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ギックス Research Memo(8):AI・データアセットの蓄積と再利用を通じて、生産性と利益率を高める

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■成長戦略

1. これまでの成長戦略
ギックス<9219>は2026年6月期を、「売上の成長だけを追うフェーズ」から「利益を伴い、継続性のある成長を重視するフェーズ」へ移る転換点の1年と位置付けていた。この1年に進展した構造変化は、大きく3点に整理できる。第1に、収益構造が改善し、コア営業利益が黒字化したこと。第2に、「AI wrapping」「AIP」「セマンティックレイヤー構築支援」といったAI時代のサービス群を拡充したこと。第3に、LINEヤフーとの協業によるエンターテインメント領域での展開など、パートナー企業との協業によって事業を広げるモデルが進展したことである。

クライアント基盤の面では、既存クライアントにおける他部署・他テーマへの「縦横展開」が進み、Aクライアント・Bクライアントの社数が着実に増加した。また、システム開発事業を手掛けるメイズを子会社化し、コンサルティング機能とシステム開発機能を組み合わせ、企画から実装までを一気通貫で提供できる体制の強化を進めた。一方で、期初に掲げた高い成長目標には届かず、フロント人員1人当たり売上高も前期を下回るなど、生産性面の課題が残る結果となった。

2. 既存戦略を深化・拡張した成長シナリオ
2027年6月期以降、同社は「人の生産性を高める」「仕組みによって価値を繰り返し提供する」「顧客との関係を深める」という3つを具体的に進展させる方針を掲げている。まず、生産性向上については、AI・データアセットの再利用によって開発効率を高め、フロント人員1人当たりの売上高・粗利を中期的に引き上げていく。次に、仕組みによる価値提供については、「AI wrapping」「AIP」「セマンティックレイヤー構築支援」といった新サービスを通じて、単発の人月ビジネスから、ストック性の高い仕組み型モデルへの転換を進める。最後に、顧客深度については、既存クライアントへの縦横展開を通じてCクライアントからBクライアント、BクライアントからAクライアントへの育成を継続する。

M&Aについては、2025年9月に発表したMacquarie Bank Limitedとのターゲット・イシュー・プログラム(TIP:行使価額固定型新株予約権による段階的な資金調達スキーム)を通じて、機動的な投資判断を可能とする資金基盤を整備している。ただし、2026年6月期に期初想定していたM&A案件が実現しなかった経緯を踏まえ、同社は今後、案件の件数や実施速度を追うのではなく、人材・アセット・顧客基盤など既存の成長モデルを強化できる対象に絞り、質を重視したM&Aを実行する方針をあらためて強調している。こうした方針転換は、上場以来掲げてきたCAGR40%という積極拡大路線から、実現確度と利益の再現性を重視した経営へのシフトを反映したものであり、中期財務目標については、AI・データアセットを軸とした新しい収益モデルを反映した形であらためて策定・開示する予定としている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木稜司)

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