理研の特別研究員が教えます!遺伝子診断にだまされない方法

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大手企業の参入が相次ぐ遺伝子診断サービス。その精度や受けるべき際の注意点などなど、数々の疑問が浮かびますが…、理学博士で生物物理学の研究者・安井真人さんが無料メルマガ『科学日誌』の中でそのあたりのこと、すべて答えてくださってますよ。

遺伝子診断の今と今後

近年、DeNAやYahoo! などの大手企業が遺伝子診断サービスを開始しました。これらのサービスを利用することで、数万円のコストで将来かかる病気や体質などがわかります。今回はこの遺伝子診断の現在と今後について解説します。

DNAはコンピュータと似た情報保持の仕方をしている

遺伝子診断について説明するために、遺伝子情報の書かれているDNAについて説明します。

DNAとはデオキシリボ核酸(DeoxyriboNucleic Acid)という化学物質のことです。DNAはデオキシリボ核酸にアデニン(A)、チミン(T)、シトシン(C)、グアニン(G)という塩基がついたものからなっています。

この、A,T,C,Gの組み合わせにより情報を保持しています。AとT、CとGがくっつき頑強な二重らせん構造をとっています。

ちなみに、コンピュータも情報を0と1により、保持しています。生物はDNAのA,T,C,Gの組み合わせから情報を保持していることから、DNAはコンピュータと仕組みが似ているということができます。

DNAはとても安定した物質

遺伝情報は長期間保持されなければなりません。もし、DNAの並びが少しでも変わってしまうと、体の調子がおかしくなったり病気になります。

その典型例が、です。癌はDNAに変異が入り異常な増殖を示すことで生じます。ですから、DNAに変異をいれる放射能を受けるのはよくないというわけです。

遺伝情報を正しく保持するために、DNAはとても安定した構造になっています。DNAは切れたり変異が入ったり、構造が大きく変わるようなことが起きにくくなっています。

それでもたまにDNAの情報が変わってしまいますが、細胞内では修正用の機構が働き直すようになっています。

DNAは安定していることから、DNAを使って好きな構造物をつくる「DNA折り紙」という技術もできています。うまくDNAの配列を設計すれば、好きなDNA構造物をつくることができます。

ここまでできる!?「DNA折り紙」の最先端(1) ~入門編~

この技術はDNAが安定な物質であるからできた技術です。様々なナノ構造物が作れるので、今後様々な場所で応用されるでしょう。

>>次ページ 遺伝子診断の精度は?

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