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NZドルに下押し圧力【フィスコ・コラム】

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NZ準備銀行(中銀)は直近の定例会合でタカ派姿勢を弱め、NZドル売りに振れやすい展開です。加えて2カ月後に総選挙を控え景気低迷が目立ち、ラクソン政権の支持率は低下。右派寄りの連立政権の安定性が揺らぎ始めたことも、NZドル売りを助長しています。

NZ中銀は9月2日に開催した定例会合で、政策金利を0.25ポイント引き上げ、2.75%としました。利上げは7月に続いて2会合連続で、今回は全会一致。4-6月期の消費者物価指数(CPI)が目標レンジの1-3%を上回ったことが主因です。ただ、政策金利の見通しは前回からほぼ変わらず。そのため追加利上げを急ぐとの見方が後退し、NZドルは会合後に対ドルで大きく下げました。

同中銀のスタンスの背景には、内需の弱さがあります。需要が供給力を下回るマイナスの需給ギャップは2028年末まで続く見通しで、住宅市場の回復も鈍い状況。ブレマン総裁は追加利上げの必要性を認めたものの、次回10月より12月の実施を見込む市場関係者も少なくありません。次回会合は総選挙の直前となるため据え置きが見込まれ、NZドル買い材料は一段と乏しくなるでしょう。

その政治情勢もNZドルの圧迫要因です。11月7日に予定される総選挙を前に、国民党とラクソン首相への評価は低迷。物価高が家計を圧迫する一方、経済成長は力強さを欠き、失業率は高水準に。ラクソン政権は生活改善を掲げて2023年に発足したものの、有権者が景気回復を実感できていないことが逆風となっています。直近の世論調査で国民党の支持率は30%を下回りました。

現議会では国民党48議席、ACT党11議席、NZファースト党8議席の計67議席を確保し、過半数は維持しています。しかし、8月には国民党内で党首信任投票が行われ、ラクソン氏に挑んだ国防相が更迭されました。選挙制度を巡る首相の提案にもACT党とNZファースト党が反発するなど、足並みは盤石とは言えません。もっとも、労働党を中心とした野党側も一枚岩ではなく、政策調整も課題として残ります。

注目されるのが、ベーシックインカムと土地税を掲げる新興のオポチュニティ党。議席獲得に必要な得票率を下回るものの、別の調査では議会入りの可能性も浮上しています。同党が躍進した場合には労働党を軸とする新たな枠組みに加わり、政権交代を後押しする展開も想定されます。低位安定の与党への信認が崩れれば政策の不透明感が広がり、NZドルへの下押し圧力が強まる可能性もあります。
(吉池 威)
※あくまでも筆者の個人的な見解であり、弊社の見解を代表するものではありません。

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