいいと考えています。

塩谷:ちなみに、先ほどのLTVについても、基本的には購入者側で見ているという認識でいいですか?

今野:購入者側で見ています。

今野氏からのご挨拶

今野:本日はありがとうございました。当社は比較的長い歴史を持っていますが、まさに今期、これまでのやり方を変えながら取り組んでいます。

思い切った方針を取り、その分利益は下がりますが、変わろうとしているタイミングにあります。今後も個人投資家説明会を強化し、みなさまに現状や進捗をわかりやすくお伝えできるよう努力していきます。

引き続き、我々の取り組みが成功するかどうか疑いつつも、温かい目で見て、応援していただければ幸いです。本日はありがとうございました。

当日に寄せられたその他の質問と回答

当日に寄せられた質問について、時間の関係で取り上げることができなかったものを、後日登壇者に回答いただきましたのでご紹介します。

<質問1>

Q:過去5年間、売上高、経常利益ともほぼ期初計画を未達で終了しています。業績予想のクレディビリティーという観点からどのように考えていますか? 今期は発射台が低いため達成できそうにも思いますが、信頼度が低いです。

A:ご指摘のとおり、過去5年間は期初計画を下回る年度が多く、業績予想の信頼性という点で株主・投資家のみなさまのご期待に応えられていないことを真摯に受け止めています。昨年のアドバンテッジパートナーズ社との業務提携以降、同社の知見・経験を活用した経営管理の高度化を推進しており、今期の業績予想も過去の計画と実績の乖離を踏まえ、達成の蓋然性を重視して策定しています。信頼は計画達成の積み重ねによってのみ回復できるものと認識しており、まずは今期計画の確実な達成に全力で取り組んでいきます。

<質問2>

Q:IT企業でありながら、8月30日に四半期発表は遅いのではないですか? 企業の内部管理に問題があるのかと心配になります。

A:当社は4月決算であり、第1四半期の期末は7月末です。8月31日の公表は期末から1ヶ月以内でした。東京証券取引所の集計では第1四半期決算を月内に公表している企業は全体の12パーセント程度ですので、当社は上場企業の中でも比較的早い時期に公表している認識です。内部管理体制についてもご懸念いただくような問題はありません。

いま読まれてます

記事提供:

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

MONEY VOICEの最新情報をお届けします。

この記事が気に入ったらXでMONEY VOICEをフォロー