■ドリーム・アーツ<4811>の業績動向
1. 2026年12月期中間期の業績概要
2026年12月期中間期の連結業績は、売上高2,977百万円(前年同期比6.0%増)、営業利益481百万円(同20.9%減)、経常利益506百万円(同28.0%減)、親会社株主に帰属する中間純利益384百万円(同19.7%減)と増収減益となった。中期経営計画の初年度として人的資本や広告販促、製品開発などへの成長投資を積極化していることに加え、前年同期に計上したオンプレミス事業の大型ライセンス売上やプロフェッショナルサービス事業の大型案件の反動減が利益面で影響した。一方、こうした諸要因は期初段階から想定内であり、営業利益の通期計画865百万円に対する進捗率は55.6%と、会社計画に対して順調に推移している。
事業面では、クラウド事業が売上高2,492百万円(前年同期比15.3%増)と引き続き全社の成長をけん引した。なかでも、クラウド事業の主力であるホリゾンタルSaaS(提供ツール「SmartDB」「InsuiteX」)の売上高は2,008百万円(同19.5%増)と高い伸びとなった。第2四半期には新規顧客の獲得が13社と第1四半期の5社から大きく増加したほか、既存顧客における利用部門や利用業務の拡大、大型案件の創出などを背景にアップセルも順調に積み上がった。第2四半期単独で見ても、ホリゾンタルSaaS売上高は1,030百万円(前年同期比21.2%増)まで成長率が加速している点もポイントだろう。また、収益構造のクラウドシフトも一段と進展した。中間期の売上高に占めるクラウド事業の比率は83.7%と前年同期の77.0%から6.7ポイント上昇し、オンプレミス事業のソフトウェアメンテナンス売上を含めたストック売上比率も90.6%まで高まった。ホリゾンタルSaaSの平均月額利用料(ARPA※1)は2026年6月末時点で1,720千円、NRR※2は115.1%となるなど、既存顧客の利用拡大も堅調に推移している。
※1 ARPA:Average Revenue Per Accountの略。四半期末月の月額利用料の合計を同時点での利用企業数で除して算出。
※2 NRR:Net Revenue Retentionの略。1年前時点の利用企業の月額利用料が、1年後に変化した割合。
損益面では、クラウド事業の拡大に伴いインフラコストが増加した一方、ソフトウェア開発投資に伴う資産振替の影響により、売上総利益率は64.2%と前年同期比0.1ポイント上昇し、前年同期並みの水準を維持した。一方、営業・マーケティング人材を中心とする採用強化やオフィス環境の拡充、認知向上・リード獲得を目的としたイベント出展やメディア露出などを積極化した結果、販管費は1,430百万円(前年同期比19.8%増)に増加した。SmartDBユーザー向けイベント「スマデビ ジャンボリー!」を軸としつつ、広告販促活動を積極的に展開する方針であり、中長期の成長に向けた投資を継続しつつ、適切なコストコントロールを進める。
2. 事業セグメント別動向
(1) クラウド事業
a) ホリゾンタルSaaS
ホリゾンタルSaaSで提供している「SmartDB」「InsuiteX」の導入社数は2026年6月末で203社(前年同期比30社増)となった。中間期の新規獲得は18社で、このうち第1四半期は5社、第2四半期は13社と足元にかけて獲得ペースが加速している。加えて、既存顧客における利用拡大や大型案件の創出などによるアップセルも順調に積み上がり、中間期の売上高は2,008百万円(前年同期比19.5%増)となった。第2四半期単独では売上高1,030百万円(同21.2%増)まで成長率が加速しており、引き続き全社の成長をけん引している。中間期の解約は10社となったが、大半はトライアル利用の終了であり、業績への影響は軽微である。従来と同様に解約の中には、本格利用に向けた導入準備のため一時的に課金を停止している顧客も含まれており、実質的な利用離脱は限定的と見られる。
KPIである平均月額利用料(ARPA)は2026年6月末で1,720千円と前四半期比2.4%上昇したほか、NRRは115.1%となり、高い売上継続率を維持している。なお、「SmartDB」は2026年12月期第2四半期時点でホリゾンタルSaaS売上高の87.0%を占めており、引き続き主力サービスとして成長をけん引している。製品面では、第2四半期に「SmartDB」のAI機能「Practical AI(PA)」オプションをリリースし、既存顧客への新機能提案や活用促進を進めている。また、第2四半期には「SmartDB」をAIやAIエージェントが実務で活用できる「AI Readyデータ生成基盤」へ進化させる「DAPA 2.0」構想を発表した。大企業の複雑な業務データや組織・権限情報を蓄積してきた強みを生かし、AI時代における新たな競争優位の構築を目指している。加えて、SmartDB上で開発した複数の業務アプリに親子関係を持たせることで、親子関係の中で業務を構造化し全体像を把握できる「ダイナミック・ブランチ機能」の特許を取得するなど、大企業への浸透加速につながる動きも見られている。
b) バーティカルSaaS
バーティカルSaaSで提供している「Shopらん」の導入社数は2026年6月末で171社(前年同期比7社増)となった。大規模チェーンにおける導入プロジェクトの進展に伴い利用店舗数が拡大したほか、販売パートナー経由の顧客獲得も進んだことで、中間期の売上高は403百万円(同3.4%増)となった。特に第2四半期単独では売上高205百万円(同5.2%増)まで伸び、回復基調が続いている。一方、単価の低い代理店経由の小規模顧客が増加したことで、ARPAは2026年6月末で399千円となり、前四半期比2.4%低下した。
c) DCR(DX Custom Resolution)
DCRの売上高は79百万円(前年同期比12.2%減)となった。特定顧客の個別要件に基づいて開発したシステムをクラウド基盤上で運用しながら継続的に機能拡張するサービスであり、提供システムのセキュリティ向上と安定運用に注力している。顧客1社がシステム内製化へ移行したことに伴い解約が発生し、2026年6月末の契約企業数は2社(前年同期比1社減)、MRRは11百万円(同3百万円減)となった。
(2) オンプレミス事業
オンプレミス事業の売上高は209百万円(前年同期比30.3%減)、セグメント利益は72百万円(同51.8%減)となった。パッケージ・ソフトウェアについては既に新規提供形態をSaaSに移行しており、売上は既存顧客向けのライセンス及びソフトウェアメンテナンス収入が中心となっている。クラウド環境への移行などに伴うソフトウェアメンテナンスの解約が計画どおり進んだことに加え、前年同期に計上された大型ライセンス受注の反動により減収減益となった。オンプレミスからクラウドへの移行は同社が進める事業ポートフォリオ転換の一環であり、ストック売上に占めるクラウド事業の比率上昇や将来的なコスト最適化につながる構造転換として位置付けられている。
(3) プロフェッショナルサービス事業
プロフェッショナルサービス事業の売上高は275百万円(前年同期比20.3%減)、セグメント損失は0百万円(前年同期は77百万円の利益)となった。前年同期に大型プロジェクトの受注が集中していた反動から売上が減少したことに加え、将来のクラウド事業の受注につながる無償の提案活動にも工数を投入したことで、利益面も前年同期を下回った。一方、中間期の売上高はおおむね期初計画に沿った水準で推移しているほか、下期にかけては、オンプレミス顧客のクラウド移行支援や大型の導入支援プロジェクトが本格化する見通しであり、売上高・利益ともに段階的な回復を見込んでいる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 若杉 孝)
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