■業績動向
2. トピックス
(1) 出荷件数・出荷点数ともにボリュームが拡大
物流現場における取扱規模が着実に拡大した。通期の出荷点数は19億6,200万点となり、Amazonが日本国内で当日または翌日に配送した年間商品数の約2.5倍に相当する規模となった。また、出荷件数は1億1,000万件と前年同期比29%増加し、日本国内の年間宅配件数の約2.2%に相当する水準まで拡大した。こうした物流取扱量の増加は、ロジザード<4391>クラウドサービスの利用拡大と顧客基盤の成長を反映しており、クラウドサービス事業の継続的な売上成長を支える重要な指標であると弊社では考えている。
(2) 積み重ねてきた営業活動が結実
2026年6月期の業績拡大の背景には、長年にわたり継続してきた営業活動の成果がある。顧客ごとの細かなニーズに対応する地道な提案活動を積み重ねた結果、中規模案件の受注が増加し、上期の未達分を大きく補うことができた。また、これまで蓄積してきた物流領域での知見や実績が評価され、大規模案件においてはシステム開発前段階である要件定義工程から参画する案件が増加した。上流工程から関与することで顧客との関係性が強化されるとともに、将来的な大型案件受注につながる可能性も高まっている。さらに、顧客課題の解決につながるオプション機能の継続的な提案や実装によって顧客単価の向上も進展しており、営業活動と製品開発の相乗効果が着実に成果へ結び付いている。
(3) サービス認知と販路拡大に向けた取り組み
同社はサービス認知向上と販路拡大を目的として、全国約5,000社への物流機器レンタル事業を展開する日建リース工業(株)との販売店契約を締結した。日建リース工業が保有する物流事業者及び荷主企業との広範なネットワークを活用することで、新たな顧客接点の創出を図る。同社のクラウドWMSをはじめとする物流DXソリューションと日建リース工業の顧客基盤を組み合わせることで、物流現場における課題解決を支援し、市場機会のさらなる拡大を目指している。
(4) 製品開発における進捗状況
製品開発面では、「顧客価値の向上」と「事業基盤の強化」を軸として多面的な取り組みを推進した。顧客価値向上の面では、倉庫作業の可視化を支援する「LzTimer(人員・工数管理)」を無償オプションとして提供開始したほか、「ロジザードZERO庫内分析」の新機能提供を開始した。事業基盤強化では、遠隔地に代替クラウド環境を構築することでBCP体制を強化し、自然災害やサイバー攻撃への対応力を高めた。また、IPS※導入による不正アクセス対策やシステム連携基盤の安定化も進めた。成長に向けた取り組みとしては、外部サービスとのデータ連携強化やシリアル・パレット管理機能の拡張を実施し、対応可能な業務領域を広げた。さらに、将来のBtoB案件拡大を見据えた新機能開発も進めている。AI活用についても積極的に推進しており、プログラミングAIによる開発生産性向上や、テスト工程でのAI活用による品質向上、社内オペレーションの効率化などを進めている。
※ Intrusion Prevention Systemの略。ネットワークやサーバーへの不正なアクセスや攻撃を自動で検知し、即座に通信を遮断するセキュリティシステム。
(5) 人員計画における進捗状況
人材採用では、採用サイトの刷新や採用コンセプト・採用手法の再構築が奏功し、応募者数は計画比2.6倍に増加し、通期目標を大きく上回った。同社では、「応募者数の拡大」と「採用要件の精度向上」を主要KPIとして位置付け、採用エージェントとの連携強化や各部門との要件擦り合わせを通じて、求める人材とのマッチング精度向上にも取り組んでいる。こうした活動を通じて、採用成功要因の言語化や母集団形成ノウハウの蓄積が進み、今後の採用活動の再現性向上につながる基盤が整備された。第4四半期に予定していた一部採用は2027年6月期入社となったものの、通期では15名の増員を実現した。今後は組織設計を起点とした採用戦略の高度化や職種別の採用要因分析を進めるほか、定着率や内定承諾率などの各種指標を継続的にモニタリングしながら改善施策を積み上げることで、持続的な人材確保体制の構築を目指す。
自己資本比率は83.7%と高水準。流動比率・固定比率も健全
3. 財務状況と経営指標
2026年6月期末の財務状況を見ると、総資産は前期末比353百万円増の2,929百万円となった。このうち流動資産は、同99百万円増の2,148百万円となった。これは開発案件の増加により売掛金が増加したことが主因である。固定資産は781百万円と同253百万円増加した。これは製品開発の増強に伴い無形固定資産、特にソフトウエアが増加したことによる。「ロジザードZERO」の基本機能及びバージョンアップ機能追加を実施したことが背景にあり、将来の競争力強化に向けた開発投資の積極化が読み取れる。
負債合計は476百万円と同76百万円増加した。流動負債は473百万円と同74百万円増加しており、賞与の増加による未払費用の増加や、「Bit Waybill」の開発に係る外注費の増加に伴い買掛金が増加したことが主因である。一方、固定負債は2百万円と同2百万円増加した。これはリース契約による長期リース債務を計上したことによる。純資産は2,453百万円と同276百万円増加した。当期純利益の計上により利益剰余金が増加したことが主因である。
経営指標を見ると、流動比率が453.3%(前期末比59.1ポイント低下)、固定比率が31.8%(同7.5ポイント上昇)と、依然として流動比率、固定比率ともに健全な数値であり、長短の資金繰りに問題はない。自己資本比率も83.7%(同0.8ポイント低下)と高水準を維持している。財務の健全性、資金の流動性に配慮しながら企業経営を行っていることが財務諸表から見て取れる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木稜司)
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