警察官の「自転車逆走」を激写。PTA女性理事の執念が生んだ謝罪

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メルマガ『ジャンクハンター吉田の疑問だらけの道路交通法』の著者で交通ジャーナリストの吉田武さんが、現役の警察官Tさんへのインタビューで「自転車の取り締まり」に関する裏話を暴露する当シリーズ。「警察官の違反もみ消しの実態」について語られた前回に続き、今回は「警察官を動画撮影したがる民間人」の現状など、興味深い裏事情を明かしています。

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Tさん:私が交番勤務時代に近隣の住民の方から似たようなクレームが来たことがあります。道路の逆走に関してだったんですけど、警察官になってまだ1年目だったでしょうか。若い巡査が道路の逆走を頻繁にしていたようなんです。

そのクレーム入れてきた方は小学校のPTAで理事を務めている女性でして、「学校の前で自転車の逆走を警察官がされていると、生徒たちにも悪影響が出てしまいますのでやめてほしいんです。警察官は市民の模範になる運転をするべきです!」と結構強い口調で…。私がちょうど交番にいましたので、そのクレーム対応を致しました。

しかし、逆走しているのがどの警察官なのかその段階ではわからず、論より証拠が警察官の仕事でもありますので「大変申し訳ありませんでした。今後そのようなことのないよう努めます」みたいな当たり障りのない対応をしたのが悪かったんでしょうね。「逆走している警察官を調べてくれないのでしたらこちらでその証拠を用意します!」と、何かのスイッチを入れてしまったのかどうか不明ですが、その方の逆鱗に触れてしまったようで、怒って帰ってしまったんです。それから1週間か10日ぐらいしてからでしょうか、再びその方が交番を訪れたのです。

吉田:おお、不謹慎ながら何かドラマチックな展開に期待してしまいます!(苦笑)

Tさん:当時は今ほど自転車の無謀運転に対して法律的な厳しさはなかったものの、そこはやっぱり小学校のPTA理事。自転車も左側走行を守らせたり、歩道走行は注意したりと結構理事の方は交通安全に関して厳しいと伺っていました。

そしてその理事の方が交番へやってきまして、ポータブルDVDプレイヤーで何かしらの映像を見せるんです。何かと思ったら、小学校の校門前で自転車で堂々と逆走している警察官だったんです。その警察官の映像を見ると、横顔の特徴で私の先輩であることが確認できたんですけども、既に先輩は別の所轄へ異動になっていて、私がいた交番には在籍していませんでした。まさか証拠となる映像を……と言いますか、小学校の防犯カメラの映像をPTA理事の方が持参するとは思っていなかったので、驚いたのと同時に、巡査部長含め、改めてその小学校へ数名で謝罪しに行ったんです。

吉田:偉いですね。警察官は謝らないことで有名なのに!

Tさん:既に異動して在籍していないとはいえ同僚のミスですし、特に子どもたちには模範となる運転を心がけるのが警察官の使命ですから謝罪することは当然だと思いました。巡査部長は渋々足を運びましたが(苦笑)。

吉田:上司ってもんはそういうもんです(笑)。論より証拠を実践したPTA理事の方は個人的には賞賛に値しますよ。

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