ほら、見たことかTPP。米国離脱宣言で万策尽きたアベノミクスの末路

 

このことを本誌は最初から言い続けていて、野田政権が11年11月に「交渉参加に向けて関係国との協議に入る」と言い出した時点で、ソフトブレーンの宋文洲がメルマガで「経済と交易の環太平洋といえば、経済規模から見ても、日本の交易量を見ても、中国、韓国、ロシア、香港、台湾などはとても重要なのだ。しかし、これらの国はTPPに入らない。『環太平洋ではないのにTPPと言って誤解のままでの参加交渉は不自然」という言葉を引用しつつ、さらに次のように述べていた)。

20世紀後半に隆盛を誇った「アメリカ帝国」が既に崩壊過程に入っていて、本当は「帝国ではないアメリカ」に向かって血を流すような自己改造に取り組みつつ、多極化した世界のワンノブゼムのプレーヤーの一人として振る舞うことに慣れていかなければならないのに、言うは易し行うは難し、頭では分かっていても体が付いていかない有様で、自分に自信がないだけ余計に居丈高に「盟主」の座にしがみつこうとする。

そこにはさらに、米国の中国コンプレックスという衰弱した心理も働いている。「TPPが実現すれば、米国が目指す『公正な競争原理』に基づく自由貿易圏が拡大、中国をはじめとする新興国に米国基準のルールに従うよう迫ることができる。ひいては軍事・外交両面でも影響力を強める中国への牽制になる」(東京新聞11月13日付)というのがホンネ。

ルールを決めるのは米国で、それに従うなら参加することを許すが、従わないなら包囲するぞと脅しているのと同じで、これでは中国ならずとも参加をためらって当然だろう。問題は、21世紀において通商・投資に限らずさまざまな分野のルールを決めるための基本ルールをどう定めるかということであって、中国が機会あるごとに陰に陽に主張しているのは、「20世紀には国際秩序のルールを決めるのは米国だったかもしれないが、21世紀には中国もルール作りの当事者ですよ」ということである……。

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